【解説】日本の強い地震で地殻変動、西へ約1メートルずれる 精緻に観測する日本の地震対策
ジョナサン・エイモス、科学担当編集委員

画像提供, EPA
元日午後に日本を揺らしたマグニチュード(M)7.6の地震が、どれほどの威力のものだったかは、地面がどれだけ動いたかでも知ることができる。
国土地理院によると、輪島市西部で最大約4メートル(暫定値)の隆起、最大約1メートル(同)の西向きの変動がみられるという。
地震多発国の日本は、揺れる地面を観測する技術がきわめて優れている。だからこそ、これほど正確に計測できるのだ。
国内の要所要所に、全球測位衛星システム(GNSS)の基準点を設置した観測ネットワークが整備されている。地震が発生すれば、国内に点在するこの基準点がどのように動いたか観測することで、地形がどのようにねじ曲がったりずれたりしたかがわかる仕組みだ。
専門家たちは、宇宙空間からも日本を注視し、地震発生前と後の人工衛星画像を見比べている。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する衛星「だいち2号」(ALOS-2)は、自分と地面の距離が短縮したと報告した。地震の力を受けて地表が隆起したからだ。
地面が特に大きく動いたのは、能登半島の西側だった。沿岸部の海底が動き、高さ約80センチの津波が発生した。偶然の産物として、地面の隆起によって、沿岸到達時の津波の威力が軽減された可能性もある。
石川県内で5日までに確認された死者は92人に達し、捜索救助活動は続いている。損害予測モデルは、最大100人規模の被害を想定している。犠牲者はたとえ1人でも多すぎるのだが、それでも地震の規模を思えば、驚くほど少ない。
昨年2月にトルコ南東部で起きたM7.8の地震との比較は、意義のあることだ。解放されたエネルギーは今回の地震とほぼ同レベルだが、トルコとシリアでの死者数は5万人超に及んだ。2010年までさかのぼると、ハイチで起きたM7の地震では10万人以上が亡くなった。
違いの理由は簡単だ。備えが違うのだ。
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日本の下では、4枚の大きい地殻プレートが接し合っている。地球上でも最も地震活動の活発な地域のひとつだ。地球上で起きるM6.0以上の約20%は日本で起きる。地震計は平均して5分に1回は何かしらの揺れを計測している。それだけに日本は、国のインフラと国民が地震に耐えられるよう、地震対策に尽力してきた。
建築基準法は厳しく徹底され、市民は地震が起きたらどう行動すべきかよく訓練されている。世界最高レベルの早期警戒システムもある。
科学者は、地震発生のタイミングと規模を予測することはできない。しかし、いったん地震活動が始まれば、さまざまな計器が揺れの波(地震波)を捉え、テレビやラジオ、携帯電話の通信網に緊急速報を出す。これによって、震央から離れている一部の人のもとには、最も激しい揺れが到達する10~20秒前に、警報が届くことになる。
10~20秒と聞くと大した時間ではないと思うかもしれないが、それだけあれば各地域の地元消防署はドアを開けられるし、新幹線や特急列車などの高速列車はブレーキをかけられる。そして、一人一人が身を伏せて、頑丈なものの下に避難し、しっかりつかまることもできるのだ。
そして、「まず低く、頭を守り、動かない」という地震から身を守るための3つの安全確保行動をとることもできるのだ。








