トルコ被災者に過酷な選択 外で凍えるか、倒壊の危険におびえるか
トム・ベイトマン、BBCニュース、トルコ・アダナ

画像提供, Reuters
明け方の厳しい寒さの中、私たち取材班はトルコ南西部アダナ市の10階建ての建物の崩壊現場を訪れた。途中、毛布にくるまりながら、がれきに向かって歩く2人の女性に出会った。
ウム・バイラクタルさんとナジフェ・バトマズさん。6日に地震が発生して以来、救援活動の拠点となっている市内のモスクに避難している。
近くにある彼女たちの自宅は大きな被害を受けた。2人の友人で、ウムさんのいとこでもあるヌルテンさんを探しに行くという。道中、私たちは歩きながら話をした。
同行していた男性が私たちに、建物のそばを歩かないよう促す。ひびが入っていると彼は言う。「みんな倒壊する」。
建物が崩壊した一帯の外れで、掘削機で作業している2人の横を通り過ぎた。手袋をはめてドリルを使う救助隊員6人が、がれきを2人に向かって放り投げる。
私たちはそこから脇道に入った。火を囲んで暖をとっている被災者のグループが目に入る。毛布に身を包み、プラスチックの椅子に座っている。
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ウムさんとナジフェさんは、凍える寒さの中で毛布にくるまっていた友人のヌルテンさんを見つけた。座り込んで泣いている。
彼女の成人した娘セネイさんは、倒壊した建物の2階にいた。ヌルテンさんは一昼夜ここで待ったが、何も明らかになっていない。
「娘が寒さの中で横になっているというのに、私が暖かいベッドで寝られるわけなどありません」と彼女は泣きながら言う。
「娘は寒さが嫌いでした。娘は地面の下にいるんです。心が張り裂けそうです」
ドリルや掘削機の音が聞こえる。ヌルテンさんの友人たちが彼女を慰める。彼女の娘には2人の娘がいる。ともに海外に留学中だ。トルコに戻る途中だという。
「彼女たちに何と言えばいいんでしょうか。今日ここに来るんです。何と伝えればいいんでしょうか。私は彼女たちから、母親をよろしくと言われていたのです」と、ヌルテンさんは話した。
被災地では、生存者の捜索活動が広がるよりも早く、喪失感が急速に広がっている。

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ここよりさらに南の、トルコとシリアの国境付近にあるハタイ県から、新たなニュースが届いた。被害が最も大きかった地域のひとつだ。
映像には、暗闇の中でがれきの中を捜索している住民が映っている。この男性は、誰かが生き埋めになっていると信じている。「声を出して」と彼は懇願するように言う。
「見ての通り、ここに死体があります。死んでいるのに収容できない。下からは女性の声が聞こえます」
彼が話している間に、がれきの中から女性の叫び声がする。彼女はもう一度叫び、男性の注意を引こうと金属をたたく。だが彼一人ではどうにもできない。家全体が崩壊しており、廃屋を持ち上げるには機械が必要だ。
叫び声を上げても応えてもらえない。こうしたことが、一帯のあちこちで繰り返されている。
近くでは、同じくハタイ県で暮らすデニズさんが倒壊した建物を指差している。両親が閉じ込められているという。
「両親は音を出していますが、誰も来ません。途方に暮れています。なんてことだ......。両親は声を上げています。『助けて』と言っていますが、助け出せないんです。どうやって助け出せばいいんでしょうか」

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震源地にさらに近いカフラマンマラシュ市では、たき火が音を立てて燃えている。同市では、何千もの建物が倒壊し、それを上回る数の人たちが家を失ったと報じられている。
余震におびえ、大きな被害を受けた建物に戻れない家族が集まっている。一家が持っているのは、たき火にするまきだけだ。手袋を着けていない手を、炎がわずかに温めてくれる。
「私たちはどうにかして家の中から逃げ出しました」と、ネシェト・ギュレルさんは言う。
「わが家には子どもが4人います。ぎりぎりのタイミングで子どもたちを連れて家を出ました。中には何人かが閉じ込められています。大惨事です。水も食料もない絶望的な状態で待っています」
地域の人々は支援を待っているが、必要な規模で提供されるのは不可能かもしれない。その間にも、さらに多くの建物が倒壊する危険がある。そして、屋外の小さな火が、暖を取る唯一の方法になる。










