世界の著名女性200人超、ネット加害対策をSNS各社に要望

メガ・モハン、ジェンダー&アイデンティティー担当編集委員

British actress Emma Jones

画像提供, Getty Images

画像説明, 共同書簡には、イギリスの俳優エマ・ワトソン氏などが参加している

政治家やスポーツ選手、俳優など世界の著名な200人以上の女性が、インターネット上の加害行為に対策を講じるよう、ソーシャルメディア各社に求める共同書簡を公開した。

パリで開催されている国連の「平等を目指す全ての世代のためのフォーラム(GEF)」で発表された書簡には、ジュリア・ジラード元オーストラリア首相、元テニス選手のビリー・ジーン・キング氏、イギリスの俳優エマ・ワトソン氏などが名を連ねている。

書簡はフェイスブック、グーグル、TikTok、ツイッターの最高経営責任者に宛てられたもので、「早急に、プラットフォーム上での女性の安全を最優先にしてほしい」と訴えた。

各社の経営陣は、中傷など加害行為の報告システムを改善しており、ユーザーがプラットフォーム上で見るものや、連絡を取る人を制限するフィルターも充実させていると話している。

しかし一部の活動家からは、こうした取り組みが十分ではないという懸念が出ている。

「ジェンダー平等に対する最大の障壁」

書簡には、「インターネットは21世紀の街の広場だ。議論が行われ、コミュニティーが作られ、ものが売られ、評価される場所だ」と書かれている。

「しかしオンラインでの加害行為の規模を見るに、あまりに多くの女性たちにとって、このデジタル広場は安全な場所とは言えない。これはジェンダー平等に向けた進展の脅威だ」

書簡では、英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」が昨年、51カ国4000人以上の女性を対象に行った調査を引用。参加者の38%が、インターネット上で直接脅迫を受けた経験があると答えたと指摘した。

また、こうした加害行為は少数派の人々や黒人、アジア人、ラティーナ、複数の人種ルーツを持つ女性ほど影響がひどくなると強調した。

この書簡を取りまとめたワールド・ワイド・ウェブ(WWW)基金の政策責任者、アズミナ・ドローディア氏は、「ソーシャルメディア上で女性に対する加害行為やハラスメント(いやがらせ)が蔓延(まんえん)していること、それがジェンダー平等に対する最大の障壁のひとつになっていることを認めることが非常に重要だ」と述べた。

「非常に性差別的で醜いもの」

ジラード元豪首相はBBCの取材に対し、「私はオーストラリアの首相として、公の場にいるほかの女性たちと同様に、ソーシャルメディアに非常に性差別的で醜いものを定期的に送りつけられていた。中にはポルノアニメなどもあった」と話した。

「いまだに女性たちがこうした加害行為を受けていることに怒りといらだちを感じている」

インターネット上の女性に対する攻撃に取り組む団体「#ShePersisted(彼女は訴え続けた)グローバル」を創設したルチアナ・ディ・メコ氏は、SNS各社の対応が不十分だと指摘する。

「あいまいな声明は、テクノロジー企業に良い広報の機会を与えるが、現実的な取り組みではない」

GEFに参加したアゼルバイジャンのアルズ・ゲイブラ記者は、インターネット上でハラスメントを受け続けた結果、仕事を辞めようと思ったことがあるとBBCに語った。

また、SNS各社が「荒らし行為やハラスメントを深刻に考えたことがあるのか」疑問だと話した。

Azerbaijani journalist Arzu Geybulla
画像説明, アゼルバイジャンのアルズ・ゲイブラ記者

SNS各社の反応は

TikTokはすでに、不適切な言葉を含む投稿をしようとした人に再考を促す「ポップアップ」を実装している。ツイッターは、投稿の閲覧を制限できる機能を付けている。

ツイッターの法務責任者を務めるヴィジャヤ・ガッド氏は、「ユーザーが安全性をもっと管理できるよう、最近大きな改善を行ったが、まだやるべきことがあるのも理解している」と述べた。

「この問題を解決し、業界のパートナーや市民社会と連携して安全なインターネットを作れるよう取り組んでいく」

フェイスブックは6月30日、「Women's Safety Hub(女性のための安全ハブ)」の設置を発表。既存の加害行為対策を集約するとともに、女性の安全委員会を設置し、監視や助言機能を持たせることを明らかにした。

テクノロジー各社は、今回のGEFを受けて取り組みを次々と発表。WWW基金は、これらの取り組みがきちんと行われているかを追跡し、毎年結果を報告するとしている。