ウイルス感染で中傷された女性が反論、個人情報漏らした男は処罰 中国
ワイイー・イップ、BBCニュース(シンガポール)

画像提供, Reuters
新型コロナウイルス検査で陽性となったことで個人情報をインターネットに流され、誹謗中傷を受けていた女性が声をあげた。この女性の個人情報を漏えいした男は当局に処罰された。
20歳の趙さんは病院からの熱のこもった投稿で、自分がなぜ攻撃の対象になったのか分からないと語った。
「私も、たまたまCOVID-19にかかった被害者なのに」
趙さんは自宅の住所や電話番号を含むさまざまな個人情報がインターネットに漏えいされていることに気付いた。その後、多くの「荒らし行為」に遭遇した。
中国南西部成都の警察は、趙さんの個人情報を漏えいしたとして、24歳の王という男に「行政上の処罰」を与えたと述べている。この男がなぜ趙さんを標的にしたのかは明らかになっていない。
成都警察は9日、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」に、「市民のプライバシーは法律で守られている」と投稿した。
しかし、趙さんの元に送られていた中傷の波を止めることはほとんどできなかった。
「疑問のある」生活
趙さんが新型ウイルス検査で陽性と判明したのは8日。その後、成都当局は濃厚接触者の追跡のため、趙さんが過去2週間にどこにいたかを公表した。これは通常の手続きで、趙さんの個人情報は公表されていなかった。
しかし、趙さんのケースはソーシャルメディアで注目を浴びた。趙さんがネイルサロンやバー、ナイトクラブなどに行っていたからだ。
一部のユーザーからは、これが趙さんが「疑問のある」生活を送っていた証拠だとする意見が出た。他にも、趙さんを「向こう見ず」だと非難し、故意にウイルスを市内に拡散していたと批判する声もあった。
その後、男が趙さんの名前や個人情報をインターネットに掲載したことで、個人攻撃が激化した。

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趙さんは中国語プラットフォーム「今日頭条」に攻撃をやめるよう訴える文章を投稿した。地元メディアによると、趙さんの投稿は匿名だったが、実名で認証されたアカウントを使っていたという。
趙さんは、ナイトクラブなどに寄ったのは仕事のためで、「バーの売り上げや雰囲気を監督していた」と説明した。
また、陽性と判明してすぐに当局と協力し、過去2週間の動向を報告したと述べた。
趙さんは投稿の中で、赤の他人から電話やテキストメッセージを大量に受けていると話し、「誰も自分にこんなことが起きてほしいとは思わない」と語った。
9日の投稿では、病院で治療を受けており、ネット上の脅迫でうつになるかもしれないと心配されていると述べた。
一方で、見知らぬ人から励ましのメッセージが届くこともあり、「生きててよかった」と語っている。
さらに10日、趙さんは顔を映さずに撮影した動画を投稿。病院にいることを報告し、世間が自分の件を気にかけてくれていることに感謝を述べた。
趙さんの60代と70代の祖父母は、せきが続いたため病院に行き、COVID-19を発症していることが分かった。成都では数カ月ぶりの感染者だった。
この2人がどのように感染したかは明らかになっていないが、地元の保健当局によると、2人の自宅の冷蔵庫に入っていた食材や、まな板からも新型ウイルスが検出されたという。
中国の国営メディアは、輸入された冷凍食品が最近のクラスター感染を引き起こしていると非難している。しかし世界保健機関(WHO)は、食品や包装からウイルスに感染する証拠は出ていないとしている。
中国では現在、市中感染はほとんど制御されている。全体でも感染者数は低く抑えられているものの、当局による報告に無症状の感染者は含まれていない。

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COVDI-19にかかった人が中傷を浴びるケースは中国にとどまらない。
韓国ではパンデミック対策として、当局が感染者の年齢や性別、移動履歴などを公表している。そのため、インターネットでは感染者を特定する「魔女狩り」が行われている。
シンガポールでも、IT企業の幹部がマスク着用を拒否した女性と間違われ、中傷された。
ヴェトナムでは、富裕層の女性がパンデミックの最中に欧州へ旅行していたとして、インターネットで誹謗された。









