がんは「年間700万人」予防可能、WHO報告書 感染症や生活習慣由来

マスクをした女性が左手に持ったスマホを耳の近くに添えている。背後にはトゥクトゥクや歩行者がかすんで見える

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画像説明, インド・デリー周辺地域の大気の質は昨年11月に「深刻」レベルに達した。大気汚染は、がんのリスクを増加させるとされる
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ジェイムズ・ギャラガー保健・科学担当編集委員

がんに関して初となる世界規模の分析が実施され、毎年700万人のがんを予防できる可能性があることが示された。4日は「ワールド・キャンサー・デー(世界対がんデー)」。

世界保健機関(WHO)の科学者らがまとめた報告書は、がんの37%は感染症、生活習慣の選択、環境汚染物質によって引き起こされており、避けることが可能だと推定している。

これには、ワクチン接種が予防に役立つ、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって引き起こされる子宮頸がんや、たばこの煙が原因となる多くの腫瘍が含まれる。

研究者らは今回の報告書について、何百万人もの人生を変える「強力な機会」が存在していることを示しているとしている。

がんには避けられないものもある。加齢に伴ってDNAに蓄積されるダメージや、発症リスクを高める遺伝子が原因となるものだ。

しかし、イザベル・ソエリョマタラム博士は、がんの約4割が予防可能だと「聞くとみんな驚く」と説明。「相当な数」だからだと述べた。

3大原因は「喫煙、感染症、飲酒」

WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)は、がんのリスクを増加させることが知られている30種類の予防可能な要因を分析した。

DNAに直接ダメージを与える喫煙や紫外線(UV)、体内の炎症やホルモンを変化させて発がんリスクを高める肥満や運動不足、眠っているがん細胞を目覚めさせる大気汚染などだ。

IARCはまた、HPV、肝臓がんを引き起こす肝炎ウイルス、ピロリ菌など、がんを引き起こす9種類の感染症についても調べた。

研究チームは、185カ国を対象に、2022年のがん症例と、この10年前の危険因子30種類のデータを用い、統計解析を行った。

その結果、世界中で1800万人以上に確認されたがんについて、次の3大原因が明らかになった。

・喫煙(約330万人)

・感染症(約230万人)

・飲酒(約70万人)

10人前後が横並びになってたばこを吸ったりグラスを手にしたりしている

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画像説明, 喫煙と飲酒は予防可能ながんの主要原因の二つだった

ただ、こうした総数は、世界各地のがんのリスクについて、微妙な側面を見えにくくしている。

予防可能ながんは性差が激しい。男性のがんでは45%なのに対し、女性は30%だ。これは、男性の方が喫煙率が高いことが一因だ。

また、ヨーロッパに住む女性では、予防可能ながんの原因のトップ3は喫煙、わずかの差で感染症、そして肥満という順位になっている。

一方、サハラ以南のアフリカでは感染症でのがんが圧倒的に多く、女性の予防可能ながんの原因の80%近くを占めている。

これらから分かるのは、がんと闘うには、それぞれの地域や国に合わせた対処法が必要だということだ。

IARCのがん調査部門の副部門長を務める前出のソエリョマタラム氏は、「この画期的な研究は、世界中で予防可能ながんを包括的に評価したものだ。行動、環境、職業上のリスクと共に、初めて感染という原因を組み込んでいる」と説明する。

「これらの予防可能な原因に対処することは、世界的ながんの負担を減らす最も強力な機会の一つだ」

今回の報告は、医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された。肺がん(喫煙や大気汚染と関連)、胃がん(ピロリ菌感染と関連)、子宮頸がん(HPV感染と関連)が、予防可能ながんの症例の半分近くを占めている。

WHOのがん対策チームのリーダーを務めるアンドレ・イルバウィ博士は、がんに何らかの対応が可能だと示している点で、今回の研究は「良いニュース」だと述べた。そして、喫煙対策やHPVワクチン接種を政策として導入した国々が成功していると指摘したうえで、こう話した。

「予防可能ながんの割合は、時間とともに変化する可能性がある。私たちの目標は、それを可能な限りゼロに近づけることだ」