【ミラノ・コルティナ・パラ】表彰されるロシア選手にドイツ選手ら背を向ける 大会参加に抗議

黒っぽい防寒ウエアを着て赤い帽子をかぶり銀メダルを首からかけた2人が左側に笑顔で立っている。少し間を空けて、中央に赤い防寒ウエアを着て金メダルを首からかけた2人が立っている。そのすぐ右隣には、白と赤のウエアを着て銅メダルを首からかけた中国の選手ら2人が立っている

画像提供, Reuters

画像説明, 表彰式後の記念撮影で、ドイツのメダリスト(左)はロシアのメダリスト(中央)と距離を置いていた
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ミラノ・コルティナ・パラリンピックで10日にあったクロスカントリースキーの表彰式で、銀メダルを獲得したドイツの選手らが、金メダルのロシア選手らに背を向ける場面があった。ロシアの大会参加が認められていることへの抗議行動だった。これとは別に、ウクライナ・パラリンピック委員会は11日、選手やコーチらが「組織的な圧力」を受けていると、IPCと組織委員会を非難した。

今大会では、ロシアの選手が2014年以来初めて、自国の旗の下でパラリンピックに出場している。国際パラリンピック委員会(IPC)は昨年9月、ロシアの出場停止処分を解除した。

ロシアと同国選手らは当初、国家ぐるみのドーピング問題で出場停止とされていた。2022年にロシアがウクライナを全面侵攻してからは、追加制裁が科されていた。

10日にあったクロスカントリースキー女子スプリント・クラシカル(視覚障害)では、ロシアのアナスタシヤ・バギアン選手とガイドのセルゲイ・シニアキンさんが、その時点でロシア勢2個目となる金メダルを獲得。銀メダルは、ドイツのリン・カツマイヤー選手とガイドのフロリアン・バウマンさんが手にした。

表彰式では、ロシア国歌が流れると、2位のドイツ選手らは、1位のロシア選手らに背を向けた。

カツマイヤー選手はドイツ紙ビルトの取材に対し、「表彰式はひどく奇妙な感じだった。私は(ロシアの2人を)知らないし、彼女たちが私たちと同じように、ロシアの体制をほとんど支持していないのかどうかも知らない」と話した。

また、「もしかすると彼女たちは本当にいい人たちで、友達になれるのかもしれない。政治が全面的に影を落としているのは、本当に残念でしかない」、「だからこそ私たちは、帽子をかぶったまま、国旗の方を向かないことにした。私たちはそれを支持しないからだ」と述べた。

ビルトによると、ドイツの2人は、表彰式後に恒例となっているメダリストらによる自撮りに加わるのを拒否したという。

バウマンさんは、「4年前の北京大会ではウクライナ選手らと素晴らしい交流があった。その人たちへの連帯を示したかった」とコメント。

「個々のロシア選手が問題なのではない。あの人たちの多くも、大変な状況にある。でも、ウクライナの選手もここにいるのに、IPCがロシアを、国旗、国歌、全選手団を伴って参加させると決定したのは、単に正しくないと思う」と話した。

IPCはBBCスポーツの取材に対し、抗議行動のことは認識しており、関連情報を収集・分析中だと説明した。

ドイツ・パラリンピック委員会は、「選手たちは、友人のウクライナ選手たちに連帯を表明した」のだと述べた。

それを受け、ウクライナなど7カ国の選手団が、6日にイタリア北部ヴェローナであった開会式をボイコットした

9日のアルペンスキー女子スーパー大回転(立位)では、ロシアのヴァルヴァラ・ヴォロンチヒナ選手が、同国に2014年以来となるパラリンピックの金メダルをもたらした。同選手の表彰式は、抗議なく行われた。

ウクライナ、IPCと組織委を非難

ウクライナ・パラリンピック委員会は11日、今大会で選手やコーチらが「組織的な圧力」を受けているとして、IPCと組織委員会を非難した。

ウクライナ・パラリンピック委員会は、長文の声明を発表。同国の選手団が「公然と否定的な態度や妨害行為」に直面していると訴えた。選手村内の建物からウクライナ国旗が撤去され、「目立たない場所」に移されたこともあったという。

声明によると、今大会のパラバイアスロン男子の金メダリスト、タラス・ラド選手の家族は、スタンドでウクライナ国旗とスカーフを取り上げられた。パラバイアスロン女子の金メダリスト、オレクサンドラ・コノノワ選手は、ウクライナ国旗と「戦争を止めろ」の文字が入ったイヤリングを外すよう、IPC関係者から強要されたという。

ウクライナは声明で「IPCとロシアおよびベラルーシのNPC(国内競技委員会)との間に、不可解で非常に特殊な連携関係がある印象を受ける」とした。

大会組織委はBBCスポーツの取材に対し、ウクライナ国旗は「共用スペースの前」に掲げられていたため、「ウクライナ代表団が使用する居住区域へ移動された」と説明した。

ラド選手の家族が国旗とスカーフを没収されたことについては、「観客5人が、ウクライナ国旗の色で、文字が記されたスカーフを着用して会場に入ろうとした」とし、警備スタッフが文言の意味がわからず、大会規定で禁止されている政治的メッセージが含まれている可能性があったため、スカーフを外して入場するよう要請したと説明した。取り上げた物は、観客らが会場を去る時に返却したとした。

コノノワ選手にイヤリングを外すよう求めたことについては、IPCのブランド・コミュニケーション担当のクレイグ・スペンス責任者が、「ウクライナ国民の置かれた状況に私たちは共感している。しかし、共感しているからといって、大会を統括する規則をウクライナ国内競技委員会が破ることを認めてはいない」と説明した。

「今週、表彰台に向かうウクライナのメダリストが『戦争を止めろ』と書かれたイヤリングを着用していた。スタッフがこれに気づき、IPCの規則違反となる可能性があるとして、取り外すよう丁寧に要請した。選手は同意して外した」という。