EU、クリスマス時期の「テロの危険性大きい」 ガザでの戦闘でリスク増加と

ドイツ人観光客1人が刺殺されたフランス・パリの襲撃現場

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画像説明, ドイツ人観光客1人が刺殺されたフランス・パリの襲撃現場

欧州委員会のイルヴァ・ヨハンソン委員(内務担当)は5日、間近に迫ったクリスマス休暇の時期に「欧州連合(EU)域内でテロ攻撃が起きる危険性が大いにある」と述べた。

ヨハンソン委員は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争が引き起こした社会の二極化が、暴力行為のリスクを高めていると指摘した。

フランス・パリ中心部では3日前に、通行人が刃物を持った男に襲われ、1人が死亡、2人が負傷する事件があったばかり。

ヨハンソン氏によると、EUは追加警備のために3000万ユーロ(約47億7200万円)を用意している。

今回の警告につながるような具体的な情報があるのかどうかについては、ヨハンソン氏は明言しなかった。

「こうした事件が最近、パリで起きた。残念ながら私たちは、以前にも同じようなことを目撃している」。ヨハンソン氏はEUの内相会議に先立ってそう付け加えた。

ドイツのナンシー・フェーザー内相も、同様の警告を発している。フェーザー氏は記者団に対し、「暴力的なイスラム主義の加害者が、さらに感情的になり、過激化する危険性」が高いため、EUは脅迫やプロパガンダに目を光らせる必要があると語った。

ハマスの武装集団がイスラエル南部のキブツ(農業共同体)などを奇襲して以降、ヨーロッパの多くの国々でヘイトクライム(憎悪犯罪)が急増している。

10月7日の奇襲ではイスラエル側で約1200人が殺害され、多数の民間人がパレスチナ自治区ガザ地区へ連れ去られた。ハマスが運営するガザ地区の保健省は、イスラエルの報復攻撃によりガザ地区で1万6200人以上が殺害されたとしている。

2日夜にパリのエッフェル塔近くで起きた事件では、「コリン・B」と呼ばれるドイツ人の男性観光客(23)が刺殺され、ガールフレンドとイギリス人観光客が負傷した。EUは事件を受け、閣僚会議を開いた。

被害に遭ったドイツ人の若いカップルは、事件前にディズニーランド・パリとルーヴル美術館を訪れ、エッフェル塔前で自撮りをしていた。

警察によると、現場で逮捕された容疑者はアルマンド・Rという名の26歳のフランス人で、特定の宗教を信仰していないイラン人家庭の出身。武装勢力「イスラム国(IS)」に忠誠を誓っていたという。

男は過去に、パリ郊外のビジネス街ラ・デファンスでのテロを企てた罪で収監されていた。

2020年には、パリ近郊で男性教師の首を切断して殺害したとされ、警官によって射殺されたアブドゥラフ・アンゾラフ容疑者と連絡を取っていたとして、フランス警察の事情聴取を受けていた。

対テロ検察官のジャン=フランソワ・リカール氏は、アルマンド・R容疑者の母親が息子の行動について懸念を示していたが、その時点では同容疑者にさらなる措置を講じる必要があることを示す証拠はなかったと述べた。

ドイツも、テロが起きる可能性があるとして警戒を強めている。

先週には西部ノルトライン・ウェストファーレン州レーヴァークーゼンのクリスマスマーケットで、イスラム過激派による攻撃を計画した疑いで、2人の少年が国内の別々の場所で拘束された。

また、北部ハノーバーのクリスマスマーケットでナイフを使った襲撃を計画した疑いで、昨年ドイツに入国した20歳のイラク人が拘束された。

東部テューリンゲン州の国内情報機関責任者シュテファン・クラマー氏は、クリスマスマーケットだけでなく、来年のパリ・オリンピックやサッカーの欧州選手権(ユーロ2024)といった主要スポーツイベントにも、ハマスに同調する人物が「危険をもたらす可能性がかなり」あると警鐘を鳴らしている。