インド映画「RRR」の「ナートゥ・ナートゥ」、アカデミー賞歌曲賞 インドが2部門で初受賞

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米ロサンゼルスで12日夜に行われたアカデミー賞授賞式で、世界的に大ヒット中のインド映画「RRR」に登場する劇中のダンスバトル曲「ナートゥ・ナートゥ」が歌曲賞を受賞した。短編ドキュメンタリー賞もインド映画が獲得。インド製作の映画がアカデミー賞2部門で初受賞を果たした。
歌曲賞部門では「ナートゥ・ナートゥ」のほか、「トップガン マーヴェリック」からレディ・ガガさんが歌う「Hold My Hand」や、「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」からリアーナさんが歌う「Lift Me Up」などが候補になっていた。
作詞家のチャンドラボースさんと登壇してオスカー像を手にした作曲者のM・M・キーラヴァニさんは、「ナートゥ・ナートゥ」の受賞について「すべてのインド人の誇り」だと述べた。また自分は、アメリカのカーペンターズを聞きながら育ったとして、ヒット曲「Top Of The World(世界のてっぺん)」の替え歌を歌った。
「望んでいたのはただひとつ。ラージャマウリ(監督)も私の家族も一緒。『RRR』が受賞して、すべてのインド人の誇りになって、私を世界のてっぺんにのせてくれますように」とキーラヴァニさんが歌で受賞スピーチをすると、会場は笑い声と歓声に包まれた。
「ナートゥ・ナートゥ」は、リズミカルなビートやまねしたくなる軽快なステップ、ダンスに込められたさまざまな感情や、ダンスバトルが語る物語などが大勢を魅了し、アカデミー賞に先立ち米ゴールデン・グローブ賞や放送映画批評家協会賞の歌曲賞を受賞。アメリカとカナダの批評家からなる放送映画批評家協会は、「RRR」を外国語映画賞にも選んでいた。
この日のアカデミー賞受賞を受けて「RRR」の公式アカウントはツイッターで、「この現実離れした瞬間は、言葉で表しようがない」と喜び、受賞を「世界中の素晴らしいファン」にささげた。

ダブル主役の1人、N・T・ラーマ・ラオ・ジュニアさんは「やった!」とオスカー像を手にした写真をツイッターに投稿。キーラヴァニさんやS・S・ラージャマウリ監督、チャンドラボースさんをたたえ、映画に関わったチーム全員やインド国民をねぎらった。
もう1人の主役、ラーム・チャランさんもツイッターで「受賞した! インド映画として受賞した! 国として受賞した!」と喜び、「まだ夢の中にいるようだ」と書いた。

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「RRR」は、インド南部で多く使われるテルグ語で撮影された。南部出身の有力政治家N.チャンドラバブ・ナイドゥさんはツイッターで、「ナートゥ・ナートゥ」は「歴史上の地位を確保した」と書き、「これはおそらくインド映画にとって最高の瞬間で、テルグ語話者がそれを達成したというがことさら特別だ」と喜んだ。
「ナートゥ・ナートゥ」を歌う歌手の1人、カーラ・バイラヴァさんは授賞式の会場に着いた際、米誌ハリウッド・リポーターに対して、「ナートゥ・ナートゥ」が「地元の土地にしっかり根差している」ことが、受賞に値する理由の一つだと話した。
「それがアカデミー賞の特に素晴らしいところだ。世界中の人が集まって、自分の文化や芸術を代表して見せて、他の国や地域の人たちにその価値を認めてもらえる」と、バイラヴァさんは述べた。
「ナートゥ(naatu)」はテルグ語で「その土地由来の」「素朴な」「田舎の」などを意味する。曲には、テルグ語圏の伝統的な民謡などで多く使われるビートを使い、歌詞の内容も地域色の強いものになっている。
バイラヴァさんは、ラーフル・シプリガンジさんと共に授賞式で「ナートゥ・ナートゥ」を披露。多くのダンサーと共に映画の場面を巧みに再現したパフォーマンスを、聴衆はスタンティングオベーションでたたえた。
映画の「ナートゥ・ナートゥ」の場面は2021年、開戦前のウクライナ・キーウで、マリインスキー大統領宮の前で撮影された。
1920年から始まる物語は、インド南部で実在した2人の独立解放の闘士をモデルに、大英帝国の植民地支配に抗う戦いを描く。タイトルの「RRR」は英語では、「Rise(蜂起)、Roar(咆哮、ほうこう)、Revolt(反乱)」を意味する。
ラージャマウリ監督は授賞式前、米誌ヴァニティ・フェアの動画で場面を解説。その中でダンスの場面について、主役2人の深い共鳴と友情を表すと同時に、2人が差別的なイギリス人にダンスを通じて抵抗する「戦いの場面」なのだと説明していた。
短編ドキュメンタリー賞もインド映画
この日のアカデミー賞では、短編ドキュメンタリー賞もインド映画が受賞した。歌曲賞と同様、この部門でインド映画が受賞するのも初めて。
「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」は、けがをして群れとはぐれた赤ちゃんゾウの世話をするカップルを取り上げたもの。
南インドの美しいニルギリ山地で撮影されたこのドキュメンタリーは、人間と動物が共存を通じて温かい絆を獲得していく様子を描いている。







