ケニア大統領選、ルト副大統領が勝利 対立候補は不正を主張

William Ruto

画像提供, Getty Images

画像説明, ウィリアム・ルト氏

東アフリカのケニアで9日に行われた大統領選の結果が15日、発表され、ウィリアム・ルト副大統領(55)が得票率50.5%の僅差で勝利した。しかし、対立候補のライラ・オディンガ元首相(77)陣営は、選挙で不正があったと主張。選挙管理委員会の多数の委員も結果を「不透明」だと述べている。

ルト氏はウフル・ケニヤッタ大統領の下で10年にわたり副大統領を務めてきた。今回が初めての大統領選だった。オディンガ氏を後継者として支持したケニヤッタ氏とは対立していた。

勝利演説の中でルト氏は、「素晴らしい夜だ(中略)全ての主権はケニア国民にある」と述べた。また、選管委員長を称賛し、今回の選挙結果を認めないとする選管委員らの批判を一蹴した。

その上で、全ての人のための大統領になり、国を未来志向にしていきたいと語った。

「我々にいろいろと敵対していた人たちに、何も恐れることはないと言いたい。復讐(ふくしゅう)することはない。我々には振り返る余裕などない」

ルト氏の支持基盤であるリフト・ヴァレーや、副大統領候補のリガシ・ガチャグア氏の本拠がある中部などでは、人々がルト氏の勝利を祝った。

一方、オディンガ氏の支持者らは西部キスムや首都ナイロビの一部地域で、結果に対する抗議デモを行った。

オディンガ陣営は先に、選挙中に「不法行為」と「誤った管理」が起きた疑惑があると述べていた。オディンガ氏の得票率は48.8%。これが5回目の大統領選出馬だった。

「結果に責任負えない」

ケニア選管の独立選挙・境界委員会(IEBC)のジュリアナ・チェレラ副委員長は、「この総選挙の最終局面の不透明な状況を受け、これから発表される結果の責任を負うことができない」と述べた。

「これから包括的な声明を発表する予定だ(中略)国民には冷静でいてほしい」

IEBCでは、委員7人のうち4人がこの結果を「不透明」だとして承認していない。

選挙の結果発表の会場では、一部の支持者の間でいさかいが起こり、発表が遅れる一幕もあった。

アナリストからは、オディンガ氏が結果をめぐって裁判を起こす可能性が高いとの見方も出ている。

ケニアでは、前回大統領選で最高裁判所が結果を無効とした。今回も最高裁が、数週間以内に重要な判断を示すことになるかもしれない。

Scuffles broke out before declaration of the winner

画像提供, Getty Images

画像説明, 選挙の結果発表の会場では、一部の支持者の間でいさかいが起こり、発表が遅れる一幕もあった

投票日の9日以降、経済活動が停止し、学校も閉鎖されていたケニアでは、選挙結果が発表されて安堵(あんど)感が流れている。

ケニアではこれまでも選挙で混乱が起きており、暴力に発展したり、選挙が無効になったりしている。

2007年の選挙では、不正疑惑をめぐって少なくとも1200人が殺され、60万人が避難する事態となった。

貧困層と権力者一族の闘い

政治的な比喩(ひゆ)が好きなケニアでは、ルト氏の劇的な勝利は、同氏率いる合同民主連合(UDA)の控えめなシンボルである手押し車が、7トンのトラクターを道路から押し出したと表現される。オディンガ氏は国家を支える層から支持を得ていた。ルト氏が偽物だと批判していたいつくかの世論調査では、オディンガ氏の勝利が予想されていた。

10年にわたって副大統領を務めてきたルト氏が支配層側の候補者であることは否定できないものの、同氏は異端者として大統領選に臨んだ。この選挙を、ケニアの貧困層の「あくせく稼ぐ人々」と、ケニヤッタ一族やオディンガ一族など、独立以来ケニアで影響力を持ってきた「権力者一族」との闘いと表現した。

選挙活動中の演説では、「私は誰の息子でもないかもしれないが、ケニアをみんなのものにすると約束する」と語っていた。

ルト氏の支持率が上がったのは、ケニヤッタ大統領とオディンガ氏が推し進めていた改憲案に反対した時だった。ケニヤッタ氏とオディンガ氏は、多くのケニア人が失業や新型コロナウイルスの影響で苦しむ中、1年にわたってコストのかかる改憲を主張し、国民の不興を買っていた。

最終的には、最高裁が改憲の動きを違憲と判断。ルト氏を後押しする格好となった。

ルト氏はまた、この選挙を世代交代の時期と位置づけ、親しみやすいスローガンを使ってメッセージを発信した。これが複数のコミュニティーでの信頼と訴求力につながった。

今回の大統領選では選管にも変化があった。これまで良い成績を残しているとは言えないケニアの選管だったが、今回は4万6000カ所以上の投票所の投票結果をウェブサイトで公開。誰もが結果を閲覧することができ、国民やメディアの選挙プロセスへの参加を促した。

これまでにジンバブエやエチオピア、ソマリアの首脳が、ルト氏の勝利を祝っている。