ミュージカルの作詞作曲家ソンドハイム氏、91歳で死去=米報道

Stephen Sondheim

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「ウエストサイド物語」の作詞から「スウィーニー・トッド」の作詞作曲など、数多くのミュージカル作品を手がけ、ミュージカルの巨匠と呼ばれたスティーヴン・ソンドハイムさんが26日、米コネチカット州の自宅で亡くなった。91歳だった。米紙ニューヨーク・タイムズなどが伝えた

1930年3月にニューヨークで生まれ、9歳で初めてブロードウェイ・ミュージカルに触れる。大学在学中からミュージカルの作曲や作詞を手がけた。

復讐(ふくしゅう)に燃える理髪師や、人生を振り返る老いたショーガールや芸人、仲間内でひとりだけ未婚の都会の独身35歳など、それまでのミュージカルとはいささか異なる題材を作品にして大ヒットさせた。大胆で複雑な曲調、洗練された言語表現で、他の追随を許さない独自の世界を作り上げた。

1930年、米ニューヨーク生まれ。ウィリアムズ大学で音楽を専攻し、在学中からミュージカルの作曲や作詞を手がけた。大学卒業後に、作詞家オスカー・ハマースタインさんと知り合う(ハマースタインさんは、リチャード・ロジャースさんと組んで「サウンド・オブ・ミュージック」、「南太平洋」、「王様と私」など数々の大ヒットミュージカルを手がけたミュージカルの第一人者だった)。

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を現代ニューヨークに置き換えた「ウェストサイド物語」で、レナード・バーンスタインさんの作曲に歌詞をつけるよう依頼され、これが出世作となった。

Stephen Sondheim and Leonard Bernstein

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画像説明, 「ウエストサイド物語」でレナード・バーンスタインさん(左)の曲に歌詞をつけたソンドハイムさん

957年初演の「ウェストサイド物語」について、プロデューサーのハル・プリンスさんは2012年、初めてスコアを聞いた時のことをBBCに対して振り返った。

「日曜の夜で、レニーのマンションで、レニーは緊張していたからピアノをすごく大きい音で弾いていた。スティーヴがそれに合わせて歌っていて、終わるころには、この作品を舞台にかけると決めていた。それから24時間で必要な資金は集まった」

ジェローム・ロビンス企画・演出・振付の初演版は730回以上上演され、1961年の映画版は米アカデミー賞を作品賞を含む10部門で受賞。その後もリバイバル上演が続く、今やミュージカルの古典となっている。スティーヴン・スピルバーグ監督によるリメイク版映画も、近く公開予定。

Rita Moreno (centre) in West Side Story

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画像説明, 「ウェストサイド物語」

一方ソンドハイムさん自身は自分の出世作に不満で、2010年には米ABCニュースに対して、「今となっては、聴くのがつらい曲もある」と語った。

「バーンスタインは、重たい曲を求めていて、『詩的』なものを求めていたが、私にとっての詩と彼にとっての詩はまったく真逆なんだ」と、ソンドハイムさんは振り返っていた。

1959年にはストリッパーの娘と母親の関係を描いたミュージカル「ジプシー」で、さらに作詞家として成功。作詞だけでなく作曲も手がけた1962年の「ローマで起こった奇妙な出来事」は、トニー賞の最優秀ミュージカル賞を獲得し、映画化もされた。

Stephen Sondheim in 1976

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画像説明, 1976年のソンドハイムさん

1970年の「カンパニー」では、35歳の独身のニューヨーカーとその人間関係を描き、複数のトニー賞を得た。もともとは独身男性を主役にしたこの作品は2018年、ソンドハイムさん自身の賛同を得て、主役を35歳の独身女性に置き換えてロンドンでリバイバル上演され、高く評価された。

1971年の「フォリーズ」は、解体される古いブロードウェイの劇場を舞台に、かつてのショーガールや芸人たちが集まり人生を振り返る作品。これも2017年にロンドンでリバイバル上演され、その後も再演が続いた。

Elizabeth Taylor and Stephen Sondheim

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画像説明, 「リトル・ナイト・ミュージック」に出演したエリザベス・テイラーさんとソンドハイムさん

イングマール・ベルイマン映画「夏の夜は三たび微笑む」をもとにした「リトル・ナイト・ミュージック」では、ソンドハイム作品の中でも特に有名な曲「Send in the Clowns(悲しみのクラウン)」が登場する。この作品は後にエリザベス・テイラー主演で映画化された。

1979年の「スウィーニー・トッド」は、かみそりを駆使して復讐に燃える理髪師を大胆に描き、2007年にはジョニー・デップ主演で映画化された。

Tim Burton and Stephen Sondheim

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画像説明, 「スウィーニー・トッド」の映画版を手がけたティム・バートン監督(左)とソンドハイムさん

フランスの後期印象派画家ジョルジュ・スーラによる絵画「グランド・ジャット島の日曜日の午後」をもとに、「芸術を作るということ」を作品化した1984年の「日曜日ジョージと公園で」では、作詞家ジェイムズ・ラパインと共にピュリツァー賞を得た。

シンデレラや赤ずきんちゃんなど様々なグリム童話を組み合わせた1987年の「イントゥ・ザ・ウッズ」は2014年、メリル・ストリープさんをはじめとするオールスターキャストで映画化された。

A scene from Sunday in the Park with George

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画像説明, スーラによる絵画「グランド・ジャット島の日曜日の午後」をもとにした「日曜日ジョージと公園で」

80歳になった2010年には、ブロードウェイの劇場が「スティーヴン・ソンドハイム劇場」に改名された。2020年にはロンドンの劇場街ウエストエンドのクイーンズ劇場も、「ソンドハイム劇場」に改名された。

近年では、後進の指導・支援にも熱心にあたった。2016年にトニー賞11部門を受賞した大ヒットミュージカル「ハミルトン」を、リン=マヌエル・ミランダさんが作詞作曲している初期の段階から、ソンドハイムさんはミランダさんを支援し助言した。

2015年にはバラク・オバマ米大統領(当時)から大統領自由勲章も贈られた。

Barack Obama and Stephen Sondheim in 2015

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画像説明, 大統領自由勲章をソンドハイムさんに授けるオバマ大統領(当時)

2017年には、50歳近く年下の俳優ジェフリー・スコット・ロムリーさんと結婚した。

同じ2017年にソンドハイムさんは、「自分を不安にさせるものを手がけないと。自分自身を疑うようになるものを」と話していた。

「詩人の言葉を借りると、自分の行き先が分かってしまったら、もう逝ってしまったに等しい。死ぬとはそういうことだ」