カンタス航空、感染対策の不備を指摘した清掃員の給与停止 当局が法的措置

ケイティー・シルヴァー、ビジネス担当記者

Qantas tailfins

画像提供, Getty Images

豪カンタス航空の清掃員が、新型コロナウイルス対策が不十分だとして、中国からの到着機の清掃方法に反対したところ、給与の支払いを停止された。オーストラリアの労働規制当局は19日、給与の停止は差別的だとして、カンタス航空に対し法的措置を取ったと明らかにした。

男性清掃員は昨年、中国から到着した航空機の清掃方法に反対したところ、仕事を停止するよう指示されたという。

豪ニューサウスウェールズ州の職場の健康と安全に関する規制当局「SafeWork NSW」は、新型ウイルスにさらされることへの懸念を示した労働者への給与をカンタス航空が止めたことについて、差別的行為だと非難した。

一方、カンタス航空は、当該清掃員が「保護されていない労働争議を扇動しようとした」とし、調査中だと説明した。

労働組合は、今回の法的措置は「労働安全衛生における画期的な出来事」だとした。

対策不備を上院で証言

清掃員のテオ・セレメティディス氏は、新型ウイルスのパンデミックが発生した際にカンタス航空の安全衛生担当に選出された。

セレメティディス氏は先週、豪上院の調査に対し、カンタス航空の安全対策は不十分だったと証言。「私たちは水だけで飛行機を掃除するよう指示された。トレー用の消毒剤も、あらゆるものに使う消毒剤もなかった」と述べた。

「管理職は防護服を着用しているのに、個人用防護具(PPE)の着用は義務付けられていなかった。マスクや消毒剤も支給されなかった」

「これらの安全上の問題は、オーストラリアの労働者を危険にさらし、さらに言えば、新型ウイルスに感染したりウイルスを拡散したりする深刻なリスクにさらしている」

「私は安全性について本当に熱心に考えていた。同僚たちに毎日無事に帰宅してほしいと思っていた」

Theo Seremetidis with Sally McManus from the Australian Council of Trade Unions outside Parliament House in Canberra

画像提供, TWU

画像説明, カンタス航空清掃員のテオ・セレメティディス氏(右)とオーストラリア労働組合評議会(ACTU)のサリー・マクマナス氏

セレメティディス氏は、経営陣に懸念を提起したが対処してもらえなかったと主張。最終的に労働者グループに仕事を停止するよう指示したとしている。

「行動に出たその日に、私はすぐに一時帰休になった。その日がカンタス航空での最後の日となった」

SafeWork NSWは、差別行為を行ったとしてカンタス航空に対し法的措置を取ったと、19日に明らかにした。

「この問題は裁判所で審議中であるため、現時点ではこれ以上の情報は提供できない」と、SafeWork NSWのスポークスマンは述べた。

運輸労働組合のリチャード・オルセン氏は、「この種の法的措置はオーストラリアでは初めて」だと述べた。

「カンタス航空は、自分と同僚を新型ウイルスから守ろうとしたというだけの理由でテオを一時帰休にした。同社はいま、当然のことながらその行為について刑事責任を問われている」

カンタス航空の主張

カンタス航空は、セレメティディス氏が労働争議に関する正しい手順に従っていないとしている。「安全衛生担当者が懸念を抱いたときに従うべき確立された法的メカニズムがある」。

「カンタス航空は、安全上の懸念がある場合に、従業員がこれらのメカニズムを利用できるようサポートし、奨励している」

「中国からの帰国便で新型ウイルス陽性となった事例は1件もないことを強調しておく」