アジア系米国民の歴史、学校で教えることを義務化 イリノイ州

Teachers in a Chicago public school

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画像説明, 米イリノイ州の公立学校では来年から、アジア系アメリカ人の歴史を教える(写真は同州シカゴの公立学校)

アメリカでアジア系の国民が襲われる事件が増える中、中西部イリノイ州は州として初めて、公立学校でアジア系アメリカ人の歴史を教えることを法律で義務付けた。

アメリカでは新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、アジア系の国民が攻撃される事案が増加傾向にある。

新たに成立した州法は、アジア系アメリカ人がアメリカの発展に貢献した歴史を教えるよう、学校に義務付ける。また、公民権の歴史も教えるよう求める。

2022~2023年の新学年から実行される。

イリノイ州は、新たな州法によって、誤った固定観念や偏見を減らすとしている。

「歴史に本当に向き合うとはどういうことか、新しい標準を私たちは作ろうとしている」と、JB・プリツカー知事(民主党)は9日、法案に署名後に述べた。

「これは、相互理解につながる新たな標準だ」

動画説明, いきなり顔を横一直線に切られ……急増するアジア系アメリカ人への暴力

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どのようなことを教えるのか

州内の公立の小学校~高校の生徒は来年から、アジア系アメリカ人が「アメリカの経済、文化、社会、政治の発展」にどう関わってきたかを学ぶ。

あわせて、特にイリノイ州や米中西部におけるアジア系アメリカ人の歴史についても学習する。

各校は、この分野の学習について単位を設定する。ただ、教員が十分に準備できなければ、学習効果がどれほどあるか不明だとの指摘が、専門家から出ている。

今回の州法は、アジア系が被害者となった銃乱射事件が相次いだのを受け、成立を求める機運が高まった。

今年3月には、ジョージア州アトランタのマッサージ店で、アジア系女性6人を含む8人が殺害された。4月には、インディアナ州インディアナポリスにある物流大手フェデックスの施設で発砲事件があり、シーク教徒コミュニティーの4人が銃殺された

アジア系アメリカ人への攻撃

アジア系アメリカ人らに対するヘイト行為に反対する団体「ストップAAPI・ヘイト」によると、同団体が受けた、アジア系アメリカ人や太平洋諸国出身者(AAPI)に対する憎悪(ヘイト)事案の報告件数は昨年、2800件を超えた。ただ、正確な発生件数を把握するのは難しいという。

こうした事案は、アジア系市民を新型ウイルスの感染拡大と結びつけて非難するもので、憎悪犯罪(ヘイトクライム)に当たると、団体側は話している。

アメリカでは、人種と歴史の教え方をめぐり、激しい議論が起きている。保守的な州では、人種差別や白人優遇について教えると国民に分断が生じうるとして、議会が制限しようとする動きもある。