スリランカ沖でコンテナ船、火災後に沈み出す 燃料流出の懸念

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5月にスリランカ沖で出火したコンテナ船が沈み始めており、環境破壊の懸念が高まっている。
化学物質などを運んでいたシンガポール船籍の「エクスプレス・パール」は5月20日、コロンボ港近くで火災が発生。2週間近くたった6月1日にようやく消し止められた。
しかし、燃料タンクから石油が漏れ出し、海洋生物に深刻な影響を与える恐れが出てきている。
スリランカと隣国インドの海軍はこの数日間、共同で鎮火作業に当たると共に、船の分解と沈没を防ごうとしてきた。
しかし荒波やモンスーンなどで作業は難航した。
スリランカ海軍報道官のインディカ・シルヴァ大佐はBBCの取材に対し、「船が沈む前に、海難救助隊が水深の深い場所までえい航し、海洋汚染を最小限にとどめようとしているが、船の後部が流されてしまった」と説明した。船尾部分はすでに海底に到達したとみられている。

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環境保護活動家のアジャンサ・ペレラ博士は、この船の沈没は「環境にとって最悪のシナリオ」だと語った。
「この船が積んでいた硝酸などの危険物や、燃料の石油ごと沈没すれば、海底の生態系を全て破壊することになる」
ペレラ博士は、船を水深の深い場所へ引っ張る前にダイバーに船を点検させるべきだったと指摘した。
「環境への影響は今後、スリランカの海域にとどまることになる」
事故現場に近く、スリランカでも有数の自然が残る海岸があるネゴンボでは、すでにここ数日、石油や船の残骸などが流れ着いているという。


同国の漁業省は、ネゴンボの環礁や周辺水域を保護するための緊急措置を取っていると発表。また、パナドゥラからネゴンボにかけての水域での漁業を禁止した。
地元の漁業組合のジョシュア・アンソニー会長は、エクスプレス・パールは漁業にとって「死の一撃」になるかもしれないと述べた。
「海に出れないということは生活ができないということだ」
火災の原因は
スリランカ当局は、船内で硝酸が漏れていたことが火災の原因とみている。乗務員はこれに5月11日から気づいていたという。
船は硝酸25トンを積荷として積んでいた。硝酸は、肥料や爆発物の製造に使うことがある。
「エクスプレス・パール」を所有するシンガポールの海運会社「エクスプレス・シッピング」は、乗務員が硝酸の漏出に気づいていたことは認めた。ただし、カタールとインドの当局から、出火前に船を両国の海域に停泊させることを禁止されたという。
カタールとインドが自国海域での停泊を拒否したにもかかわらず、スリランカが航行を許可したことに、スリランカ国内では強い反発が起きている。
乗務員と共にすでに救出された船長に対して、スリランカ政府関係者が刑事告発する動きもあり、スリランカの警察は1日、船長と機関士から14時間以上にわたり事情聴取したと明らかにした。
現地の裁判所は、船長と主任機関士、副機関士について、スリランカからの出国を禁止する命令を出した。
コンテナ船は5月15日にコンテナ1486個を積んで、インド・ハジラを出港した。硝酸以外にも様々な薬品や化粧品を搭載していたという。





