米裁判所、TikTokのダウンロード禁止措置を一時差し止め

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画像提供, Reuters/TikTok

アメリカの地方裁判所は27日、ドナルド・トランプ政権が中国企業の動画共有アプリ「TikTok」について国内での新規ダウンロードを禁止した措置を、一時的に差し止める判決を下した。

TikTokは27日午後11時59分から、アメリカのアップルおよびグーグルのアプリストアから撤去される予定だった。

一方、すでにアプリを使用しているユーザーは、引き続きサービスを利用できることになっていたが、一度スマートフォンから削除した場合には再利用できず、アプリのアップデートも受けられない予定だった。

TikTokはこれに対し、首都ワシントンの連邦地方裁判所に禁止措置の一時差し止めを要求していた。

この判決については判事の意見が公開されておらず、判決に至った理由などは明らかになっていない。

TikTokは声明で、判決に喜んでいると述べた上で、引き続き権利保護に努めていくと語った。

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TikTokは、アプリをiOSとアンドロイドのアプリストアから強制的に撤去するのは、表現の自由などを妨げる法律の制定を禁止する合衆国憲法修正第1条に反していると主張。

また、この件に関して正式な反論の機会を与えられなかったことが、デュー・プロセス(法に基づく適正な手続き)を保障する修正第5条に違反していると指摘した。

「(米企業との提携に向けた)交渉が進行中で、禁止措置そのものが不用になるかもしれない中、今夜ダウンロードを禁止する意味はどこにあるのか?」

アメリカ政府の弁護団は、TikTokを運営するByteDanceが中国共産党の「代弁者」になっていると述べている。

同じく中国発のチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」も新規ダウンロードが禁止されることになっていたが、こちらも直前の20日に差し止め判決が出ている。

国家安全保障

差し止めは一時的なもので、長期的に見たTikTokのアメリカでの行く末はいまだ不透明だ。アプリを所有しているのは中国のBytedanceだが、中国で流通している「抖音」とは別のアプリとして運営されている。

トランプ政権は、BytedanceがTikTokに関わっていること自体が、許容できない国家安全保障上の脅威になっていると主張。中国共産党が「悪意を持ってアメリカ国民の個人情報を収集する」手助けをしているとみている。

Bytedanceはこれを否定しており、TikTokのデータはアメリカとシンガポールで管理されていて、中国の法律は適用されないと述べている。

しかしアメリカ政府が禁止措置をほのめかしたため、同社は先に、米ソフトウエア大手オラクルと米小売大手ウォルマートの3社連携案を発表。計画では、TikTokグローバルと呼ばれる新会社を設立し、オラクルとウォルマート新会社の最大20%株を保有するという。

トランプ大統領は当初この案に賛意を示していたが、後からBytedanceが50%以上の株式を持つ合意は受け入れられないと述べた。

今回TikTokが発表した声明からは、交渉がなお続いていることがうかがえる。

TikTok
画像説明, TikTok's audience skews younger than that of Facebook, YouTube and Twitter

さらに、中国政府はTikTokが使用しているアルゴリズムを取引に含めることを承認するかどうかを明らかにしておらず、これが事情を複雑にしている。

TikTokのアプリでアルゴリズムは、ユーザーの過去の視聴履歴などから次におすすめする動画を決める重要な役割を果たしている。

そのため、中国政府がアルゴリズムの取引を認めなければ、あらゆる提携案がほごになる可能性がある。

動画説明, アメリカやイギリスはTikTokを禁止する? 問題点は?

「成長し続けることが重要」

TikTokによると、同アプリのアメリカでのユーザー数は1億人を超え、世界全体では7億人に達している。

裁判所に提出した書類では、一時的であっても禁止措置が発動すれば、収益に大きな影響が出るとしている。

ヴァネッサ・パッパス最高経営責任者(CEO)代行は、「TikTokが競争力を保つためには、現段階で成長し続けることが重要だ」と述べた。

アメリカ政府はTikTokに対し、これまでに2種類の大統領令を発令している。

ひとつは今回一時差し止めされた、アップルおよびグーグルのオペレーティングシステム(OS)での流通を阻止するものだが、もうひとつはさらに踏み込んでいる。

こちらはトランプ大統領の抱える懸念を払拭できなかった場合、アメリカでのTikTok利用を全面的に禁止するという内容で、期限は11月12日となっている。