トランプ氏、弾劾調査は「でっちあげ」 民主党議員に暴言も

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は2日、ジョー・バイデン前副大統領の捜査をウクライナの大統領に求めたという疑惑をめぐる弾劾調査について、「でっちあげ」で「詐欺行為」だと下品な表現を使いながら罵倒した。調査を進める下院委員会は4日にも、ホワイトハウスに対して関連文書の提出を要請する召喚状を送付する。
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バイデン親子は「とことん悪党」
フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領との共同記者会見で、トランプ氏はバイデン氏と息子のハンター氏は「とことん悪党」だと述べた。
トランプ氏は自分への弾劾調査を進めるアダム・シフ下院情報委員長(民主党)に対し、「ずる賢いシフ(シフティー・シフ)」、「ろくでなし」などと怒りの大半をぶつけ、シフ氏は「恥にまみれて辞職すべきだ」と述べた。
さらに、「率直に言って、シフを反逆罪で追及すべきだ」と強調。シフ氏は「内部告発者が書簡を作成するのを手伝った」と思うと述べたものの、証拠は示さなかった。
これについてシフ氏は声明で、委員会側は告発内容を事前に確認したり受け取ったりなどしていないと反論した。
「告発者はスパイ」
トランプ氏は記者団に対し、「正当」な告発者のみが守られるべきだと主張。自分に対する告発内容を信用しないよう求めた。
「この国は、告発者の正体を突き止めなくてはならない。なぜなら、自分に言わせればその人物はスパイだからだ」
トランプ氏は、調査はすべて「でっち上げ」で「アメリカ国民に対する詐欺行為」だと主張した一方で、議会とは「常に連携していく」とした。
ロイター通信の特派員が、何が反逆罪に相当すると判断したのか尋ねると、トランプ氏と応酬する展開になった。
トランプ氏は、「私のことを(情緒が)非常に安定した天才だと考える者がいる」、ロシア疑惑の捜査に関与した人物に対し、「私はおそらく、たくさんの訴訟を起こすだろう」と述べた。
記者が重ねて質問への答えを求めると、トランプ氏はそれを遮り、「失礼なことをするな」と述べた。
「くそみたいなでたらめに時間を使うな」
トランプ氏は会見に先立ち、民主党幹部ナンシー・ペロシ下院議長とシフ氏に対する怒りをツイッターにぶちまけた。
「何もやらない民主党員は、我々の国を作ることに専念すべきだ。くそみたいなでたらめ(bullshit、直訳は雄牛のふん)にみんなの時間やエネルギーを無駄使いするな。やつらは、僕が2016年の大統領選で223対306という圧倒的な勝利をおさめてから、ずっとそんなことをやってる。今回はもっとまともな候補者を立てろ。じゃないと大変だぞ!」

「Bullshit」はアメリカでは通常、公の場で使われることのない強烈な表現。トランプ氏がツイートで使うのは、ムラー報告書の発表以来、2度目。「223対306」とは、2016年大統領選の選挙人の投票結果のことと思われるが、実際には「227対304」でトランプ氏が勝利している。
トランプ氏はさらに、ペロシ下院議長の出身地サンフランシスコ市はホームレスの「テント村」と化しているとし、ペロシ氏は地元のことに専念するべきだと書いた。
ホワイトハウスの対応を「軽視しない」
民主党からは、議会の要請を妨害し、電話会談の関連文書を提出を拒否したホワイトハウスに非難の声が上がっている。
ホワイトハウスの協力拒否を受けて、下院民主党は資料提出を命令する召喚状を次々と送付した。
下院監視・政府改革委員会のイライジャ・カミングス委員長は、「自分にとって、決して軽々しい決断ではない」と、文書で明らかにした。
「ここ数週間、複数の下院委員会は複数回にわたり、我々の文書請求に(ホワイトハウスが)自発的に協力してくれるよう、働きかけてきた。しかし、ホワイトハウスは要請に従うどころか、各委員会に回答さえしていない」
下院委員会は4日にも、ミック・マルヴェイニー大統領首席補佐官に宛てて、電話会談の関連文書の提出を求める召喚状を送付する。

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「おふざけではない」
ペロシ氏とシフ氏は2日、共同記者会見を開き、弾劾調査手続きの正当性を主張した。
「これは、おふざけではない」とシフ委員長は述べ、民主党は調査が「だらだら続く」ことは望んでいないと説明した。
さらに、内部告発者に対するトランプ氏の発言は、「当事者を露骨に脅そうとするもの」で、「暴力を扇動」するものだと批判した。
シフ氏は声明も発表し、情報委は告発内容を事前に確認したり受け取ったりなどしていないと主張した。
弾劾調査の内容
トランプ氏を大統領職から追い出すことになるかもしれない弾劾調査の発端は、情報当局者の内部告発だった。トランプ氏が7月25日に、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話で会談した内容に懸念を抱いたというものだ。
電話会談でトランプ氏は、自分の政敵のジョー・バイデン前副大統領(民主党)と、息子でウクライナのエネルギー企業ブリスマの幹部だったハンター氏について捜査するよう、ゼレンスキー氏に迫った。バイデン氏側に不正行為があったという証拠は明らかになっていない。
民主党は、トランプ氏がウクライナへの軍事援助の停止を決定したのと同じタイミングで、ゼレンスキー氏が大統領に就任したと指摘。トランプ氏は自分の利益のために、弱い立場の同盟国に対し、2020年大統領選への介入を迫ったとしている。
弾劾手続きとは
合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。
弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。下院が調査の後に単純過半数で弾劾訴追を可決した後、上院が弾劾裁判を行う。上院議員の3分の2以上が賛成すれば、大統領を解任できる。
現在の下院では、定数435議席のうち民主党が235議席を占めているため、弾劾訴追が成立する可能性は高い。
一方の上院は、定数100議席のうち共和党が53議席を占める。解任の動議成立に必要な3分の2以上の賛成票を得るには、多数の共和党議員が造反する必要があるため、大統領が実際に解任される見通しは少ない。
その一方で、トランプ氏を支持してきた共和党幹部のミッチ・マコネル上院院内総務は30日、もし下院が大統領を訴追した場合、上院としては規則上、弾劾裁判を開かないわけにはいかないと表明した。
過去の大統領で弾劾されたのは、アンドリュー・ジョンソン第17代大統領とビル・クリントン第42代大統領のみだが、上院の弾劾裁判が有罪を認めなかったため、いずれも解任はされていない。
リチャード・ニクソン第37代大統領は弾劾・解任される可能性が高まったため、下院司法委の弾劾調査開始から3カ月後に、下院本会議の採決を待たずに辞任した。











