性的人身売買の取材で通訳つとめ有罪 カンボジア

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ロシアのRTニュース・チャンネルによるカンボジアでの性的人身売買に関するドキュメンタリー取材で、通訳を務めたカンボジア人男性が26日、「虚偽のニュース」をでっちあげたとして有罪判決を受けた。人権団体は、貧困による性産業の実態を隠そうとしているとして、カンボジア政府を非難している。
ラス・モット・モニー氏は、母親によって性的人身売買の対象とされた経験をもつカンボジアの貧しい少女を取材したドキュメンタリー「母は私を売った(My Mother Sold Me)」の撮影に、通訳として携わった。
昨年公開されたこのドキュメンタリーについて、カンボジア政府は「虚偽のニュース」だと主張した。
モニー氏は訴追され、2年間の禁錮刑が言い渡されたほか、ドキュメンタリーで取り上げた母親2人に約1万7500ドルずつ支払うよう命じられた。
この判決について、RTニュースが「非常に残念」だと表明したほか、国際人権組織のヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)は、自国の貧困がもたらしている影響を隠そうとしているとして、カンボジア政府を非難した。
事の背景
昨年10月、ドキュメンタリー「母は私を売った」がユーチューブで公開されると、カンボジアで瞬く間に拡散された。
この内容について、カンボジア当局は調査を開始し、ドキュメンタリーで取り上げられた1組の母娘の聞き取りを行なった。後に、2人が嘘をついて金銭を受け取っていたと認めたと発表。当局は、「同国を侮辱する虚偽ニュース」だと主張した。
建設労働者の労組リーダーでもあるモニー氏は昨年、ドキュメンタリーの公開後、オランダへ渡航しようとした際にタイで逮捕され、カンボジアに送還された。
カンボジアの裁判所は26日、差別を引き起こしたとして、モニー氏に有罪判決を言い渡した。詳細は明らかにされなかった。
食い違う主張
ドキュメンタリーに登場した母親の1人、ケオ・マライ氏はロイター通信に対し、モニー氏の有罪判決後、自分はモニー氏にだまされていたと主張した。
「私は自分の娘は売っていない。モニー氏は私に対し、より多額の支払いを受けるために、否定的なことを言うよう要求してきた」
一方で、モニー氏の妻のロン・キムヘアン氏は、夫は通訳として働いただけであり、裁判所の決定は「公正ではない」と反論した。

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撮影中はカンボジア当局と常に連携を取り、「最高水準」を保ち続けたとしているRTニュースは、声明で、「我々はモニー氏の逮捕をめぐる状況の解決を手助けするため、複数の外交ルートを含む、あらゆる手立てを尽くしている」と明かした。
「報道の自由とかけ離れた」判決
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、今回の判決は「報道の自由とはかけ離れたもの」だと主張。壊滅的な貧困により、一般家庭が性労働を強いられているという現実を覆い隠そうとしているとして、カンボジア政府を非難した。
同組織のアジア局局長代理を務めるフィル・ロバートソン氏は、「モニー氏を収監するというこの動きは、不都合な現実を国際社会に訴えかける人のことを『お門違いに非難する』カンボジア政府の策略の一例だ」と述べた。

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ロバートソン氏は、「カンボジアの性風俗産業では、18歳未満の少女が働いている。カンボジア政府はその問題に適切に対処することを怠っている」と付け加えた。
フン・セン首相率いるカンボジア政府は、批判的なラジオ局や報道機関を閉鎖するなど、独立系メディアを標的とした攻撃を強めており、同国の政治が独裁的になりつつあるとの批判が上がっている。
国境なき記者団(RSF)によると、カンボジアにおける報道の自由度は、180カ国中143位に留まっている。同国の裁判制度は、政府与党からの独立性に欠けるとして悪名高い。





