インドネシア地震・津波、犠牲者は1300人超に 略奪行為も

A woman (R) holds her new grandchild who was just born outside Undata hospital in Palu in Central Sulawesi on October 2, 2018, four days after a strong earthquake and tsunami hit the area

画像提供, AFP

インドネシア国家防災庁は2日、9月28日にインドネシア・スラウェシ島パルで起きたマグニチュード(M)7.5の地震と津波による犠牲者がこれまでに1347人に上ったと発表した。

確認された死者数は当初の844人から大幅に拡大している。

一方、生き残った人々は食べ物や燃料、水の確保に奔走しており、警察は略奪行為を防ぐため小売店などを警備している。

インドネシア国家警察のアリ・ドノ・スクマント副長官は、現地警官は当初、日用品を確保する被災者たちに寛大な態度を取っていたものの、コンピューターや現金を奪って逮捕される人も出てきたと話した。

「(災害から)2日後には食料が運ばれ始めていて、あとは流通させるだけだ。我々は法律順守のため取り締まりを再開している」

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パルにはこのほか、人道支援の輸送車が兵士や警官の護衛と共に到着している。

崩れた建物のがれきの下にはなお、生存者がいると推定されている。

動画説明, 「食べ物が必要」と略奪行為に走る住民 インドネシア地震・津波
Presentational white space

生存者の可能性は?

インドネシア赤十字の広報担当者によると、土砂崩れに巻き込まれた教会の下から子供34人の遺体が発見された。

子供たちは教会のトレーニングセンターで「聖書キャンプ」に参加していた。このキャンプには計86人の子供が参加していたが、残る52人の行方は分かっていない。

赤十字のリドワン・ソブリ氏はBBCに対し、「この地域の泥の状態はひどく、(土砂崩れの現場に)たどり着くまでに1時間半も歩かなくてはならなかった」と話した。

亡くなった子供たちの年齢や身元は特定されていないという。

救助隊はこのほか、倒壊した4階建てのホテルのがれきからも生存者を探している。

ロア・ロア・ホテルには崩壊時点で50人が建物内にいたとみられている。現場からはこれまでに3人の生存者と9人の遺体が発見されている。

Indonesian rescue team searches for victims and survivors at the earthquake-damaged Roa Roa hotel in Palu

画像提供, Reuters

画像説明, がれきの山となったロア・ロア・ホテル

救助隊を率いるアグス・ハリョノ氏は、音波探知機を使って生存者を探していると説明した。

また、コンクリートや金属を切断する機械ががれきの撤去に一役買っているものの、「生存者を傷つける危険がないよう細心の注意を払わなければいけない」と話した。

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、救助活動に増員が必要だと訴え、被災地域に警官と兵士を送るよう国家捜索救助隊に指示した。

「対処すべき優先事項がいくつかあるが、まずは住民の避難と、まだ発見されていない犠牲者の発見と救出だ」

An officer walks at a collapsed prison wall following an earthquake in Palu, Central Sulawesi, Indonesia, October 2, 2018

画像提供, Reuters

画像説明, パルの刑務所では壁が崩れ、数十人の服役囚たちが脱走した

支援が滞っている理由は?

パルでは橋が破壊され、道路は寸断され、空港は一部が閉鎖、通信インフラも破壊された。このため、被災地域への支援提供が困難になっており、遠隔地域とは連絡が取れない状態だ。

Palu bridge before and after
画像説明, 地震と津波に襲われる前後の、パルの橋の航空写真
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病院も被害を受けたため、けが人は屋外で治療を受けている。また、少なくとも1カ所にインドネシア軍が野外病院を設置した。

軍は支援物資を空輸し、被災者やけが人を飛行機で脱出させるため、空港の管理を引き継いだ。

しかし旅客機でパルから離れようとしている数千人は、なお待機を強いられている。

食料品店を営むウィウィドさん(44)はロイター通信に対し、「どこ行きの飛行機でもいいから乗りたい。もう2日間待っている。何も食べてないし、ほとんど何も飲んでない」と語った。

An Indonesian soldier carries an elderly woman evacuated after an earthquake and tsunami at Mutiara Sis Al Jufri airport in Palu, Central Sulawesi, Indonesia, October 1, 2018 in this photo taken by Antara Foto

画像提供, Reuters

1日には、軍用機でパルから避難できないかと3000~5000人もの人々が空港に押しかけた。インドネシア軍は代わりにフェリーを用意した。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、20万人近くが早急な支援を必要としており、うち4分の1が未成年だという。

英政府は2日、緊急支援物資を載せた輸送機1機をインドネシアに送ったと発表した。

A view of a mass grave for victims of the earthquake and tsunami near Palu, Central Sulawesi,

画像提供, Reuters

こうした中、パルの丘の上では、ボランティアが共同墓地に犠牲者を埋葬している。

ボランティアには、1300人の遺体の到着に向けて準備をするよう指示が出ている。

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<現地から>「威嚇射撃と催涙ガス」 ――ジョナサン・ヘッド、BBCニュース(パル)

Police fire warning shots outside a shop in Palu, Indonesia

私たちがパルの街で会った人はみんな、家族の生活必需品を確保することに集中していた。市内の基本インフラは全て停止し、水道水や電気、食料、飲料水は少ない。人々は必死になっている。

小売店を警備する武装警官の一団が、中に入ろうとする住民に押されているのを見た。

警官はいきなり大声をあげ、住民に下がるよう警告した。続いたのは空への威嚇射撃と催涙ガスだ。警官に石を投げる人もいた。暴動は一瞬、エスカレートするかに思われた。

People leave a shop carrying looted goods in Palu

しかし1時間後には警官が退がり、群集を店内に入れた。大勢が買い物袋を持って通りを走ってくる中、現場の雰囲気は怒りから喜びに変わった。

警察は食料以外の品物を持ち出すのを止めようとしていた。プラスチック製のおもちゃや化粧品を引き渡し、略奪品の入った袋を空にさせられている人もいた。

ある警官が疲れた表情で、店を守るのが自分の責任だったと話してくれた。しかし、こんなにも必要に迫られている人たちの前で、彼に何ができただろう?

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