なぜ一部のニジェール国民はフランスを追い出し、ロシアを歓迎したいのか
チマ・イラ・イッソウフウ、ベヴァリー・オチイング、BBCワールドサービス(ニアメー、ナイロビ)

西アフリカのニジェールでは7月26日の軍事クーデター以来、西側諸国に対する敵対心の高まりが様々な形で表面化しているい。軍に拘束された民選のモハメド・バズム大統領の伝統的な支持基盤では、ロシア国旗の色の服を誇らしげに見せびらかす実業家もいる。
クーデター以来、軍部と西側諸国の間で舌戦が続いている。
バズム氏は西側にとって、イスラム主義者との戦いにおける重要な同盟者であり、力強い経済的パートナーでもあった。
ニジェールにはフランス軍の基地がある。また、世界第7位のウラン産出国でもある。ウランは原子力に不可欠で、産出量の4分の1が欧州に、とりわけ旧宗主国フランスに輸出されている。
だが、クーデターを主導したアブドゥラフマン・チアニ将軍がバズム氏を失脚させて以降、街中でいきなりロシア国旗の色が見られるようになった。
首都ニアメーでは30日、数千人が抗議デモに参加。中にはロシアの国旗を振りかざす者や、フランス大使館を襲撃する者さえいた。
この「運動」は今や、ニジェール全土に広がりつつあるようだ。
<関連記事>

ニアメーから約800キロ離れた中部ジンダーに住む実業家は、「自分は親ロ派で、フランスは嫌いだ」、「子供のころからフランスに反対してきた」と話した。この人物は身の安全のため、名前は明かさず、顔にモザイクをかけるよう要求した。
「フランスはウランやガソリン、金といったこの国の富を全て搾取してきた。最も貧しいニジェール人が1日3食食べられないのは、フランスのせいだ」
この実業家は、ジンダーでも8月31日に軍事クーデターを支持するデモが起き、数千人が参加したと語った。
また、地元の洋服店に頼んで白と赤、青のロシアの色の素材で服を作ってもらったと語った。一方で、その代金を親ロ派組織が支払ったことは否定した。
ニジェールの人口は2440万人。5人に2人が、1日に2.15ドル(約308円)以下で暮らす極度の貧困状態にある。

画像提供, AFP
バズム大統領は、2021年に就任。1960年の独立以来初の民主的な選挙で選ばれ、平和的な権力移譲が実現した。
しかしバズム政権は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」や「アルカイダ」につながる武装組織の標的となった。こうした組織は、サハラ砂漠の一部や、サハラ砂漠南縁部に広がる半乾燥地域「サヘル」で活動している。
イスラム主義者の圧力を受け、隣国のマリとブルキナファソでは近年、ジハーディスト(イスラム教聖戦主義者)との戦いを助けるとして軍部が政権を握った。両国ともかつてフランスの植民地で、フランスと大きな利害関係がある国だ。
両国ではニジェールと同様、かつては多くのフランス軍が駐留して援助をしていた。しかし、イスラム主義者の攻撃が続く中で反仏感情が高まった。この3カ国の人々は、イスラム主義者に対抗するための対応が不十分だと、フランスを非難するようになった。
マリは軍事政権が成立すると、まずフランス軍を追い出し、数千人規模の国連の平和維持部隊も撤退させた。そして、ロシアの雇い兵組織「ワグネル」を迎え入れたのだった。
マリでのイスラム主義者の攻撃は続いているが、ブルキナファソの軍事政権もロシアと接近し、フランス軍を追放した。
ニジェールでは、バズム政権が反仏抗議運動を何度も禁止していた。
2022年半ばに、マリから追放されたフランス軍のバルカン部隊について、バズム政権がニジェール国内への再配備を許可した際には、いくつかの市民団体が反仏抗議を加速させた。
中でも顕著だったのは、活動家や市民団体、労働組合などが連合した「M62」と呼ばれる活動グループで、生活費の上昇や統治の欠陥、フランス軍の駐留について声を挙げた。

ニジェール当局は、「M62」が計画した抗議を禁止したり、暴力を使って中止に追い込んだ。指導者のアブドゥライエ・セイドウ氏は2023年4月、「公の秩序を乱した」罪で9カ月の禁錮刑となった。
「M62」は、バズム大統領が拘束・失脚させられた後、勢いを取り戻したようだ。
国営テレビは、「M62」のメンバーたちが軍事政権を支持する大規模なデモを起こし、西アフリカの指導者らによる制裁を非難したと、異例の報道を行った。
「M62」が、「祖国救済国家評議会(CNSP)」を称する軍事政権やロシアとつながりがあるのかは不明だ。
しかし「M62」は、30日のデモに参加した小規模の市民団体を統括している。
ジンダーに戻ると、親ロ派の実業家はロシアがニジェールを助けてくれることに前向きだと話した。
「治安と食料の面で助けてほしい」、「ロシアは農業改良の技術も供給してくれるかもしれない」と、この実業家は述べた。
しかし、ジンダー在住の農家モウタカさんはこの意見に反対するクーデターは万人にとって悪いものだと話した。
「ロシアがこの国に来ることに賛成しない。みんな欧州人だから、誰も助けてくれないはずだ」と、モウタカさんは言った。
「ニジェールを愛しているし、平和に暮らせるよう望んでいる」









