大気汚染や温室効果ガスが激減 新型ウイルス拡大で人の移動など減り
マット・マグラス、BBC環境担当編集委員

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新型コロナウイルスの感染拡大が人の移動や仕事に大きく影響するなか、一部の地域で大気中の汚染物質や温室効果ガスが急減している。
ニューヨークの研究者たちはBBCに、大気中の一酸化炭素量を昨年同時期と比較したところ、速報値ではほぼ半減したと話した。空気中の一酸化炭素は主に自動車の排ガスが原因となる。
地球の温暖化につながる二酸化炭素の排出量も、急減している。
ただし、ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が終われば、どちらの排出量もまた急増すると懸念されている。
パンデミックの影響で世界的に経済活動が低下している状況で、エネルギー消費や移動に伴う様々なガスの排出量が減るのは意外なことではない。
研究者たちによると、落ち葉の腐敗で土壌からの二酸化炭素放出量が最高レベルに達する5月までの二酸化炭素の量は、2008年秋の金融危機以降と並ぶ低水準になる可能性がある。

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まだ早い段階ではあるものの、3月半ばのニューヨークで収集されたデータからは、不要不急の移動を控えるようにという指示が、かなりの影響をもたらしているようだ。
コロンビア大学の研究チームによると、市内の交通量は前年同期比35%減。乗用車やトラックが主な排出源となる一酸化炭素の量は数日間、50%ほど減った。上空の二酸化炭素量は5-10%減り、メタンも大きく減ったという。
ニューヨークの大気分析を実施した同大のロシン・コマーン教授は、「ニューヨーク市内ではこの1年半というもの、一酸化炭素の量が突出して高かった。それに対して、空気がこれほどきれいになるのは、初めてだ。汚染物質の量は通常の3月の半分に満たない」と話す。
この分析結果には留保条件がいくつかあるものの、感染拡大対策として住民の行動を厳しく制限した中国やイタリアで見られた環境への影響にも呼応している。
イギリスの気候科学情報サイト「カーボン・ブリーフ」に掲載された分析によると、中国では2週間にかけてエネルギー使用量と大気汚染物質の排出量が25%減った。これに伴い、今年の中国の二酸化炭素排出量は約1%減る見通しだという。
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中国と北イタリアでも、二酸化窒素の排出量がかなり減った。これは、車両の移動や工業生産の減少に関係すると考えられる。二酸化窒素は大気汚染と温暖化のどちらにとっても、大きな要因だ。

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旅客機の運航が激減し、何百万人もの人が自宅で働いている現状では、おそらく多くの国で汚染物質の排出量が同じように減少しているだろう。
在宅勤務で各家庭の暖房や電気の使用量は上がるだろうが、通勤が減り、経済全般が失速すれば、世界全体の排出量に影響が出るはずだ。
「二酸化炭素の排出量がピークを迎える5月を前年と比較して、今年の上昇幅はきわめて小さいものになるだろう。北半球でこれほど増分が少なくなるのは、2009年以来のことになるはず。あるいはもっと前と比べても、少ないかもしれない」と、コマーン教授は言う。
他の研究者も、感染対策のための行動制限は、今年いっぱい二酸化炭素量に影響すると見ている。
「パンデミックがいつまで続くのか、そして経済活動への影響、とりわけ米経済がどれだけ失速するかによる。けれどもおそらく、今年の世界的排出量に影響が出るだろう」と、英イーストアングリア大学のコリーン・ルクエレ教授は言う。
「パンデミックが今後さらに3、4カ月も続くようなら、排出量は目に見えて減るはずだ」
二酸化炭素の排出量や大気汚染のレベルには、パンデミック収束後に各国政府がどういう景気刺激策を実施するかが大きく影響するだろう。
世界金融危機の後の2008年から2009年にかけては、二酸化炭素の排出量が一気に跳ね上がった。景気浮揚策として各国政府が実施した財政支出が、化石燃料の使用を促進したからだ。
これからの数カ月間に何をどうするかで、各国政府は以前とは異なる結末を導きだすことができる。大気汚染や温暖化を悪化させる経済対策の代わりに、たとえば航空業界の救済策は、排出量削減の強化と引き換えにするなどの方法で。
「各国政府は本当に慎重に、景気を刺激する手段を選ばなくてはならない。化石燃料の使用量をまた増やしたりしないよう」と、ルクエレ教授は言う。
「排出量を減らす手段に注力すべきだ。たとえば、建物のエネルギー効率改善、ヒートポンプや充電器の設置など。難しいことではなく、すぐに実施できる。これまでは経済的インセンティブがなかっただけだ」
ただし、パンデミックがもっと長期化した場合、政府の景気浮揚策は環境負荷に構わず、ひたすら経済成長を促進するためのものになるはずだという意見もある。
「気候変動は後回しになるはずだと思う。この場合、景気刺激策がクリーン・エネルギー活性化に使われるという希望はあまりない」と、オスロ国際気候環境研究センター(CICERO)のグレン・ピータース教授は言う。
「どのような刺激策も、観光やサービス業の失職者を助けることになる。今回のこれは世界金融危機とはかなり別物だと思う。今回の危機からせめて何か前向きな材料が出てくるとしたら、それはたとえばリモートワークが新しく習慣化するとか、太陽光や風力発電が追いつくための時間稼ぎに低成長が数年間続くとか、それくらいだ。どれもそれほど大きな成果とはいえない」










