「みんな過剰反応だ」 新型ウイルスで封鎖されたイタリア

ジョージ・ライト、BBCニュース

A vendor wears a respiratory mask in Naples

画像提供, AFP

画像説明, ナポリでは露天業者がまだ路上で仕事を続けている

イタリア政府が新型コロナウイルスとの戦いで、第2次世界大戦以来の厳格な規制措置を取るなか、国中に不安と混乱が広がっている。

イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は、移動制限や公共の場での集会禁止などの措置が全国的に取られるなか、新型ウイルスの大流行を同国の「最も暗い時間」と表現した。

実施されている制限は多岐にわたる。

  • 移動は制限されているが、正当な理由がある人は例外的に移動が認められる
  • バーやレストランは午前6時から午後6時まで営業できる。ただし、客が互いに1メートル以上の間隔を保つようにしなくてはならない
  • 商店も客が互いに1メートル以上離れるようにしなくてはならない
  • 映画館や劇場、博物館などの施設は閉鎖を命じられている
  • 全てのスキー場は通知があるまで閉鎖となる
  • サッカーを含む全てのスポーツのイベントは全国的に休止されている
  • 学校(大学を含む)は4月3日まで休校を続ける
  • 結婚式、葬式、洗礼式を含む全ての公共の場での集会を禁止する

しかし、イタリアの人たちはBBCに、「封鎖」の実施状況をめぐって各地で混乱が生じていると話した。

「何が起きているか誰もよくわからない。わかっているのは、市を出たり入ったりできないことだけ」と、ボローニャの語学講師エミリー・ミリントンさんは述べた。

「外出してぶらぶらできるのか、もしそうしたら厄介なことになるのか、自宅にこもるべきなのか、はっきりしない」

Emily Millington

画像提供, Emily Millington

画像説明, ボローニャで暮らすミリントンさん
Presentational white space

ミリントンさんは10日の早い時間に、ボローニャから北部の町トレントにあるボーイフレンドの家まで、車で3時間かけて移動した。トレントでは住民が自主隔離している。

「私のように、感染しているのか自分でわからない人もいる。何が起きているのかよくわからない」と彼女は言う。

「症状が出ていないから、粘膜を採取されないのはわかっている。でも私は、感染した人たちと接触している」

「まるで根比べだ」

ミリントンさんは在宅勤務が可能だ。しかし、勤務先の民間語学学校の競合校には、閉鎖するところも出ているという。

「雇用主たちは、ぎりぎりまで持ちこたえようとしている」と彼女は話す。

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南東部プーリアの教師ダン・デイヴィソンさんは、家を出るときは正当な理由が必要だと説明があったが、その通りになっている様子は見えないと話した。

彼は、「これまでに例のないことなのはわかっているけど、明快なメッセージが全くない」と述べ、プーリアは「ゴーストタウン」のようだとした。

「人々はいくらか作り話をしているように思える。例えば、誰かから新しい規則ができたと聞いても、オンラインで探すとまったく見当たらないこともある」

「本当にはっきりしない」

デイヴィソンさんは、ライアンエアーやブリティッシュ・エアウェイズなどの航空会社が、イタリアと結ぶ全ての国際線を運休すると決めたことで、「座礁した」気分になったと話した。

Dan Davison

画像提供, Dan Davison

画像説明, デイヴィソンさんは、混乱が広がっていると話す
Presentational white space

ボローニャのミリントンさんは、今回の大流行によって、社交の輪の空気が変化していると話す。

彼女の知り合いの女性は発熱があったが、指定されたホットラインに電話をしなかったため、その友人が電話をかけたという。

「みんな互いに密告し合っているようで、本当に奇妙だ」

「昨夜もそのことで冗談を言っていた。友だちと会おうと思っても、すぐ『あの人は誰と会っていたのか?』と考えるって」

「被害妄想に取り付かれているみたい」

ミリントンさんは、熱が出ても社会的に汚名を着せられるのを恐れて、それを明らかにしない人もいると話す。

A man wearing a face mask next to a fish market stall

画像提供, Reuters

画像説明, シチリア島カターニアの魚市場
Presentational white space

1977年からシチリア島で暮らすタンシー・ボールさんは、大学が閉鎖され、感染者が多い北部から人々が南部の実家に戻って来るようになったことで、感染者が急増しているようだと話した。

家族の中で高齢者と若者の絆が強いことも、現実として状況を悪化させている恐れがあると、彼女は言う。

「家族のつながりが強い国柄で、娘、おい、めい、孫をまだみんな家に入れる」

「みんな高齢者施設には行かないよう勧められてきた(中略)今後行くかどうかは、わからない」

こうしたパニック状態にもかかわらず、ボールさんは封鎖を落ち着いて受け止めている。

「心配は私じゃなく、他の人にしてもらう。もし感染しても回復できると思う」

「やる事がたくさんある。勉強したり、本を読んだり、場合によっては家の塗り替えも。誰に会うわけでもないから、外に出て買い物に行くことも、自転車に乗ることもできる」

「ただ、あるがままを受け入れるだけ」

Italian cases of coronavirus
画像説明, イタリアで確認された新型コロナウイルス感染者の日別人数。1人目が確認された1月31日以降、2月20日までは2人しか増えなかったが、その後に急増。直近3日間は毎日1000人を超えている(出典:WHO、グリニッジ標準時10日午前6時現在)