「ミス・インディア」出場者、なぜ全員そっくり? インドの色白崇拝

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インド最大規模の美人コンテスト「ミス・インディア」で今年、出場者たちのある特徴が話題になっている。「肌の色」だ。
事の始まりは、新聞「タイムズ・オブ・インディア」が出場女性30人の写真を並べて掲載したことだった。
あるツイッター利用者が、「この写真、どこがおかしいと思う?」という問いかけと共に、この候補者リストを投稿。すると一気に、さまざまな反応が起きた。

肩にかかる長さの、滑らかでつやのある髪。そして白い肌。
ほぼ全員、そうした特徴を備えていることから、ツイッターでは「みんな同じに見える」という感想を述べる人も。「本当はみんな同じ人ではないか」と冗談を飛ばす人もいた。
さらに、「女性たちが悪いわけではない」とした上で、候補者の見た目が多様性に欠けるのは、色白でかわいらしい人に対するインド人の強い執着心の現われだとする指摘も出た。
新聞社が加工した?
ミス・インディアで化粧などを担当するシャミタ・シンハー氏は、リストの候補者たちは「プラスチックみたいだ」とし、オリジナルの写真が加工されたとの見方を示した。
シンハ氏はまた、ミス・インディアの主催者側は写真を加工しないよう指示していると説明し、新聞社側が変更を加えた可能性を示唆した。
「これは実際の写真の肌の色とは違う」とシンハ氏は言い、過去のミス・インディア優勝者たちの中には、もっと肌の色が濃い人がいたと指摘した。

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ミス・インディアの優勝者には、ボリウッド(ハリウッドのインド版)で活躍し、裕福な暮らしを送る人が多い。
そのため、優勝を夢みる若い女性たちは多く、コンテスト参加者向けにさまざまな指導をする施設がインド各地で生まれている。
色白への強い憧れ
優勝者に色白の人が多いのは事実だ。
インド人の「肌の白さ」への憧れはよく知られており、多くの国民が「色白」は「色黒」よりも優れていると考えている。
結婚相手を見つける場合も、色が白いほうが有利だと受け止められている。
インドでは1970年代、「フェア・アンド・ラヴリー(色白でかわいらしい)」という商品名の、肌を白くする(とされる)最初のクリームが発売された。以来、同種の化粧品はどれも人気商品に。コマーシャルでは、ボリウッド俳優たちがその効果を語っている。
コマーシャルが宣伝するのは、美白効果だけではない。いい仕事、恋愛、結婚にも役立つとアピールする。
そして、一定の肌の色を好むミス・インディアのような美人コンテストは、こうしたステレオタイプの助長に一役買っている。

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商品を通して刷り込み
色白は女性だけでなく、男性にとっても必要なことだと、どこかの誰かが思いついたおかげで、2005年には、初の男性用クリーム「フェア・アンド・ハンサム(色白でかっこいい)」が発売となった。
これも、ボリウッドのスーパースター、シャー・ルク・カーン氏が宣伝。大ヒット商品となった。
美白商品の擁護者は、使うかどうかは個人の選択だから問題ないと主張する。女性が唇を赤くするために口紅を使うのと同じだという理屈だ。
筋が通っているようにも聞こえる。しかし、色白を好む風潮に異を唱える人たちは、そうした化粧品によって、色白の「優位性」が目立たないように、しかし繰り返し国民の感覚に刷り込まれ、社会の偏見が維持されていると主張。自尊心が低いまま育った「色黒」の人たちを傷つけており、あまりに不公正だと訴える。
「これがインドの色」
インドの広告業界団体は2014年、ガイドラインを採択。コマーシャルで肌の色が濃い人を、「非魅力的、不幸、落ち込んでいる、悩んでいる」、「結婚、就職、昇進で不利」といった印象を与えるように描くことを禁じた。
だが「色白」を称えるコマーシャルは、以前より慎重になっただけで、相変わらず作られ続けている。人気俳優たちも化粧品を宣伝している。
しかしつい最近、心温まるニュースが報じられた。南インドの女優、サイ・パラヴィ氏が今年初め、美白クリームのコマーシャルへの、2000万ルピー(約3100万円)の出演オファーを蹴っていたという。
「そんな広告で金をもらっても、どうしようもない」、「私たちの基準は間違っている。これがインドの色だ。外国人に向かって、なぜあなたは色が白いのかと聞くことなどできない」、「あの人たちの肌はあの色。私たちの肌はこの色だ」――パラヴィ氏はこう話したとされる。








