ネットいじめが女性を政治から遠ざけている=労働組合
ジェマ・ライアル、BBCニュース

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政治家を標的にした中傷がソーシャルメディアで飛び交っていることが、女性の公職出馬を妨げていると、英国の労働組合が警鐘を鳴らしている。
労働組合「ユニゾン・ウェールズ」は、自分の地域社会のために働こうとする人が、性差別発言や罵倒中傷にさらされる状況が、あまりに普通のこととなってしまったと指摘する。
アベルコンウィ選挙区から下院選に出馬する労働党候補、エミリー・オーウェンさんは、男性からブラジャーのサイズを教えろ、票が欲しければ裸になれなどと、嫌がらせを受けたという。
英議会は、オンラインで嫌がらせ被害に遭った女性政治家を支援するチームを立ち上げた。
各政党も、嫌がらせを受ける候補を支援しようとしているという。しかし、もっと対策が必要だと言う政治家もいる。
オーウェンさんは、立候補したと同時にフェイスブックとツイッターでしつこい嫌がらせが始まったことと、その内容にショックを受けたと話す。
ウェールズの政党「プライド・カムリ」のリアン・ウッド党首が、ツイッターで自分に向けられた攻撃を「おぞましい」と公開してから6カ月以上たつ。レイプを示唆するツイートをした男が逮捕され、ウッド党首を誰か撃ってしまえと呼びかけた男が地域奉仕活動を命じられた。
公職者の労組「ユニゾン・ウェールズ」は、組合員の大部分が女性だ。そしてそのユニゾン・ウェールズによると、ネットで嫌がらせされる女性政治家はオーウェンさんとウッド党首だけではなく、問題はあまりに深刻なため、対応法の講習会を組合員に開いているという。
ユニゾン・ウェールズのネットいじめ対策を指導するジェニー・グリフィンさんは、「性差別、いじめ、外見差別など、非常に大きな問題になりつつある。注目される立場だからといって、耐えなくてはならない筋合いはない」と話す。
「確実に、公職を目指す女性の妨げになっている。特に子供がいる女性は、家族をこんな目に合わせたくないだけに、影響が大きい。身近な人たちも標的にされがちなので」
同性愛差別
労働党の前議員で、現在はロンダ選挙区から出馬しているクリス・ブライアント氏は、ゲイの男性やマイノリティーの人たちもネットいじめの対象だと指摘する。
「間違いなくここ2、3年で悪化している。私も毎日のように、罵られたり同性愛嫌悪の暴言を吐かれたり、まったくのうそを書かれたりする。ソーシャルメディアでは匿名で、手紙や面と向かってはとても言えないような事を平気で書けてしまう」
「そのせいで確実に多くの、特に子供がいる女性は、出馬したがらない。政治の世界に入ってみようかと考えてはみたものの、ひどい攻撃の中にわざわざ飛び込みたくないという人を大勢知っている」

ドゥーボー・ミリオネス選挙区から再選を目指すプライド・カムリのリズ・サビル=ロバーツ議員は、ネット上の暴言やサイバー犯罪に取り組むための法案を提出した。
サビル=ロバーツ議員は、「党派の壁を超えて各党の女性議員に話をしたところ、これは確かに全員にとって問題なのだと分かった。ただし、若い女性の方がひどい目に遭っていると思う」と話す。
「ソーシャルメディアの各社がもっと取り組むべき問題だ。各社に責任があるし、説明責任を果たしていない」
「相手をブロック」
しかしカーディフ大学で犯罪学を教えるマシュー・ウィリアムス教授は、ソーシャルメディアは長所が短所を上回ると話す。
「ソーシャルメディアせいで、政治を志す若者が減るとは必ずしも思わないし、主張を広める場所としてソーシャルメディアは有効だ」
「ただ上手に危険を避け、被害を受けないようにするには、知恵が必要だ。大量の暴言を受けている人は、まずは警察に通報した方がいい」
「警察が対応しないなら、相手をブロックするなど、よりソフトな手段も可能だ。ツイッターやフェイスブックにコメントの削除依頼を出すこともできる」

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ウィリアムス教授の研究室は、何がソーシャルメディアで嫌がらせの引き金となるのかを調べている。政治的な出来事が、極端な意見の表現につながることが多いという。
「データを見ると、そういう時に暴言が一気に急増するのが分かる。総選挙のような出来事があると、ネット上にヘイトスピーチが大量にあふれる」
「ブレグジットをめぐる国民投票の後もそうだった。社会の特定集団の中で感情が高ぶり、極端な意見が噴出した」
各政党はこの問題を重く受け止めているという。
保守党の報道官は、「候補者や議員がネット上で中傷されていると分かれば、対応を手助けします」と述べた。
「ネット上の暴言が深刻な場合は、警察に通報するよう常に勧めています」
BBCは自由民主党とイギリス独立党にも、この件についてコメントを求めた。










