「スウェーデン史上最悪」の銃撃事件、なぜ起きたのか その答えを求める人々

犠牲者のために手向けられたろうそくや花と、身を寄せ合う人々

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ニック・ビーク欧州特派員(スウェーデン・エーレブル)

イスマイル・モラディさん(16)は、いつもなら、教科書を持って学校に向かう。

しかし、5日は違った。イスマイルさんが握りしめていたのは、赤い花の束だった。前日に起きた、スウェーデン史上最悪の銃撃事件で殺害された人々にささげるためだ。

「ショックでした。こんなに近くで起きるなんて。今日、学校に行きたかったのか、自分でも分かりませんでした」と、イスマイルさんは私たちに言う。

4日に標的となったのは、成人向けの教育施設だ。その隣に、イスマイルさんが通う小学校がある。

警察はいまだ、犯行動機を明らかにしていない。しかし、クルド人であるイスマイルさんは、この銃撃には、明らかに人種的な要素が絡んでいるのではないかと、不安に思っているという。

「この学校には、スウェーデンにやって来たばかりの人しかいません。スウェーデン人はそれほど多くはない。だから、ある特定の集団を狙ったものだと思います」

イスマイル・モラディさん
画像説明, 銃撃事件には人種的要素が絡んでいるのではないかと不安に思っていると、イスマイル・モラディさんはBBCに話した

スウェーデンの警察による、銃撃犯の経歴に関する調査は今も続いている。この事件では容疑者を含む11人が死亡した。警察は、標的を絞った事件だったとは断定していない。

看護師見習いのヘレン・ヴェルメさん(35)は、銃撃を生き延びた。ヘレンさんと複数のクラスメートは、銃撃犯が廊下をうろうろしていた間に、教室に鍵をかけて閉じこもった。

「銃声が聞こえました」と、ヘレンさんは私たちに話した。「今にも撃たれるのではないかと、自分の子供たちのもとへ帰れなくなるのではないかと思いました」

私たちが彼女と出会ったのは、学校の外だった。そこでは一日中、地元の人たちがろうそくをともしたり、封鎖されたままの学校の方を見つめたりしていた。

いてつく風が吹く中、人々はうつろな表情を浮かべていた。その様子は、この24時間で多くのスウェーデン人が受けた衝撃を物語っていた。

国王が献花に訪れると、現場は静まり返った。半旗が掲げられ、厳粛な雰囲気が国民感情を表していた。

事件に関する説明を十分受けていない国民の悲しみは、複雑なものになっている。警察は現在、大規模な捜査の真っただ中で、捜査が終わるまでは公表できることはないとしている。

警察や治安当局が以前から存在を把握していたわけではない、いわゆる「クリーン・スキン」の人物像をつかむ捜査は、一段と困難なものになる。

ただ、今回の事件では多くの犠牲者が出ただけに、国民も政治家も、今すぐにでも警察から回答を得ることを望んでいる。

地方や地域、そして国レベルで、100人以上の専門の警官が捜査に関わっている。

スウェーデン・メディアが報じた、未確認情報によると、銃撃犯は地元の35歳の男で、合法的に銃を所持していたという。

レハム・アッタラさん
画像説明, 銃撃事件を受け、スウェーデンでの将来について考えをめぐらせていると、レハム・アッタラさんは言う

法学部に通うレハム・アッタラさん(21)も、移民に人気のある学校が標的になったのは、偶然ではないと考えている。報道によると、容疑者の自宅近くには、別の学校が複数あるという。

「すごく悲しいし、怖いです」と、銃撃現場を訪れたレハムさんは私たちに語った。「こんなことは起きてはいけない」。

レハムさんは、父親はシリア人で、母親はパレスチナ人だが、自分の故郷はスウェーデンだと説明する。エーレブルでは11年間暮らしているという。

移民のためのスウェーデン語コースがあることで知られる学校が、銃撃犯に襲われたことに、レハムさんは危機感を募らせている。

「昨日(4日)亡くなったのは、スウェーデン語を勉強していた人たちです。この事件を受けて、私は自分の将来について考えさせられています。ここで暮らしていくべきなのか、ここで子供を持つべきなのか。そういう疑問ばかり浮かびます」

こういうことが起きるという不安を抱くことなく、キャンパスで自由に学んだり、平和に暮らしたりする権利が、みんなにはあるはずだと、レハムさんはため息をついた。