昼食に毒キノコで3人死亡、女性被告に殺人罪で有罪評決 オーストラリア

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オーストラリア南東部で2023年7月に自宅での昼食会に親類を招き、毒キノコをわざと混入した料理を出して3人を死なせたとして、殺人罪に問われていた被告女性が7日、有罪評決を受けた。4人目の殺害未遂についても有罪の評決を受けた。
オーストラリアで広く注目されていたこの裁判で、ヴィクトリア州上級裁判所の陪審団は、エリン・パターソン被告(50)が、別居中の夫の両親とおばを昼食に招き、猛毒のタマゴテングタケを入れた料理を食べさせ、死亡させたと認定し、有罪の評決を下した。さらに、重体となったが命を取り留めたおばの夫に対する殺人未遂罪でも有罪と評決した。
被告は、毒キノコの混入はわざとではないとして、無罪を主張していた。終身刑を言い渡される可能性がある。
検察によると、被告は2023年7月、同州レオンガサの自宅で開いた昼食会に、別れた夫のサイモン・パターソンさん、その両親ドン・パターソン、ゲイル・パターソン夫妻(当時、共に70)、ゲイルさんの妹のヘザー・ウィルキンソンさん(当時66)とその夫のイアン・ウィルキンソン牧師(現在71)を招いた。
サイモン・パターソンさんは昼食会を欠席したが、被告を含めて出席した全員が、被告の作ったビーフ・ウェリントン(牛ヒレ肉のパイ包み焼き)などを食べた。数時間後に全員の具合が悪くなり、客4人は吐き気や下痢などのため入院。客4人は重体となり、生命維持装置につながれる事態となった。
検察によると、被告は先に退院し、野生キノコの乾燥に使った機材を近所のゴミ捨て場に投棄した。パターソン夫妻とヘザー・ウィルキンソンさんはキノコ中毒で死亡し、イアン・ウィルキンソンさんは一命をとりとめて翌月に退院した。
この間に警察が、被告がキノコの乾燥用に使って捨てた乾燥機を押収している。

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検察は、被告が毒性のあるタマゴテングタケを意図的に料理に混入した上で、警察に虚偽の供述をし、証拠を隠滅したと主張した。
一方、弁護側は、被告は誤って毒キノコを料理に使ってしまったのだとし、愛する人々を傷つけたことに動揺してうそをついたのだと反論した。
検察は論告で、「被告はあまりに多くのうそをついているため、もはや把握しきれない」と述べ、被告が自分はがんを患っていると偽って親類を昼食会に招き、毒を盛った上で、自分も体調不良を装って犯行を隠蔽(いんぺい)しようとしたのだと主張した。
また、野生のキノコを採取していたという虚偽の説明や、調理に使用した食品乾燥機を廃棄した行為も、被告の有罪を裏付ける証拠だとした。
検察官は、今回の犯行に「特定の動機」はなかったとしつつも、「これは単なる不幸なキノコ採取の事故だった」という弁護側の主張は退けられるべきだと、陪審団に訴えていた。
これに対して弁護側は、動機がないことこそ重要だと主張。被告には客人を殺害する理由がなかったと述べていた。
パターソン被告は証言の中で、義理の両親とは非常に親しい関係にあり、傷つける意図はまったくなかったと主張。昼食の準備中、食品棚の容器からキノコを取り出して使ったが、そこには市販のものと採取したものが混在していた可能性があると証言した。
また、自分は長年過食症に悩まされており、ビーフ・ウェリントンを食べた後に、わざとそれを吐き出したのだと説明。弁護側は、これが被告が他の参加者ほど重症にならなかった理由だとしていた。
被告はさらに、がんになったとうそをついた理由については、減量手術を受ける予定でいたのが恥ずかしかったためだと説明。また、キノコ採取の趣味について当局に話さなかったのは、親族を病気にした責任を問われることを恐れたからだと証言していた。





