【解説】スターマー英首相、政権を大刷新 副首相辞任の大混乱を受け

顔をかすかにしかめて口元に手をやるスターマー英首相

画像提供, Reuters

クリス・メイソン政治編集長

とんでもない大混乱に直面した首相は、自分と政府の目的推進のためにこのタイミングを捉え、混乱を利用しようとした。それが今回の内閣改造だ

財務相の交代こそなかったものの、それを除けば、これ以上はないという規模の大改造だ。

首相官邸は金融市場を落ち着かせるため、早い段階でレイチェル・リーヴス財務相の留任を明言した。しかしそれと同時に、大規模な改造になるとうかがわせていた。

政府関係者は5日午後1時過ぎの時点で私に対して、改造は「幅広い」ものになるという言い方をしていた。

それから午後にかけて、ぽつりぽつりと少しずつ、新しい顔ぶれが発表されていった。そして夕方までに、まさに「幅広い」という表現にふさわしい改造だと明らかになった。

政府で特に重要な二つの閣僚ポストが交代した。つまり、内相と外相が交代したのだ。

そして、首相を除く三つの主要ポスト、内相、外相、財務相はすべて女性が務めることになった。これは初めてのことだ。

この展開のきっかけは、前副首相の個人的な事情とミスだった。スターマー首相は9月に入った今週を、政権にとって「第2段階」の始まりと位置づけていたが、悪夢のような滑り出しになってしまった。

アンジェラ・レイナー氏は、イギリス政界でも有数の存在感を持つ大物政治家だ。

そのレイナー氏の辞任を受け、スターマー首相は後任の副首相と住宅相を探すだけで済ませることもできたはずだ。しかし代わりに首相は、政権全体を大きく再構成する道を選んだ。

政権を作り直す行為は、首相の権威が試される、リスクの伴う動きだ。首相にとって危険だというだけでなく、ましてや改造の対象になる閣僚たちにとっては、まさに悲喜こもごもだ。

自分の野心が実現した人もいれば、くじかれた人もいる。そして、昇進と栄達を手にして笑顔の人よりも、見過ごされた人や降格された人、あるいは解任された人の方がほとんど必ず大勢いるのだ。

だからこそ、内閣改造は首相官邸にとって危険なリスクとなる。

うまくやれば、これだけの規模の改造は注目を集めるし、政府を活気づける。

失敗すれば、あるいは何度もやりすぎれば、政権運営はぎこちなくとぎれとぎれになり、内閣に不満を持つ党内の一般議員が増え続ける。

首相の目線に立てば、政治的な戦いが迫っている。

スターマー政権の1年目は不安定で、支持率の低下に悩まされた。そして今では、野党リフォームUKが対抗勢力として勢いをつけている。

スターマー氏は、大規模な改造こそが一番の選択肢だと判断した。

首相は、労働党政権が成果を迅速に出していると、国民に認識される必要があることを理解している。新しい内閣の顔ぶれがそれを実現してくれるよう、期待しているはずだ。