ジョルジオ・アルマーニ氏が死去 イタリアの伝説的デザイナー

微笑みながら右手を軽く挙げたアルマーニ氏

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画像説明, アルマーニ氏は男性用と女性用のスーツの概念を再構築して刷新した

イタリアの伝説的なファッションデザイナーで、世界的に有名なファッションブランドを作り上げたジョルジオ・アルマーニ氏が死去した。91歳だった。ブランドが4日、インスタグラムで発表した

アルマーニ・グループは「自分たちを発明した創設者で不屈のエンジン、ジョルジオ・アルマーニの死去を発表します」として、「従業員や協力者が常に敬愛を込めて『シニョール・アルマーニ』と呼んだ人は、愛する人たちに囲まれて、安らかに亡くなりました。疲れ知らずのその人は最後まで働き続け、会社やコレクションのため、そして常に今まで違った新しいプロジェクトを生み出すために、献身していました」と述べた。

また、「最後まで不屈」で、「徹底した好奇心と、現在および人々への深い関心に突き動かされていた」とも追悼した。

アルマーニ氏はイタリアのスタイルとエレガンスを体現し、男性用と女性用のスーツを現代のオーディエンス向けに再構築した。アルマーニ社はファッションから、美容、香水、音楽、スポーツ、さらには高級ホテルにまで事業を拡大し、年間約4000億円もの収益を上げていた。

デザイナーのドナテラ・ヴェルサーチ氏は自分のインスタグラムにアルマーニ氏の写真を投稿し、「世界は今日、巨人を失った。歴史を作った彼は、永遠に記憶される」と追悼した。

黒い上着を着て、白いシャツに恋色のネクタイをしたアルマーニ氏と、銀色チェーンのウィグと銀のラメやビーズがついたレースのドレスを着たアグネス・ゾグラ氏

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画像説明, 今年1月のランウェイ・ショーにモデルと並んで登場したアルマーニ氏

アルマーニ氏はさまざまな形で先駆的で、注目イベントのレッドカーペットを歩く著名人のファッションを現在のレベルにまで引き上げた。

また、2006年にモデルのアナ・カロリナ・レストン氏が神経性やせ症で死亡したことを受け、ハイブランドのデザイナーとして初めて、自分のコレクションでやせすぎのモデルを使うのを止めた。

俳優ラッセル・クロウ氏は、アルマーニ氏を「世界中で認められた足跡を残した人物」で「大好きだった」と追悼。「自分の人生で大事な瞬間の多く」を支えてくれたのだとして、今月中にも会う予定だったと明らかにした。

俳優ジュリア・ロバーツ氏は、アルマーニ氏と並んで写る自分の写真をインスタグラムに投稿。「本当の友人。伝説」と書き、悲しみを表す絵文字を添えた。

灰色のさまざまな色合いで、白いワイシャツに上着、ネクタイ、たっぷりしたパンツを着た男女のモデルが手をつなぎ、ファッション・ショーのランウェイを前に向かって歩いている。左右にスマートフォンで撮影する観客が並ぶ

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画像説明, アルマーニ氏は男女共にスーツを作り替え、やわらかいシルエットを世界に広めた

イギリスのデザイナー、ポール・スミス氏も「親友で同業者」のアルマーニ氏について語り、「彼の一貫性、地に足のついた性格、非上場・独立企業として活動し続けることで影響力を維持したことなど、私個人にとって常に大きなインスピレーションだった」と、インスタグラムに投稿。「彼は長年にわたり、力と創造性の大きな源だった」とたたえた。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相も追悼の意を表し、「そのエレガンス、節度、創造性によって、イタリアのファッションに輝きを与え、世界中にインスピレーションを与えた」、「象徴的存在で、疲れを知らずに働き、イタリアにおける最良のもののシンボルだった。なにもかもありがとう」と述べた。

アルマーニ氏はハリウッドとも親交が深く、宣伝の力を理解していた。アカデミー賞授賞式などのレッドカーペットを歩くスターの多くに、衣装を提供した。ゼンデイヤ氏、ケイト・ブランシェット氏、ジュリア・ロバーツ氏、ジョディー・フォスター氏など、無数の著名人がアルマーニ・ブランドの服を着て、報道陣の前に立った。

レディー・ガガのステージ衣装や、映画「アメリカン・ジゴロ」、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの衣装も手がけた。

アルマーニ氏は90代になっても、フランスやイタリアのランウェイで新作コレクションを発表し続けた。今年3月のショーでは「新たな調和を想像したい」と説明。「私たちに必要なのはそれだけだ」として、世界情勢へのメッセージを込めた。

健康不安が初めて表面化したのは今年6月で、ミラノ・ファッションウィークを欠席した。7月にはパリでクチュールのショーを開いたが、ミラノの自宅から遠隔で演出した。

ファッション誌「ヴォーグ」のローラ・インガム氏は、アルマーニ氏を「真の紳士」で「業界の巨人」と呼び、「ファッションについて何も知らない人でも、ジョルジオ・アルマーニの名前は知っている。彼は、時代を超えたイタリアのエレガンスと不朽のスタイルの代名詞となるブランドを築いた」と評した。

インガム氏はさらに、「洗練されたシルエット」や「完璧な仕立て」によるクラシックなスタイルを作り出したアルマーニ氏について、「そのレガシーは過去と現在のファッションに織り込まれているだけでなく、今後何世代にもわたってその未来を形作り続けていく」とたたえた。

白いポロシャツとパンツ、スリッポンを身に着けベッドに横になったアルマーニ氏の白黒写真。肩に猫が乗り、左手はブルドッグを抱えている。もたれかかっているクッションにも犬の模様

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画像説明, 愛猫と愛犬と写る 1979年のアルマーニ氏

アルマーニ氏は医大で学ぶ医学生だったが、1960年代にファッション業界へ転身。1975年に故セルジオ・ガレオッティ氏と共に自分の高級ブランドを設立した。

その言動が批判されることも多く、2015年には、同性愛者の男性は「同性愛者としての服を着なくてもいい」という発言が物議をかもした。2014年にはオフショア子会社をめぐりイタリア税務当局と金銭的和解に至ったが、不正行為は認めていない。

ファッション以外ではスポーツにも熱心で、サッカー・セリエAのインテル・ミラノを応援。バスケットボールチーム「オリンピア・ミラノ」を所有していた。

アルマーニ・ブランドはF1チーム「スクーデリア・フェラーリ」とも提携。ドライバーのシャルル・ルクレール氏は「これほど素晴らしい人と出会い、一緒に仕事ができたことは大きな名誉だった」とインスタグラムに投稿した

アルマーニ氏は、フランスのレジオン・ドヌール勲章およびイタリア共和国功労勲章を授与されている。