バッド・バニーさんがグラミー賞の最優秀アルバム賞、スペイン語楽曲で初 スピーチでは移民摘発を非難

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マーク・サヴェッジ音楽担当編集委員
米グラミー賞の授賞式が1日、カリフォルニア州ロサンゼルスで行われ、プエルトリコ出身のバッド・バニーさんが、年間最優秀アルバム賞を受賞した。「Debí Tirar Mas Fotos」は全収録曲がスペイン語で歌われており、こうしたアルバムの受賞はグラミー史上初。
この日3部門で受賞したバッド・バニーさんは、最優秀アーバン・ミュージック・アルバム賞を得た際の受賞スピーチの冒頭で「ICE out(米移民税関捜査局は出ていけ)」と述べ、この賞を移民に捧げると語った。
式典では、多くのアーティストがアメリカ政府の移民取り締まりを非難した。ケラーニさん、グロリア・エステファンさん、ビリー・アイリッシュさんを含む複数のアーティストが移民を支持すると述べたほか、レッドカーペットで「ICE out」と書かれたバッジを着けたアーティストもいた。
「ICE OUT」
バッド・バニーさんは最優秀アルバム賞に先立ち、最優秀アーバン・ミュージック・アルバム賞に選ばれた際には、「神に感謝する前に、ICEは出ていけと言うことにする」と発言した。会場から大きな拍手と歓声が起きた。
「私たちは野蛮人じゃない、動物でもない、異星人でもない。私たちは人間で、アメリカ人だ」と、バッド・バニーさんは続けた。
また、「夢を追いかけて、自宅や土地や母国を離れなくてはならなかったすべての人々」に捧げると述べ、目に涙を浮かべた。
最優秀アルバム賞を受賞した際には、アルバム「Debí Tirar Mas Fotos」のタイトル(直訳で「もっと写真を撮っておくべきだった」)にも触れ、「身近な大切な人を亡くし、それでもたくましく前に進まなくてはならなかったすべての人々に、この賞を捧げる」と、スペイン語で語った。

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ラテン系音楽にとって大きな節目
バッド・バニーさんはこの日、最優秀アルバム賞、最優秀アーバン・ミュージック・アルバム賞と、最優秀グローバル・ミュージック・パフォーマンス賞で3冠を達成。ラテン音楽にとって大きな節目となった。
ストリーミングの台頭が言語の壁を取り払った影響もあり、バッド・バニーさんの音楽は昨年スポティファイで198億回再生され、最も再生されたアーティストとなった。
バッド・バニーさんは、8日に開催されるスーパーボウルのハーフタイムショーで、主役を務める予定。
年間最優秀アルバム賞には、レディー・ガガさんの「メイヘム」、ケンドリック・ラマーさんの「GNX」、サブリナ・カーペンターさんの「Man's Best Friend」などがノミネートされていた。
年間最優秀楽曲には、ビリー・アイリッシュさんの「WILDFLOWER」が選ばれた。アイリッシュさんも受賞スピーチで、アメリカを覆う現在の混乱について言及した。
「感謝の気持ちはあるものの、盗まれた土地では誰も違法な人なんていないと、これしか言う必要はないと、正直言ってそう感じている」
「今は何を言い、何をすべきなのか本当に分からない状況だ」
「そして、ただ闘い続け、声を上げ、抗議し続ける必要があると感じている。私たちの声には確かに意味があり、人々には価値がある」
アイリッシュさんは「WILDFLOWER」は、2020年の「Bad Guy」と2021年の「Everything I Wanted」に続き、今作で3度目の年間最優秀楽曲受賞となった。

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年間最優秀レコードは、ケンドリック・ラマーさんとシザさんの共作「Luther」が受賞。通算受賞回数を27回とした。
ラマーさんはこの直前、アルバム「GNX」で最優秀ラップアルバムを受賞。この時点でグラミー賞の受賞回数が通算26回となり、ジェイ・Zさんの記録を上回り、史上最も多くのグラミー賞を受賞したラッパーとなった。
年間最優秀レコードの受賞スピーチでは、シザさんが現在の政治情勢について触れ、「どうか絶望に陥らないでほしい」と述べた。「今が恐ろしい時期なのは分かっているが、私たちはお互いを信頼し、自分自身を信頼する必要がある」。

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この発表ではハプニングもあった。最優秀レコード賞のプレゼンターとして登壇したシェールさんが、候補者を読み上げないままステージを後にしてしまった。その後も、誰が受賞したのかをどう確認すればよいのか分からない様子だった。
シェールさんは「テレプロンプターに表示されると聞いていた」と述べ、封筒を開けた後、カードを読み間違えた。
そのため一時的に、同賞がラマーさんの楽曲でサンプリングされたソウル歌手、故ルーサー・ヴァンドロスさんに与えられたかのように見えた。
シェールさんは今年、グラミー賞で特別功労賞生涯業績賞を受賞した。

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最優秀新人賞を受賞したイギリス人歌手のオリヴィア・ディーンさんも、「私は移民の孫としてここに立っている」と、アメリカの情勢に懸念を示した。
「私は勇気の産物で、そうした人々は称えられるべきだと考えている。私たちはお互いなしでは成り立たない」
ディーンさんの祖母カルメンさんは、第2次世界大戦後にジャマイカなどカリブ海地域の英領(当時)からイギリスに移住した「ウィンドラッシュ世代」だった。
パフォーマンス重視の授賞式

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近年、主要なグラミー賞式典は、授賞やスピーチよりもパフォーマンスに重点を置く傾向が強まっている。
今年は、3時間のテレビ放送中に授与された賞は9部門のみで、残りの86部門は、同日午前中に行われた「プレミア・セレモニー」で授与された。
ステージでは、KPOPアイドルのロゼさんと米歌手ブルーノ・マーズさん、カーペンターさん、レディ・ガガさん、ガールズグループ「Katseye」などが昨年のヒット曲を披露した。
ジャスティン・ビーバーさんは、肩にギターをかけ、ボクサーパンツと靴下のみというシンプルな姿で、「Yukon」のシンプル・ヴァージョンを披露した。

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一方、昨年7月に亡くなったメタル界の重鎮オジー・オズボーンさんの追悼ステージには、ポスト・マローンさん、「ガンズ・アンド・ローゼズ」のスラッシュさんとダフ・マッケイガンさん、「レッド・ホット・チリ・ペッパーズ」のチャド・スミスさんというオールスター編成のバンドが登場。「ブラック・サバス」の名曲「War Pigs」を演奏した。








