パキスタン首都のモスクで爆発、30人以上死亡

イスラマバードのモスクで起きた自爆攻撃を受け、遺族が集まり、親族の死を悼んでいる。女性たちはスカーフを頭に巻いて嘆いている。1人の女性は、灰色の上着を着た人物を抱きしめている。抱きしめられた人は、女性の肩に顔をうずめていて、表情は見えない。

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画像説明, モスクを襲った自爆攻撃で親族を失い嘆く人たち(6日、イスラマバード)
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シャフザド・マリク、ウメル・ドラズ BBCウルドゥー語(イスラマバード) フローラ・ドルリー(ロンドン)

パキスタンの首都イスラマバードで6日、金曜礼拝中のモスク(イスラム教の礼拝所)で爆発があり、少なくとも31人が殺害され、169人が負傷した。現地当局が発表した。武装組織「イスラム国(IS)」が、犯行声明とともに、実行犯とされる人物の名前と写真を公開した。

警察によると、自爆犯がタルライ地区のシーア派モスクの門に近づき、爆発物を爆発させた。目撃者はBBCに、爆発の前に銃声が聞こえたと話した。

イスラマバードのイルファン・メモン副行政官はソーシャルメディア「X」で、死者31人、負傷者169人と発表した。

パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は事件を非難し、「深い悲しみ」を表明。徹底的な捜査と犯人の速やかな特定を求めた。

アシフ・アリ・ザルダリ大統領は、「無実の市民を標的にするのは人道に対する罪だ」と述べた。ハワジャ・アシフ国防相は、インドとアフガニスタンが攻撃の背後にいるという考えを示した。

アシフ国防相はソーシャルメディアへの投稿で、実行犯がアフガニスタンに出入りしていたことが「証明された」と述べ、「インドとアフガニスタンの共謀が明らかになりつつある」とした。

これに対し、アフガニスタンのタリバン政府は、アシフ国防相の発言は「残念なものだ」と批判。パキスタン側が「信頼できる証拠を示さずに、軽率に事件をアフガニスタンのせいにした」と反論した。

イスラム国は、組織の「パキスタン州」部門の名義で通信アプリ「テレグラム」に犯行声明を出した。広報部門アマークも、追加情報を含めて声明を発表した。

アマークによると、実行犯がシャーザド地域のタルライ地区にある「中央寺院(モスク)」に到着したところ、警備員が外門で制止しようとしたが、実行犯が拳銃で発砲。2人を負傷させた後、モスク内へ進んだという。

アマークはさらに、実行犯が「寺院」の内門に到達した際、「爆弾チョッキ」を「シーア派の群衆の中で」爆発させ、「大勢」を死傷させたと述べている。

イスラム国はまた、実行犯の名は「サイフ・アッラー・アル=アンサリ」だと発表した。「アンサリ」という通称は、この地域の出身者を示すことが多いとされる。アマークが公開した写真には、覆面姿の実行犯とされる人物が写っている。

アフガニスタン外務省のアブドゥル・カハル・バルヒ報道官は、今回の攻撃を非難し、犠牲者に哀悼の意を示し、「この種の攻撃はイスラムと人道の価値観に反する」と述べた。

インド外務省も攻撃を非難し、インド関与の疑いを「根拠がない」ものだと退けた。

地元メディアによると、パキスタン内務省のタラル・チョードリー政務次官は、容疑者はアフガニスタン国籍ではないと述べた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長の報道官は、事務総長が事件を「最も強い言葉で」非難しているとし、責任者を「特定し、裁きにかける」よう求めた。

「拝礼をしたら爆発が……」

黄色い壁の建物の奥から複数の救急車両と大勢の男性が出てきている。

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画像説明, 被害者は救急車や一般車両で病院に運ばれた(6日、イスラマバード)

爆発のあったカディジャトゥル・クブラ・モスク内にいたザヒール・アッバス氏は、祈りを捧げていた際に銃声を聞いたと話した。

「私たちが拝礼をしてうつ伏せになった瞬間に、爆発が起きた」とアッバス氏はBBCウルドゥ語に話した。「その後、至るところに負傷者が倒れていた」。

爆発後のモスクの写真には、床一面に散乱した履物や砕けたガラス、がれきの中に座る人々の姿が写っている。

負傷者の受け入れが始まった病院では緊急事態が宣言され、献血の呼びかけが行われた。

男性が少年を抱き上げて運んでいる。男性の肩に右腕をまわした少年は、目を開いているが、服を着たままの左腕が血で赤く染まっている

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画像説明, 爆発では約170人が負傷した。病院では献血の呼びかけが行われた(6日、イスラマバード)

アッバス氏は爆発直後に「意識を失った」という。救助隊に引き出され病院に運ばれたが、「幸い、大きなけがはしなかった」ため、すぐに退院した話した。

パキスタンの国防相によると、実行犯は警備員に制止され、発砲した後に爆弾を爆発させた。

モスクの管理人で隣に住むサイード・アシュファク氏も銃声を聞き、救助に向かって走った。

「私が到着した時にはすでに爆発が起きていた」と、アシュファク氏はBBCに話した。「遺体が至るところにあり、腕や脚を失った人もいた。最も重傷の人々を、自分たちの車で(病院に)運んだ」。

地元病院の写真には、民間車両や救急車で運ばれる負傷者が映っており、AFP通信の写真記者は、病院に多数の人々が到着する様子を目撃したと述べた。

パキスタンでは首都での攻撃は比較的まれだが、昨年11月には12人が死亡事件が発生。また、裁判所の外で起きた別の爆発では27人が負傷した。

バロチスタン州ではこのところ、連携攻撃が相次ぎ、58人の民間人が殺害されている。

同州での攻撃については、反政府武装組織バロチスタン解放軍(BLA)が犯行声明を出した。パキスタン軍は、200人以上の武装勢力を殺害したと発表した。同州では数十年にわたり、武装勢力と国軍の間で戦闘が続いている。

独立系シンクタンクのパキスタン紛争安全保障研究所(PICSS)が今年1月に発表した報告によると、昨年のパキスタンでは戦闘に伴う死者数が前年比74%増。2025年には3413人が死亡しており、2024年の1950人から急増した。死者の半数以上の2138人が武装勢力だった。

(追加取材:キャロライン・デイヴィス)