米連邦上院、次期FRB議長を承認 トランプ氏指名のウォーシュ氏

スーツ姿で黄色い縁のサングラスをかけた黒髪の男性が、カメラに向かって笑顔を向けている

画像提供, Bloomberg via Getty Images

画像説明, ケヴィン・ウォーシュ氏はFRB理事の経験や、金融街ウォール・ストリートでの勤務経験がある。写真は2025年7月のもの
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アーチー・ミッチェル・ビジネス記者

米連邦議会上院は13日、連邦準備制度理事会(FRB、中銀に相当)の次期議長として、ドナルド・トランプ大統領が指名したケヴィン・ウォーシュ氏を承認した。金利をめぐってトランプ氏とたびたび衝突した、ジェローム・パウエル氏の後任となる。パウエル氏の任期は15日に終了する。

ウォーシュ氏は賛成54票、反対45票で承認を獲得。1977年にFRB議長の承認手続きが導入されて以降、最も僅差だった。

民主党からは、ジョン・フェッターマン議員(ペンシルヴェニア州)ただ1人が、ウォーシュ氏の承認に賛成票を投じた。

トランプ氏は、自身が指名した人物がFRBの金利を引き下げることを期待していると明言している。米・イスラエルとイランの戦争が生活費を押し上げるなか、ウォーシュ氏は、難しい均衡を迫られることになる。

中央銀行は通常、物価上昇率が高まっている時には、価格上昇を抑えるために金利を据え置くか引き上げることを目指す。

12日に発表されたアメリカの4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.8%上昇と、2023年5月以来の高い水準を記録した。このことから、現在では多くのエコノミストが、来年まで金利は据え置かれると予想しており、一部ではさらなる引き上げを警告する声もある。

イランとの戦争によって引き起こされたホルムズ海峡の封鎖が原油価格の急騰を招き、消費者が直面するエネルギーコストを押し上げ、インフレ上昇の主要因となっている。また、食品、住宅、航空運賃のコストも上昇している。

ウォーシュ氏は今後、利下げが米経済の助けになると期待しているトランプ氏からの圧力にさらされることになる。

さらに、トランプ政権が開始した連邦調査の対象となっているパウエル氏と同様に、大統領とFRBの対立の余波にも直面することになる。

トランプ氏はパウエル氏と頻繁に衝突していた。利下げが十分に迅速ではないとして、同氏を「無能」で「史上最悪のFRB議長」だと評していた。

上院銀行委員会での公聴会でウォーシュ氏は、自身がトランプ氏の「操り人形」として行動することはなく、中央銀行の独立性を守るために闘うと誓った。

しかし、同委員会の筆頭民主党議員であるエリザベス・ウォーレン氏は、ウォーシュ氏はこの職務に「特に不適格」であり、トランプ氏の意向に従うために据えられたのだと警告した。

ウォーシュ氏は12日、FRB議長に就くための前提条件である理事職に就くことについて上院で承認されている。ウォーシュ氏は2006年から2011年まで、FRBの理事を務めていた。

ウォーシュ氏の着任に伴い、スティーヴン・ミラン理事が辞任する。ミラン氏はこれまで、理事会における利下げの最大の支持者だった。

米リッチモンド大学のカール・トバイアス教授(法学)はBBCに対し、ウォーシュ氏はFRB議長として「ミッション・インポッシブル(不可能な任務)」に直面すると述べた。

トバイアス教授は、インフレが「猛威を振るっている」一方で、トランプ氏は「声高に利下げを要求しており、FRB理事会は激しく分裂している」と説明。

また、「民主党からはフェッターマン氏がウォーシュ氏支持に回ったものの、上院での最終投票は党派に沿ったものだった。これは、連邦検事や連邦判事といった重要な行政府人事の承認手続きが、ますます政治化している表れだ」と付け加えた。

ウォーシュ氏の指名は今後、最終承認のためにトランプ大統領に送られることになる。