アメリカの4月の消費者物価指数、前年比3.8%上昇 イラン情勢によるエネルギー価格高騰が背景

ガソリンスタンドで右手で給油ノズルを持ち、左手を額に当てる男性

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アーチー・ミッチェル・ビジネス記者

米労働省が12日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.8%上昇と、2023年5月以来の高い水準を記録した。アメリカ・イスラエルとイランとの戦争の影響は、消費者にますます広がっている。

過去12カ月の物価上昇率を示す4月のCPIは、ガソリンや食料品の価格急騰により、3年前にインフレで4%に達して以来の高水準となった。

労働統計局(BLS)によると、今回の上昇の半分近くはエネルギー価格の急騰が要因で、住宅費や食料品価格も一因となっている。

米・イスラエルとイランとの戦争と、それに伴って重要な海上輸送路であるホルムズ海峡が事実上封鎖されていることで、原油価格は急騰し、米国内のガソリン価格も押し上げられている。

アメリカ自動車協会(AAA)のデータでは、レギュラーガソリン1ガロン(約3.8リットル)あたりの全国平均価格は4.50ドル(約710円)と、2022年7月以来の高値となっていることが示されている。

インフレ率を示すCPIが3月の3.3%から4月に3.8%へと上昇したことで、連邦準備制度理事会(FRB)が今年中に利下げに踏み切る可能性は一段と低くなった。

イギリスの投資サービス「ウェルス・クラブ」の投資マネジャー、アイザック・ステル氏は、今回のインフレ率の上昇を受け、利上げの可能性さえ「十分にあり得る選択肢」として残っていると指摘した。

FRBをめぐっては数日中に、ドナルド・トランプ大統領がFRB議長に指名したケヴィン・ウォーシュ元FRB理事が、ジェローム・パウエル氏の後任として就任する予定。

新議長は「裁量の余地がほとんどない」状態で職に就くことになり、より保守的なアプローチを迫られる可能性があると、ステル氏は述べた。

トランプ氏は、利下げに慎重だったパウエル氏と対立してきた。利下げによる経済の活性化を期待しているトランプ氏は、ウォーシュ氏がそれを推進するのを期待していることを明確にしている。

トランプ氏は再選を目指した2024年大統領選で、主にインフレ抑制策に焦点を当てたキャンペーンを展開していた。そのことを踏まえると、11月に中間選挙を控える中でのインフレ率の上昇は、トランプ氏と与党・共和党にとって課題を突きつける事態だ。

12日にトランプ氏は、今回の上昇は「短期的なもの」だとし、イランの核兵器開発を阻止するという自分にとっての優先事項を、米国民は理解してくれるだろうと述べた。

また、インフレ率は前任のジョー・バイデン氏の時代よりも低いと主張した。民主党のバイデン政権下では、2022年6月に9.1%とピークに達した。

英証券会社AJベルの財務分析責任者ダニー・ヒューソン氏は、「アメリカ人はガソリン価格に極めて敏感だ。彼らがトランプ氏を(大統領に)選んだのは、同氏が物価を引き下げるという公約を掲げたからだ」と指摘した。

「中間選挙が迫る中、毎週の出費が増えているという事実は、与党にとっては政治的な弱点となりかねない。今回は、与党のイメージカラーが前回とは異なる」

4月までの1年間で、航空運賃や衣料品も値上がりした。一方で、新車価格はわずかに下落した。

米・イスラエルによる攻撃への報復措置として、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖して以降、ジェット燃料価格は急騰している。価格変動のリスク回避策を取っていない米航空各社は、その上昇分を速やかに顧客に負担させている。

12日に公表された統計によると、平均航空運賃は4月に20.7%上昇した。

4月のインフレ率は、アメリカ人の賃金上昇が物価上昇率を3年ぶりに下回ったことも示している。

4月までの1年間で物価は3.8%上昇した一方、平均賃金の伸びは3.6%にとどまった。