銃乱射事件の学校駐在だった元警官、無罪評決 米フロリダ高校17人死亡
マイク・ウェンドリング、BBCニュース

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アメリカ・フロリダ州の高校で2018年、生徒ら17人が死亡した銃乱射事件で、同校の警備担当だったにもかかわらず生徒を保護しなかったとして、子どもに対する責任放棄や偽証などの罪に問われていた元警官(60)に29日、無罪評決が言い渡された。
スコット・ピーターソン氏は、警察官としてフロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校に駐在し、警備を担当していた。
しかし、2018年2月14日の事件発生時、校内から発砲音が響いていたにもかかわらず、校舎の外で立ったままだった。ピーターソン氏は事件後、辞職した。
この事件では17人が死亡、17人が負傷した。
ピーターソン氏は子どもに対する責任放棄や偽証、重度の過失など11件の罪に問われていたが、すべての罪状について無罪評決が言い渡された。
フォート・ローダーデールの裁判所で評決が読み上げられると、ピーターソン氏は両手で頭を抱えて嗚咽(おえつ)を漏らした。
ピーターソン氏は評決後、死亡した生徒の親たちと話をしたいと、記者団に述べた。
「もし親たちが本当に真実を知る必要があるのなら(中略)私は役に立つためそこにいる」
しかし、娘のジーナさんが殺されたトニー・モンタルトさんは、銃撃を止めようとしなかったピーターソン氏を非難し続けた。
「彼が何もしなかったことが、あの学校の生徒と教師のショックと荒廃を招いた」と、モンタルトさんは記者団に語った。「私たちは、提出された証拠を見た陪審員が、彼を無罪としたことが理解できない」。
「私が陪審員たちに言えるのは、『あなたたちの学校は、子どもたちを守るために彼を雇うべきだと私は思う』ということだけだ」

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何があったのか
陪審員は裁判で、襲撃事件が起きた時、武装していたものの防弾チョッキを着ていなかったピーターソン氏が、銃撃がやむまで30~40分間、校舎の近くにとどまっていたという証言を聞いた。
フロリダ州の法執行当局の捜査によると、ピーターソン氏は銃撃を「鎮めるための行動をまったくとらなかった」。当時のドナルド・トランプ大統領らは、同氏を臆病者だと批判した。
全米学校駐在警察官協会によると、ピーターソン氏は、学校での銃撃に対応しなかったとして起訴された初めての警官とみられる。有罪となった場合、最大97年の禁錮刑に処される可能性があった。
銃撃が起きた際に、警官が自らの命を危険にさらすことを義務付ける法律はない。そのため、検察は子どもに対する責任放棄という重罪で訴追することを決めた。ピーターソン氏に犯人を止める法的義務があったかどうかが焦点だった。
子どもの「世話係」としての責任は
弁護側は、ピーターソン氏は銃声がどこから聞こえるのか混乱していたと主張。また、通常は子どもがけがをした場合に子どもの世話をしていた保護者や介護者に対して適用される法律で罪に問われているとし、同氏は子どもの「世話をする人」とはみなされないとした。
ブロワード郡検事局は声明で、ピーターソン氏には、被害者を救うためにもっとできることがあったはずだとの主張を繰り返した。
「わが国の歴史上初めて、検察は武装した学校駐在警官の職務怠慢の責任を追及しようとしている」
「私たちは親として、子どもたちの世話をするという契約を結んでいる武装した学校駐在警官が、自分たちの務めを果たすことを期待し、子供と学校の警備を託している」
一方で、フォートローダーデールにあるノヴァ・サウスイースタン大学のボブ・ジャービス法学教授は、ピーターソン氏を数百人もの生徒の世話係に法的に指定しようとするのは「ばかげている」とした。
この事件は、法執行機関あるいは民間の学校関係者にとっても、銃撃犯に立ち向かわなかったとして訴追されるかどうかの前例となる可能性があると、教授は述べた。
「政府による訴訟はひいき目に見ても勝つ見込みの低いものだった。そして、陪審員たちはピーターソン氏が単なるスケープゴートに過ぎない事を見抜いた」
「これによって、ほかの検察官が今後、このような訴訟を起こす可能性は非常に低くなるだろう」
昨年11月には、事件があった高校の元生徒で銃撃犯のニコラス・クルーズ被告(当時)に、仮釈放の可能性のない終身刑が言い渡された。
取材:ケイラ・エプスティーン










