違法薬物使用が全世界で増加、フェンタニルが深刻化=国連報告書

画像提供, Reuters
違法薬物を注射している人がこれまでの予測より多いことが、国連の最新報告書で明らかになった。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)が発表した「世界薬物報告」によると、2021年には全世界で1320万人が注射器を使って薬物を使用した。以前の予測より18%多かった。
全体の薬物使用はこの10年で23%増加し、2021年に2億9600万人だった。薬物使用による疾患のある人も45%増加し、4000万人近くに達している。
現在は、フェンタニルやメタンフェタミンといった合成化合物が違法薬物市場を独占している。フェンタニルは、北米のオピオイド(麻薬性鎮痛剤)市場を大きく塗り替えて普及し、深刻な結果を招いているという。
報告書は、メンタルヘルス(心の健康)に障害を持つ人や、社会・経済的に弱い立場の人、若者などが、薬物に依存する羽目になりがちだとしている。
地域としては、東アジアや東南アジアよりも、東欧や北米に住む人々の方が注射を使って薬物を使用していた。
また、男性の方が女性の5倍、注射器で薬物を使用する率が高いことが分かった。また、男性の使用者が、女性のパートナーにこうした薬物使用を勧めている現状があるという。
一方で、薬物使用からくる疾患の治療を受けられている人は使用者の5人に1人に過ぎず、特に女性には治療を受けづらい状況があると、報告書は指摘している。
女性が治療を受けられない理由は多く、複雑化している。新型コロナウイルスのパンデミックに加え、法的制裁への恐れや社会的なスティグマ(烙印=らくいん)、子育て支援の不足、親権を失うことへの恐怖などが上げられる。
UNODCのガーダ・ワーリー事務局長は、多くの状況で治療が必要な人に治療が届いていないと指摘した。
「紛争や世界的危機に乗じて、違法薬物の栽培や生産、特に合成薬物の生産を拡大し、不正市場をあおり、人々や地域社会に大きな被害をもたらしている薬物密売ネットワークに対して、対応を強化する必要がある」と事務局長は強調した。








