2017年の英マンチェスター攻撃、MI5が阻止の機会逃したと報告書 長官「申し訳ない」

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イギリスのマンチェスター・アリーナで2017年にあった自爆攻撃をめぐり、情報局保安部(MI5)が攻撃を阻止する機会を逃したとする報告書が2日、公表された。MI5のトップは「大変申し訳なく思う」と述べた。
自爆攻撃は2017年5月22日夜、アリアナ・グランデ氏のコンサートが終わった直後のマンチェスター・アリーナで起きた。観客たちが外へと向かっていたさなか、サルマン・アベディ容疑者がロビーで自作の爆破装置を起爆。22人が死亡、数百人がけがを負った。容疑者も死亡した。
内務省は2019年に独立調査委員会を設置。2日に207ページの報告書が公表された。
その中でサー・ジョン・ソーンダース委員長は、攻撃を阻止できた可能性のある重大なチャンスをMI5が逃したと指摘。情報をもとに、爆発物を保有していたアベディ容疑者を尾行できたかもしれないとした。
これを受け、MI5のケン・マカラム長官は、そのような情報が得られなかったことを遺憾に思うと表明。「秘密情報の収集は難しい。それでも、わずかなチャンスを生かせていたら(この事件の)影響を受けた人々がこれほどの損失とトラウマを経験しなくて済んだかもしれない」と述べた。
テロ関連情報として扱われず
報告書によると、MI5は当時、アベディ容疑者に関する情報2点について、テロ関連ではないと判断していた。
うち1点については、治安上の差し迫った懸念となり得ると考えたMI5職員がいたが、すぐには同僚と話し合わず、その日のうちに報告書をまとめることもしなかった。
ソーンダース委員長は、「報告書の提出が遅れたことで、潜在的に重要な捜査活動の機会が失われた」と指摘。捜査活動は行われるべきだったとした。
ただ同時に、容疑者は当局の動きを警戒していたとみられることから、捜査活動の有効性は大きくなかった可能性もあるとした。
それでも、この情報が上がっていれば、爆発物を保管していた車(日産マイクラ)まで行く容疑者を尾行できたかもしれないとした。容疑者はこの車から爆発物を市中心部の賃貸アパートに移し、爆弾を組み立てた。
ソーンダース委員長はまた、MI5が入手情報をもとに行動していれば、自爆攻撃の4日前にリビアから帰国した容疑者を、マンチェスター空港で止められた可能性もあると述べた。
外国の人物が関与と結論
報告書によると、容疑者はリビアにいる何者かの支援を受けていたとみられる。だが、それが誰なのかは調査では特定できなかった。
外国の人物が関与した可能性が公式に結論づけられたのは、これが初めて。
この調査結果は、容疑者と弟ハシェム・アベディ受刑者の他に攻撃計画に意図して関与した人はいないとするMI5の見解と食い違う。

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報告書はまた、アベディ一家が礼拝に通っていた南マンチェスターのディズベリー・モスクについて、兄弟の過激化の積極的な要因にはならなかったが、政治化はそこで起こったとした。
同モスクのファウジ・ハファール代表はBBCに、「委員長も弁護士もモスクを訪れたことがない。みんなモスクの活動を知らない」と述べ、異議を唱えた。
報告書はさらに、容疑者と弟の過激化について、家庭に「重大な責任」があったと結論。両親と兄が過激な思想の持ち主だとした。ただ、容疑者の弟以外に、攻撃について知っていた家族がいたことを示す十分な証拠はないとした。
遺族らの受け止め
爆発で8歳の娘を失ったアンドリュー・ルーソス氏は、「とんでもない失敗だ。危険信号がいくつもあったのに彼を止められなかった。要するにMI5は、私たちの安全を守れていない、つまりは役割を果たせてない」と述べた。
19歳の息子を亡くしたキャロライン・カリー氏は、「MI5の上から下まで、そして犯人の仲間の全員が、子どもたちが殺されたことに一役買ったと信じている」と話した。

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報告書の発表を受け、MI5は自爆攻撃が起きてから100以上の改善を行ったと説明。マカラム長官は、「私たちはもっと努力する決意だ」と述べた。
リシ・スーナク首相の報道官は、政府は完全かつ正式に回答する前に、報告書の調査結果を検討すると述べた。
スエラ・ブラヴァマン内相は、「MI5、警察、連携機関と共に、勧告を検討する」、「この恐ろしい攻撃を繰り返させないため、私たちは一丸となって、できる限りのことをしていく」とした。












