米アカデミー、先住民の活動家に謝罪 50年前の授賞式めぐり

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米映画芸術科学アカデミーは15日、ネイティブアメリカン(先住民)のサチーン・リトルフェザーさんが50年近く前のアカデミー賞授賞式で受けた扱いについて謝罪した。
俳優で権利活動家でもあるリトルフェザーさんは1973年、第45回アカデミー賞授賞式で、「ゴッドファーザー」で主演男優賞を受賞したマーロン・ブランドさんの代理としてステージに登場。ブランドさんはこの時、米映画業界でネイティブアメリカンの人々が不当な扱いを受けているとして賞を辞退し、授賞式にリトルフェザーさんを送っていた。
当時26歳のリトルフェザーさんは短いスピーチをしたが、途中でブーイングを浴び、ステージを降りた。その様子はテレビで生中継された。リトルフェザーさんはその後、エンターテインメント業界で冷遇された。
アカデミーは、リトルフェザーさんがこの時「不当で正当化できない」扱いを受けたと説明した。
リトルフェザーさんは謝罪を受け、「謝罪の言葉を生きて聞けるとは思っていなかった」と述べた。
大ブーイング、侮蔑的ジェスチャー
リトルフェザーさんのスピーチは、テレビ中継中の授賞式における初の政治的な声明だったとされる。以降、授賞式で政治的な発言をする慣行は、現在まで続いている。
リトルフェザーさんは、「非常に長いスピーチ原稿」を書いてきたブランドさんの代理だと自己紹介し、「残念ながらブランドさんはこの寛大な賞を受け取れない」と観客に伝えた。
「これは、映画業界やテレビでの再上映におけるアメリカン・インディアンの扱い、そして最近ウンデッド・ニーで起きた事件が理由です」
ウンデッド・ニーの事件とは、先住民のスー族の重要な土地で、スー族と連邦当局が対峙(たいじ)し、暴力に発展した出来事を指している。
リトルフェザーさんはこのスピーチで、大きなブーイングを受けた。一方で、応援する声もあった。
リトルフェザーさんは2020年にBBCのインタビューで、このスピーチの後、警備員と共にすぐに会場を立ち去らなければならなかったと話した。一方で、俳優のジョン・ウェインさんが「マーロンと私に怒っていて」、リトルフェザーさんをステージから引きずり下ろそうとしたので、「警備員がいたのはとても良かった」と付け加えた。

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リトルフェザーさんが歩いている横で、ネイティブアメリカンへの侮蔑とされる「トマホーク・チョップ」のジェスチャーを取る人もいたという。
ブランドさんは実際、とても長い演説を用意していたが、リトルフェザーさんは授賞式の制作側から、受賞拒否のスピーチを60秒に収めるよう指示されていた。
この授賞式は、テレビ中継で8500万人が視聴した。一部のメディアはこの授賞式の後、リトルフェザーさんは実際にはネイティブアメリカンではなく、俳優としてのキャリアのためにスピーチを承諾したのだと書き立てた。リトルフェザーさんがブランドさんの愛人ではないかと疑うメディアもあった。
BBCの取材で、リトルフェザーさんはこうした主張は誤りだと話した。
「不当な仕打ちだった」
アカデミーのデイヴィッド・ルービン元会長は15日、リトルフェザーさん宛ての書簡で、「あなたが受けた仕打ちは(中略)不当で正当化できないものだ」と述べた。
また、リトルフェザーさんのスピーチは「人間の尊厳が重要な、尊重すべきものだと言うことを思い出させてくれる」と述べた。
アカデミーは9月にリトルフェザーさんを招いたイベントを行う予定。1973年の授賞式や、映画界での先住民族の扱われ方の今後について話し合うという。
アカデミーからの謝罪を受け、リトルフェザーさんは「私たちインディアンはとても我慢強い。たった50年しかたっていない!」と冗談を返した。
その上で、ユーモア精神を持ち続けることが「私たちの生き延びる方法だ」と付け加えた。








