米テキサス州のシナゴーグで立てこもり、イギリス国籍の容疑者射殺 英国内で逮捕者も

Police investigators at scene of hostage incident in Colleyville, Texas, on 16 January 2022

画像提供, EPA

画像説明, シナゴーグ周辺を警備する警察(16日、テキサス州コリーヴィル)

アメリカ・テキサス州ダラス郊外で15日、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)に男が人質を取って立てこもる事件が発生した。立てこもりは10時間にわたったものの、人質は解放され、男は警察に射殺された。また、英グレーター・マンチェスター警察はこの事件の捜査に絡み、国内で10代の2人を拘束したと発表した。

コリーヴィルのシナゴーグに立てこもったのは、イギリス国籍のマリク・ファイサル・アクラム容疑者(44)。警察関係者によると、シナゴーグから約30キロ離れたテキサス州フォートワースの刑務所に収監されている、パキスタン出身の神経科学者アーフィア・シディキ受刑者の釈放を要求していたという。

事件発生から6時間後には人質1人が解放され、さらに数時間後に3人が解放された。人質全員にけがはなかった。

英グレーター・マンチェスター警察は、「襲撃事件の捜査の一環」として、マンチェスター南部で10代2人を逮捕し、聴取を行っていると発表。年齢や性別などは明らかにされていない。

またロンドン警視庁によると、テロ対策チームがアメリカ当局と米連邦捜査局(FBI)に連絡を取っている。

ジョー・バイデン米大統領は、この事件を「テロ」と呼んで非難。イギリスのリズ・トラス外相も、「テロであり、反ユダヤ主義」だと指摘した。

トラス氏は、「憎悪をまき散らす存在から市民の権利と自由を守るため、アメリカと共に闘う」と述べた。

入国後に武器を購入か

アメリカの警察筋によると、英ブラックバーン出身のアクラム容疑者は、2週間前にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港から入国した。ホームレスだと名乗り、礼拝中のシナゴーグに入り込んだという。

バイデン大統領は、アクラム容疑者が入国後に武器を購入したようだと説明した。

また、この襲撃が「15年前に逮捕され、10年間服役している人物」と関係していると発言。アクラム容疑者がシディキ受刑者の解放を求めていたことを示唆した。

シディキ受刑者は2010年、アフガニスタンで米軍兵を銃殺しようとしたとして、殺人未遂罪で禁固86年の有罪判決を言い渡されている。判決が出た際には、地元パキスタンで大規模な抗議デモが行われた。

警察関係者によると、アクラム容疑者は爆発物は所持していなかった。また、アメリカの連邦裁判所によると、犯罪歴の記録もなかった。

一方、アクラム容疑者の兄弟のグルバル氏は、ブラックバーン・ムスリム・コミュニティーのフェイスブック・ページで、同容疑者が死亡したと認めた。グルバル氏は被害者に謝罪するとともに、アクラム容疑者がメンタルヘルス(心の健康)に問題を抱えていたと述べた。

グルバル氏は事件の最中、「ファイサルと交渉人、FBIなど」と連絡を取っていたものの、「降参するよう説得できることは何もなかった」と語った。

「我々家族は、ファイサルのしたことを許そうとは思っていない。この不幸な事件に巻き込まれた被害者に心から謝罪する」

「また、ユダヤ教徒だろうとキリスト教徒だろうと、ムスリムだろうと、それ以外の信者だろうと、人間に対する一切の攻撃は間違っており、常に批判されるべきことだと付け加えたい」と、グルバル氏は書いた。