マラリア、ワクチンと薬の組み合わせで死者7割減も イギリス主導の治験で
フィリパ・ロクスビー、保健記者

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アフリカで未成年を対象に行われたマラリア予防の臨床試験で、発症や死亡を70%低減できるという結果が出た。
英ロンドンの研究チームは、マラリアが流行する季節を前に抗マラリア薬と共にワクチンを打つことで、「目を見張るような」結果が出たと述べた。
この治験は、ブルキナファソとマリで、生後17カ月以前の6000人の子供を対象に行われた。
世界ではマラリアのため毎年約40万人が死亡しているが、その大半は5歳以下の子供だという。
蚊が媒介するこの病気は今も、サハラ以南のアフリカ各地で、深刻な健康被害をもたらしている。
ブースター接種
米医学誌「New England Journal of Medicine」に掲載されたこの研究では、マラリアが最も猛威を振るう雨季(ブルキナファソでは6月以降)に、承認済みのワクチンと抗マラリア薬を小さな子供に投与した。
この研究に参加したロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(LSHTM)のブライアン・グリーンウッド教授は、「我々が想定していたよりも良い結果が出た」と話した。
「両国で、入院件数も死者数も共に減った。こうなるとは思っていなかった」
研究では3年にわたって、マラリアの季節の前にワクチンと抗マラリア薬を3回、その後の雨季にブースター(追加免疫)接種を1回行った。その結果、ワクチンだけ、あるいは抗マラリア薬だけを使った場合よりも感染を制御できた。研究チームは、これで数百万人の子供の命を救えるだろうとみている。
ワクチンと抗マラリア薬の両方を接種した子供6000人のうち、マラリアに感染したのは624人、重症化して入院したのは11人、死亡したのは3人だった。
一方、抗マラリア薬だけを投与された6000人では、1661人が感染。37人が入院し、11人が亡くなった。
研究チームは、ワクチンと抗マラリア薬の組み合わせが予想以上に強い効果を示していると説明する。
今回使われた「RTS,S」というワクチンは、英グラクソ・スミスクラインが20年以上前に開発したもので、肝臓で急速に増殖するマラリア原虫を殺す。一方の抗マラリア薬は、赤血球中に潜むマラリア原虫を標的にしている。

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これまでは冬季にインフルエンザのワクチンを毎年接種する習慣があったものの、マラリアについては行っていなかった。
世界保健機関(WHO)でマラリア対策プログラムを主導するペドロ・アロンソ博士は、「マラリアワクチンと抗マラリア薬の革新的な使い方が、アフリカで流行の特に深刻な地域で感染と死亡例を減らしたことを歓迎する」と話した。
このワクチンはすでに、ガーナやケニア、マラウイで、通常の子供向けワクチン接種事業の一部として、74万人に接種されている。
マリの研究者らは、WHOがこの新しい投与法について「早急に方針決定」してくれることを望んでいると述べた。
新薬
今回の治験では、懸念される副作用は起こらなかった。
また、治験対象となった子供たちは5歳までワクチンと抗マラリア薬の投与を続ける予定で、来年にも追加調査の結果が公表されるという。
慈善団体「マラリア・ノー・モア」は、マラリアの撲滅は「新薬の開発・分配や当局の介入にかかっている」と指摘。
こうしたプロジェクトに政府は投資し続けなければならないと述べた。







