英イングランドとウェールズ、薬物関連死が1993年以来最多

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イギリスの国家統計局(ONS)は3日、2020年に記録したイングランドとウェールズにおける薬物関連死が、統計を開始した1993年以降で最多だったと発表した。
ONSの2020年統計によると、両地域で計4561人が薬物中毒で亡くなった。これは100万人当たり79.5人の割合で、2019年の統計より3.8%増。
ただしこのうちの半数は、データ登録の遅れにより、2019年に亡くなった可能性があるという。また、死者の大半はパンデミック以前に亡くなったとみられる。
なお、スコットランド当局も先週、薬物関連死の統計を公開している。それによると、2020年の死者は過去7年で最多の1300人以上だった。
性別や地域で落差
この統計は毎年発表される。今回は性別や地域の違いで大きな差が出た。
それによると、男性の死者数は女性の2倍だった。
また、薬物関連死が最も多かったのはイングランド北東部で、100万人当たり104.6人の割合だった。最も少なかったロンドンは、100万人当たり33.1人だった。
年齢別では、45~49歳が最も多かった。

ONSは死者増加の理由として、長期的な薬物使用に苦しんできた人たちの加齢や、ガバペンチノイドやベンゾジアゼピンといった薬物をヘロインやモルヒネと併用する例が増えてきたことなどを挙げている。
2020年の死者のうち、約半数にあたる2263人がオピエート(麻薬性鎮痛薬)の使用と関連付けられている。
コカイン関連死は777人と、2019年から約10%増加。2010年と比べると4倍以上に増えた。
リハビリサービスが「弱体化」
イギリスでは先に、薬物中毒に関する独立調査が行われ、予算削減によって患者のリハビリサービスが「弱体化している」との指摘があった。
この調査を主導したデイム・キャロル・ブラックは、向こう5年でイングランドで5億5200万ポンド(約840億ドル)を投資するよう推奨。サジド・ジャヴィド保健相は、この提案を「吟味する」と述べた。
イギリス政府は、政府機関をまたぐ横断的な薬物乱用防止ユニットを設置する方針を示している。
王立精神医学協会中毒分科会のエミリー・フィンチ副部長はONSの最新統計を受けて、「何年にもわたる予算削減によって、中毒治療サービスに必要な能力が備わらず、死者数増加を防げなかった」と指摘した。
「予算削減や、国民保健サービス(NHS)のメンタルヘルス(心の健康)部門と中毒対策サービスの切り離し、ハーム・リダクション(薬物中毒による害や危険の低減)から節制重視の回復への転向などが、患者の生活を壊し、薬物関連死を増やしていることに政府は気づくべきだ」
「UKアディクション・トリートメント・グループ」のイータン・アレキサンダー会長は、薬物とアルコール、そしてメンタルヘルス問題の「パンデミックが並行」して起きており、「新型コロナウイルスによって悪化の一途をたどっている」と述べた。
政府の報道官は、「薬物乱用による死は、どんなものでも悲劇だ。薬物関連死を防ぐため、政府は(オピオイド拮抗薬の)ナロキソンへのアクセスを改善するための諮問会を設置した。中毒患者に携わっている警官や救急隊員、刑務所職員などが拮抗薬を処方できるようになることで、オピオイドの過剰摂取から人命を守れるようになる」と述べた。
「政府はすでに1億4800万ポンドを薬物乱用防止に投資しており、うち8000万ポンドは治療と回復対策に充てている。これは薬物中毒の治療については、過去15年間で最大の投資だ」








