英ヒースロー空港の新滑走路、反対派が勝訴 環境配慮が不足
トム・エスピナー、ビジネス担当記者、BBCニュース

画像提供, PA Media
ロンドン・ヒースロー空港の第3滑走路の建設計画について、イギリスの控訴院は27日、政府による計画の承認は違法だとの判断を示した。環境保護対策が検討されていなかったことを理由に挙げた。
空港側は上訴の意向を表明。一方、政府は上訴しないとした。
控訴院は、政府は空港拡張方針を検討する際、地球温暖化対策の国際的な取り組みを決めたパリ協定を考慮する義務があったが、それを怠ったと認定。イギリスの国としての方針から逸脱したと判断した。
一方で、計画が今後イギリスの環境政策に沿うものになれば、第3滑走路の建設を進めることができるとした。
<関連記事>
この裁判は、環境保護団体やロンドン市長らが起こしていた。
判決後、BBC環境アナリストのロジャー・ハラビンは、「裁判所の外では環境保護活動家たちが歓声を上げ、大喜びでジャンプ」していると伝えた。
政府は上訴しない方針
グラント・シャップス運輸相はツイッターで、上訴しないと表明。インタビューでは、空港の拡張は「ヒースローと裁判所が決めることだ」と述べた。
また、「政府は首相を筆頭に空港拡張を全面支持しているが、拡張は環境に配慮したものになることを望んでいる」とした。


一方、ヒースロー空港のジョン・ホランド=ケイ最高経営責任者(CEO)は、「控訴院は判断を間違ったと思う」と述べ、最高裁に上告する考えを示した。
同時に、「拡張が気候変動に関するパリ協定に適合したものであることを示すため」政府と協力して方針を再検討すると表明。「ヒースローの拡張なしに世界のイギリスはない」と述べた。
首相は過去に反対を表明
原告団に加わった環境保護団体フレンズ・オブ・ジ・アースは、今回の判決を「環境保護の正義にとって本当に画期的な結果」と評価した。
同団体の法務責任者のウィル・ランドル氏は、「害となる開発が環境に及ぼす影響について、開発業者と行政当局が責任を問われるときが来た」と話した。

画像提供, Reuters
環境保護団体グリーンピースも、政府は「ヒースロー拡張計画を永久に葬る」必要があると述べた。
同団体のジョン・ソーヴェン英国支部長は、「第3滑走路はすでにコスト、騒音、大気汚染、生息地の消滅、アクセスの欠如の面で無理だったが、これでヒースローはさらに超えるのが不可能ほど高いハードルに直面した」と発言。
「ボリス・ジョンソン(首相)はヒースローをみじめな状態から救い、第3滑走路は永遠に取り消すべきだ。『もし』も『しかし』も、うそも、Uターンもなしだ」とした。
議会では2018年、圧倒的多数の議員がヒースロー空港の拡張を支持する投票をした。ジョンソン氏は当時、国外にいた。
ジョンソン氏は首相就任前の2015年、「第3滑走路の建設を阻止するため、ブルドーザーの前に」寝転ぶと宣言していた。
経済界は反発
英商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル会頭は、経済界は「世界をリードするハブ空港の計画が危うくなり、ひどく落胆している」とコメント。
また、「拡張なしでは、企業は地域における重要な接続性と、世界の主要市場へのアクセスを失う危機に見舞われる」と述べた。
英産業連盟(CBI)のジョシュ・ハーディ事務局次長は、すべての主要なプロジェクトは、2050年までに二酸化炭素排出量を差し引きゼロにする目標に合わせる必要があるとし、「政府と航空業界が密接に協力し、強力な炭素除去計画に合意する必要がるのは明らかだ」と述べた。
ただ、ヒースロー空港の拡張計画が「うまく運ぶ」ことが「重要だ」とした。
ブリティッシュ・エアウェイズを傘下にもつインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は、「環境への影響とヒースロー空港拡張のコストについては独立した検証が必要だと常に言ってきた。ヒースロー空港は信頼できない。当初は140億ポンド(約1兆9600億円)だった拡張費用は今や320億ポンドになっている」と話した。










