北米の野鳥、過去50年で30億羽減少か アジアでも危機

ヴィクトリア・ジル科学担当編集委員、BBCニュース

Baltimore oriole (c) Gary Mueller, Macaulay Library at Cornell Lab of Ornithology

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アメリカとアジアで野鳥の数が「危機的状況」にあることが、学術誌「Science and Biological Conservation」に発表された2つの最新研究で明らかになった。

うち1つでは、アメリカとカナダの野鳥の個体数が、1970年と比べて30億羽ほど減少していることを突き止めた。これは全体の29%に当たる。

もう1つの研究では、インドネシア・ジャワ島での「アジアのソングバード(鳴き声を聞いて楽しむ鳥、鳴き鳥)危機」を紹介。野生よりも飼育されている鳥の方が多くなったことを指摘した。

研究チームは、こうした事実が自然保護のきっかけになると期待している。

Bird seller in Java (c) Gabby Salazar

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画像説明, 鳴き鳥の売買は、インドネシア経済で数千万ドル規模の価値があるという

30億羽の野鳥はどのように姿を消したのか?

Cactus wren (c) Brian Sullivan, Macaulay Library at Cornell Lab of Ornithology

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北米での研究では、草原や海岸、砂漠といったさまざまな生息地で、野鳥がどれくらい減少したのかが明らかになった。

野鳥減少の理由については直接的な評価はしなかったものの、研究チームは、人間の活動によって生息地が失われたことが最大の要因だと結論付けている。

この研究を主導し、コーネル鳥類学研究所やアメリカ野鳥保護委員会に所属するケン・ローゼンバーグ博士によると、この研究は野鳥の「個体数を数えた」最初の試みだという。

BBCの取材でローゼンバーグ博士は、「いくつかの種が減少しているのは知っていたが、希少種が減っている一方で、もっと適応力の高い鳥、人間環境により慣れた鳥が減った分を埋めていると思っていた」と話した。

研究チームは、1970年以降、北米大陸で行われたあらゆる野鳥研究のモニタリングデータをかき集め、野鳥の数を集計した。

「その結果、野鳥の総数自体が広範囲で減少していることが分かった。何よりも衝撃を受けたのは、より一般的な鳥、家の庭にいるような適応力の高い種ほど減少幅が大きいことだった」

ローゼンバーグ博士はまた、この傾向は世界の別の地域にも当てはまるだろうと指摘した。もうひとつの研究で明らかになったアジアの状況は特に、人間による野鳥絶滅の危機を示している。

鳴き鳥市場と野鳥の危機

Bird singing competition in Java (c) Bernd Marcordes

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画像説明, インドネシアのジャワ島では、鳴き鳥の売買が大きなビジネスとなっている

アジアの一部地域、特にインドネシアのジャワ島では、鳴き鳥の売買が大きなビジネスとなっている。売買される鳥の多くが、野生の生息地で捕らえられたものだ。

ジャワ島では、約7500万羽の鳥がペットとして飼育されている。その多くは、鳥の鳴き声コンテストのために飼われているという。

コンテストでは、かごの中の鳥の鳴き声を、メロディーや鳴き声の長さ、大きさなどで競わせる。大きな競技大会となると、優勝者には4万ポンド(約540万円)もの賞金が与えられる。

しかしこうした文化の背景で、需要を満たすために野鳥の捕獲が横行している。今回発表された研究では、この野鳥の捕獲が多くの種を脅威にさらしていると指摘した。

研究を主導したハリー・マーシャル氏は、「鳴き鳥の売買は、インドネシア経済で数千万ドル規模の価値がある。インドネシア諸島全体に何百もの市場があり、200種以上の鳥が売られている現状において、野鳥が鳴き鳥の需給の重要な地域的ソースとなっているのは驚くに値しない」と説明する。

Lovebirds (c) Gabby Salazar

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画像説明, ボタンインコはインドネシアでも特に人気の鳥だ

英マンチェスター・メトロポリタン大学で博士課程にいるマーシャル氏は、インドネシアで最も人口が密集しているジャワ島で、3000世帯を対象に調査を行った。その結果、ジャワ島では合わせて7500万羽の鳥が家庭で飼育されていると推測している。

つまり、ジャワ島では野生の鳥より、かごで飼育されている鳥の方が多いということになる。

野鳥の減少を食い止めるには?

Snowy owl (c) Tom Johnson, Macaulay Library at Cornell Lab of Ornithology

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どちらの研究チームも、調査結果で明らかになった「お先真っ暗」な状況の中から、前向きな側面を強調しようとしている。

アジアの鳴き鳥売買に詳しいマンチェスター・メトロポリタン大学のスチュアート・マースデン教授は、インドネシア全土でみられる鳥を飼育したいという熱意は、鳥への愛から来ていると指摘した。

「この熱意が、自然保護に向かうこともあると思う」とマースデン氏は語った。

ローゼンバーグ博士も、北米での野鳥の激減について「おかしな楽観主義」があるのは、野鳥保護の試みが成功している例があるからだと話した。

「アメリカやカナダでは、水鳥の減少に気づいて保護に動いたのはカモの猟師だった。カモ猟を健全に続けられる個体数を維持するため、何百万ドルもの資金が湿地の保護と回復に投資された」

「これがひとつのモデルだ。この事例を狩猟対象になっていない鳥、湿地以外の場所で人々に愛されている鳥に適用すれば、野鳥の個体数は減少に耐え、やがて回復するだろう」