ガザ協議、エジプトで続く 合意成立の「本当に良いチャンス」とトランプ氏

ラシュディ・アブアルーフ・ガザ特派員、キャスリン・アームストロング記者

パレスチナ・ガザ地区での戦争終結に向けたアメリカの和平案をめぐり、最終合意を目指す間接協議が7日、エジプトのシャルム・エル・シェイクで続く予定となっている。7日に予定される協議2日目には、エジプトとカタールの当局者が、イスラエルとガザのイスラム組織ハマスの代表団と個別にシャトル会談を行う予定。

交渉担当者たちが6日に会合した間、ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「合意に至る本当に良いチャンスがある。それは持続的な合意になるだろう」と述べた。さらに、「ハマスはとても大事な複数のことについて合意している」、「合意が実現すると本当に思う」とも話した。

パレスチナおよびエジプトの当局者はBBCに対し、協議はイスラエル人の人質全員の解放、および複数のパレスチナ人収監者の釈放を視野に、「現場の条件を整えること」に焦点を当てていると話した。

イスラエルの治安当局高官によると、協議はまず人質解放にのみ焦点を当て、ハマスにその段階を完了するための数日間を与える方針だという。

今回の協議は2023年10月7日の戦争開始以来、最も重要なものになるとみられている。紛争終結への道筋がついに見えてくるかどうかを、左右する可能性がある。

協議には、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ大統領特使、トランプ氏の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏、カタールのシェイク・モハメド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニ外相らがかかわっている。

トランプ氏はソーシャルメディアで、ガザ戦争終結に向けた取り組みに関与するすべての関係者に「迅速に動くよう」促しており、和平案の第1段階(人質解放を含む)が「今週中に完了するはず」だと報告を受けたと述べた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は4日、パレスチナ・ガザ地区で拘束されている人質の解放について「近日中」に発表できることを望んでいると述べていた。

ハマスはこれまで、和平案には部分的に同意すると表明しているものの、武装解除や今後のガザ統治に関与しないことなど、いくつかの重要な要求に答えていない。

協議初日は「前向きな雰囲気」と報道

交渉に近いパレスチナ当局者がロイター通信に話したところによると、初日の協議は6日の夜遅くに終わった。エジプトの政府系メディア「アル・カヘラ・ニュース」も7日に協議が続くと報じており、初日は「前向きな雰囲気の中」で終了したとしている。

トランプ氏とネタニヤフ氏が合意した20項目の和平案では、即時停戦と人質48人と解放と引き換えに、数百人のガザ人拘束者の釈放が提案されている。人質のうち、生存が確認されているのは20人のみ。

この計画は、双方が提案に合意すれば「ガザ地区に直ちに全面的な支援が送られる」と提案。また、ハマスは今後のガザ統治に関与しないと明記されているほか、将来的なパレスチナ国家の可能性も示されている。

しかし、計画が9月29日に公表された後、ネタニヤフ氏はこれまで通りパレスチナ国家への反対姿勢をあらためて表明し、ビデオ声明で「(パレスチナ国家樹立は)合意文書に書かれていない。我々は、パレスチナ国家に強く反対すると主張した」のだと強調した。

ハマスは3日、提案への回答を発表。人質と収監者を交換するための適切な条件が整うならば、「トランプ提案に含まれる交換の方式に従い、イスラエル人の人質を、生存者も死者も全員、解放する」ことに同意すると表明した。

ハマスの声明は、トランプ氏の20項目の計画について具体的な言及や受諾はしていないが、「ガザ地区の統治を、パレスチナの民意とアラブ・イスラムの支援に基づき、独立系(技術官僚)からなるパレスチナ組織に引き渡すことに改めて同意する」と述べている。

ハマスの声明は、ハマスの武装解除やガザ統治から完全に離れるという和平案の重要項目について、言及していない。また、ガザの将来とパレスチナ人の権利に関する提案部分については「国民的枠組みの中」で今も協議されているとし、その協議にはハマスも参加するとしている。

ハマスが和平案にこうして反応したことは、多くのパレスチナ人にとって予想外の展開だった。3日の声明の前には、トランプ氏の案を拒否するか、あるいは少なくとも厳しい条件付きで受け入れるようと、準備をしているかと思われていた。

しかしハマスは公式声明に、従来の「レッドライン(超えられない一線)」を盛り込まなかった。これは、外部からの圧力をうかがわせるものだという意見もある。

欧州および中東の指導者たちは、アメリカとイスラエルの提案を歓迎している。イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区でその一部を統治するパレスチナ自治政府(PA)は、トランプ氏の取り組みを「誠実かつ断固としたもの」と評価している。

ハマスを長年にわたり強く支援してきたイランも、トランプ氏のガザ和平案への支持する姿勢を示した。

協議開始を前にイスラエルは6日、ガザ地区の複数地域で爆撃を続けた。イスラエルは残る人質の解放を目的としたものだとして、ガザ市内で作戦行動を展開している。

ハマスがガザで運営する民間防衛隊のマフムード・バサル報道官はBBCに対し、「(ガザ市への)作戦開始から4週間、ガザ市には支援物資のトラックが一切入っていない」と話した。「イスラエル支配下の地域では、いまだに回収できていない遺体が残っている」とも述べた。

イスラエル軍はガザ市の住民に、ガザ地区南部の「人道地域」へ避難するよう命令し、これによって住民数十万人が避難を余儀なくされたが、今も数十万人が市内に残るとみられる。

イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、作戦中に市内に残る住民は「テロリストおよびテロ支援者」と見なすと警告している。

ハマスがガザで運営する保健省の最新発表によると、過去24時間でガザでは21人のパレスチナ人が殺害され、さらに96人が負傷した。

戦争開始以来、イスラエルは外国報道機関のジャーナリストによるガザ地区の独自取材を禁止している。このため、双方の主張の検証が難しい状況が続いている。

和平交渉2日目の7日は、2023年10月7日にハマスが主導したイスラエル南部への奇襲攻撃から2周年にあたる。

ハマスなどによる2年前の攻撃では約1200人が殺害され、251人が人質となった。イスラエル軍はこれに対する報復としてガザで軍事作戦を開始した。

ガザの保健省によるとそれ以降、ガザではイスラエル軍の作戦で少なくとも6万7160人が殺害され、その中には子供1万8000人が含まれるという。

戦争開始から2年を前に、アントニオ・グテーレス国連事務総長は声明で、トランプ氏の計画は「この悲劇的な紛争を終わらせる機会を提供するもの」だと評価し、その「機会をつかむ」必要があると呼びかけた。

イギリスのサー・キア・スターマー首相も、開戦2年に向けた声明で、和平案を支持すると改めて表明。「中東和平に向けたアメリカの提案を、私たちは歓迎する。この政府は、イスラエルのすべての子どもがパレスチナ人の隣人と一緒に、平和に、安全に暮らせる日を実現するため、全力を尽くす」と述べた。