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トランプ氏、攻撃モードやめる ミネアポリス射殺事件で反発強まるなか
米ミネソタ州ミネアポリスで連邦職員がアレックス・プレティ氏(37)を射殺した事件で、ドナルド・トランプ政権は、よく使う「否定と攻撃」の戦略を当初取っていた。だが、今回は早々にこれをやめている。米メディアは26日、現地から連邦当局の一部が引き上げると報じた。
トランプ政権は通常、批判されるとすぐに反発する。「否定と攻撃」は、困難な状況に対処する際のトランプ氏の基本戦略となっている。
しかし、今回の事件では、発生から24時間以内に銃撃のさまざまな映像がインターネットに出回り、ホワイトハウスの対応が、世論や、国民らが自分の目で見たものと合っていないことが明らかになった。
以来、政権と大統領は方針を変更。民主党を非難する一方で、殺されたアメリカ人看護師のプレティ氏の行動については、あまり焦点を当てなくなった。
こうしたなか、BBCが提携する米CBSニュースは26日、米国境警備隊のグレゴリー・ボヴィーノ司令官と隊員の一部が、ミネアポリスを離れる予定だと報じた。
当初の政権の反応は単純だった。プレティ氏を、流血を企む国内テロリストだとした。
国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は、プレティ氏は「危害を加え」ようとして武器を「振り回していた」と説明。米国境警備隊のボヴィーノ司令官も、「個人が、最大限の損害を与え、法執行機関職員らを虐殺しようとした状況のようだ」と話していた。
スティーヴン・ミラー大統領次席補佐官は、プレティ氏を「暗殺者予備軍」と呼んだ。
しかし、26日になると、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、ミラー氏の意見にトランプ氏も同意しているのかと問われ、ミラー氏のコメントへの同調を示さなかった。そして、答えの代わりに、完全な調査が実施されると述べた。
射殺事件の直後よりも、明らかにトーンが下がっていた。
トッド・ブランチ司法副長官は26日午前、現状を「火薬庫」と表現し、民主党を非難した。現在の状況が危険に満ちていることには、分裂している米政界の両側で多くが同意するとみられる。
そうしたなか民主党は、大統領の大規模な国外追放政策と、移民税関捜査局(ICE)の強引な戦術への批判を強めている。同党が繰り広げようとしている政治闘争は、30日に新たな政府閉鎖を招く可能性がある。
ホワイトハウスのトーンは、25日夜から著しく変化した。退役軍人省のダグ・コリンズ長官は、プレティ氏の家族に哀悼の意を表した。トランプ氏は自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに、プレティ氏の死は「悲劇的」であり、「民主党が引き起こした混乱」のせいだとする投稿をした。
26日朝には、トランプ氏は「国境問題の第一人者」のトム・ホーマン国境問題担当長官をミネソタ州に派遣し、同州で法執行活動を指揮させると投稿した。ホーマン氏は、民主党のバラク・オバマ政権時代に国外追放を担当しており、冷静で政治に精通した行政官とみられている。ノーム氏やボヴィーノ氏が最近したような大げさな宣言はあまりしない。
トランプ氏は、「トムはタフだが公正だ。直接、私の指揮を受ける」と書いた。
ホーマン氏のミネアポリス派遣は、必ずしも政策の変更を反映するものではない。トランプ政権はまだ、積極的な移民取り締まりを後退させる気配を見せていない。プレティ氏射殺事件前の米CBSの世論調査では、ICEが「人々を止まらせ拘束する際に厳しすぎる」と答えた回答者が61%に上った。トランプ氏の移民への対応全般を支持しない人も58%いた。そうした世論のムードに対応するための、見た目の変更である可能性もある。
連邦と現地の政府間の政治的雪解けの可能性は、トランプ氏が26日、ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(民主党)と話したと発表したことからもうかがえる。
トランプ氏はこの対話について、「とてもいい電話だった」、「私たちは実際、波長が似ているようだった」とした。
与党からも「失敗」との声
トランプ政権の当初の反応は、約3週間前に連邦政府の法執行職員がミネアポリスの住民ルネー・グッド氏を射殺したときと同じだった。政権はグッド氏をテロリストだとし、車を「武器にして」ICE職員らにけがを負わせようとしたと主張した。
ただ、今回もグッド氏の事件と同様、連邦政府の説明に対し、地元当局や目撃者、被害者の家族らが異議を唱えている。
プレティ氏の両親は25日に声明を出し、真実を明らかにするよう要求。「政権が私たちの息子について語ったひどいうそは、非難されるべきであり、非常に腹立たしいものだ」とした。
今回の事件で撮影された複数の映像は、政権の当初の主張と多くの点で矛盾している。映像では、プレティ氏が携帯電話でICE職員を撮影し、押し倒された女性を助けている。その後、二人とも催涙スプレーを浴びている。プレティ氏が地面に押さえつけられたとき、銃を持っていないことがわかる。
DHSは、プレティ氏が9ミリ口径の半自動拳銃と弾倉2個を所持していたとしている。現地警察によると、同氏は合法的に銃を所有していた。ミネソタ州法では、州民らは許可証があれば、公共の場で拳銃を見えないようにして合法的に携帯することができる。
ミネアポリス警察のブライアン・オハラ本部長は、「みんなもうたくさんだと思っている」と述べた。そして、同警察の警官らは昨年、発砲に頼ることなく暴力的な犯罪者を何百人も逮捕したと説明。現在の連邦当局による取り締まりについて、「持ちこたえられるものではない」とした。
与党・共和党の政治家らも、政権の対応への不安を募らせている。ヴァーモント州のフィル・スコット知事は、ミネソタ州での連邦当局の取り組みについて、最も良く言って、「公共の安全と、法執行の慣行、訓練、リーダーシップの調整の完全な失敗」だと述べた。
そして、最も悪く言えば、「米国民に対する連邦政府の意図的な脅迫と扇動」だとした。
連邦上院のジョン・カーティス議員(ユタ州)は、ノーム氏の「時期尚早な」対応を批判。「すべての事実が判明する前に取られており、(法執行任務に対する)信頼を弱めた」と述べた。
上下両院の国土安全保障委員長は、公聴会を開く予定だとしている。
上院民主党は、財源確保策を議会で阻止すると発表した。これにより、30日夜に政府機関の一部が閉鎖される可能性がある。