You’re viewing a text-only version of this website that uses less data. View the main version of the website including all images and videos.
元自衛官の五ノ井さん、国と元同僚と和解 性被害めぐる訴訟
元自衛官の五ノ井里奈さん(26)は26日、自衛隊勤務中に性暴力を受けたとして損害賠償を求めていた訴訟で、最後まで争っていた国と元自衛官の男性1人と和解に至った。これにより、外国からも注目されていた五ノ井さんの訴訟が終結した。
五ノ井さんの代理人によると、五ノ井さんは政府から160万円を受け取る見通し。一方、元同僚の男性からは補償も謝罪もないという。
五ノ井さんは、元自衛官5人(いずれも懲戒免職)には精神的苦痛を引き起こしたとして計550万円、国には虐待を防がなかったとして200万円の賠償をそれぞれ求めた。このうち、元自衛官4人とはすでに和解が成立していた。
また、この件にまつわる刑事裁判では、2023年12月に元自衛官3人に対し、強制わいせつ罪で懲役2年執行猶予4年の有罪判決が言い渡され、その後に確定している。
五ノ井さんは2022年、自身の経験を動画サイトのユーチューブで公表。性暴力被害者が声を上げることがまれな日本で、この訴えは画期的だった。
しかし近年では、ジャーナリストの伊藤詩織さんが著名ジャーナリストの山口敬之・元TBS記者と法廷闘争を続けたことや、故ジャニー喜多川・ジャニーズ事務所創業者の問題が明らかになったことなどを受け、性暴力に関する社会的議論が高まっている。
五ノ井さんは26日の記者会見で、告発からの4年半について、「振り返ると長くて、重くて、それでも立ち止まることができない時間でした」と述べた。
「私はこの4年半で、声を上げることの重さを身をもって知りました。声を上げるには大きな勇気が要ります。そして勇気が必ずしも守られるとは限らない現実もありました」とも、五ノ井さんは語った。
「それでも声を上げたことを後悔していません。なぜなら声を上げた先で、たくさんの声にならない声に出会ってきたから。『あなたが声を上げてくれて救われた』との言葉が、私の中では今も生き続けています」
五ノ井さんは今月上旬、長年続けてきた法的闘争が「終結します」とソーシャルメディアに投稿し、これまで支えてくれた全ての人への感謝を伝えた。
BBCは2023年、「100 Women(100人の女性)」に五ノ井さんを選んだ。BBCは毎年、社会に大きな影響を与え、人々の心を動かした女性100人を世界各地から選んでいる。
警告:ここからは性暴力の生々しい描写が出てきます
刑事裁判の起訴状によると、有罪となった男性3人は2021年、五ノ井さんをベッドに押し付け、両脚を無理やり開き、代わる代わる何度も股間を押し付けた。五ノ井さんはこの出来事を上官に報告したが、目撃証言を得られず、被害の訴えは退けられた。
その後、男性3人は陸上自衛隊の犯罪捜査部門によって、強制わいせつ容疑で書類送検されたが、嫌疑不十分で不起訴となった。五ノ井さんはその後、自衛隊を退職した。
五ノ井さんが審査を申し立てた郡山検察審査会は2022年9月に「不起訴不当」と議決。福島地検は2023年3月、一転して3人を強制わいせつ罪で在宅起訴した。
2022年に五ノ井さんがユーチューブに投稿した動画は、日本国内だけでなく海外でも注目を集めた。
五ノ井さんの事案について防衛省に調査を求める請願書には、10万人以上の署名が集まった。
また、この訴えをきっかけに、自衛隊は内部調査を実施。100件を超えるハラスメントの訴えが寄せられた。その後、防衛省は五ノ井さんに謝罪した。