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TikTok、アメリカ事業の切り離し完了と発表 アルゴリズムはどうなる?
スランジャナ・テワリ・アジアビジネス担当編集委員、リリー・ジャマリ北米テクノロジー担当記者
動画投稿アプリ「TikTok」は22日、アメリカでの事業継続を可能とする取引が完了したと発表した。同アプリをめぐるアメリカと中国の数年にわたる対立に、終止符が打たれた。
ドナルド・トランプ米大統領は第1次政権で、国家安全保障上の懸念から同アプリを禁止しようとしたが、失敗した。
2024年にはジョー・バイデン政権下で、アメリカ事業が売却されない限り同アプリを禁止する法律が可決されたが、ホワイトハウスに復帰したトランプ氏が、この法律に基づくTikTok禁止を繰り返し延期していた。
主な対立点は、ユーザーに推薦するコンテンツを決定する強力なアルゴリズムだった。今回、その仕組みはアメリカ事業の所有者にライセンス供与され、アメリカのデータのみで再訓練されることになった。
これにより、アメリカ版TikTokは確実に変わると専門家らは指摘している。しかし、同国の約2億人のユーザーに対し、具体的にどのような影響が生じるのかは不明だ。
取引に至るまでの経緯
アメリカ政府は過去数年間にわたり、親会社が中国企業だという点を理由に国家安全保障上の懸念を主張し、TikTokに対してアメリカでの事業を売却するよう圧力をかけてきた。
米議員らは、中国当局が同社に対してアメリカの利用者データの引き渡しを強制する可能性があると懸念を示していた。TikTokとバイトダンスの双方は、この主張を一貫して否定してきた。
TikTok禁止の構想は、2020年に1期目のトランプ政権で初めて浮上し、バイデン政権下で勢いを増した。2024年4月には、バイトダンスにTikTokを売却するかアメリカで禁止されるかを迫る法律に、バイデン氏が署名した。
バイトダンスと米政府の間では司法闘争が続き、昨年1月には、TikTokアプリがアメリカで、12~14時間にわたりオフラインとなった。この一時的な停止措置は、大統領就任直前のトランプ氏が禁止措置の撤回を約束したことで終結した。
昨年9月、トランプ氏は同アプリをアメリカで運営し続ける合意を中国と結んだと発表した。
そして12月に、TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)がスタッフに送信したメモから、アメリカ事業の大部分を売却する取引が締結されたことが明らかになった。
今回の発表で、この取引の詳細が示された。
それによると、新しい合弁会社「TikTok USDS Joint Venture LLC」が、データ保護およびサイバーセキュリティー措置を講じ、アメリカでのユーザーデータ、アプリ、アルゴリズムの安全を保護することになる。
トランプ氏はソーシャルメディアでこの取引に反応。「TikTokを救う支援ができて本当にうれしい」と書き込んだ。
BBCは、ホワイトハウスと在ワシントンの中国大使館にコメントを求めている。
アメリカ版TikTokは誰の所有に?
TikTokによると、新しい合弁会社は独立した企業として事業を行う。運営を担う取締役会は7人体制で、アメリカ人が過半数を占める。
同社の最高経営責任者には、米ワーナーメディア出身のアダム・プレッサー氏が任命された。
また、以下の投資3社が運営に参加し、それぞれ15%の持分を保有する。
・米オラクル:クラウドコンピューティング大手。米共和党の大口献金者で、長年のトランプ氏支持者としても知られるラリー・エリソン氏が会長を務める
・米シルヴァー・レイク:約1160億ドル(約18兆円)を運用しているとされるテクノロジー投資会社
・MGX:アラブ首長国連邦(UAE)の、人工知能(AI)およびテクノロジー分野の投資会社
オラクルは、アメリカのTikTokユーザーのデータ保護を担うとともに、コンテンツ推薦アルゴリズムの再訓練を監督する。
バイトダンスは、米事業の19.9%の持分を引き続き保有する。
残る35.1%は、やはりトランプ氏支持者でデル・テクノロジーズ創業者マイケル・デル氏の個人投資会社や、米投資会社ヴァストミア・ストラテジック・インヴェストメンツなどが保有する。
ヴァストミアの親会社サスケハナ・インターナショナル・グループは、トランプ氏支持者のジェフ・ヤス氏が創業した。同氏は昨年の時点でバイトダンスの約7%を保有していた。同社のマーク・ドゥーリー代表も、新会社の取締役会に加わる。
取締役会にはこのほか、TikTokの周CEOに加え、オラクル、シルバー・レイク、MGXの幹部も参加する。
「秘伝のたれ」のアルゴリズムはどうなる?
これは、TikTokのアメリカ事業をめぐる対立の核心にあった疑問だ。この「秘伝のたれ」ともいえるアルゴリズムが、同アプリの巨大な人気を支えてきた。
あるソーシャルメディア企業の元幹部は以前、BBCに対し、インスタグラムのリールからYouTubeのショート動画に至るまで、競合企業がこのアルゴリズムの再現を試みてきたものの、同じ水準には達していないと語った。
「一般的に、その技術を最初に導入した者が、その技術を一番うまく扱える」
バイトダンスは当初、この貴重な仕組みの引き渡しを拒否しており、中国政府もこの姿勢を支持していた。しかし、中国の最高サイバーセキュリティ規制当局は昨年9月、バイトダンスがアメリカ事業の所有者にアルゴリズムをライセンス供与することを、中国政府が認める可能性を示した。
合意によると、このアルゴリズムはアメリカの規制に適合するよう保護されながら、アメリカの利用者データのみで再訓練されることになる。
TikTokは、アルゴリズムが「オラクルのアメリカ国内のクラウド環境で保護される」と述べた。
この転換の影響は、近くアメリカの数百万のTikTok利用者が実感することになるとみられる。
専門家たちは、アメリカ版では今後、アプリの動作が遅くなり、機能が少なくなり、世界版とは異なる運用になる可能性があると指摘している。また、現在のプラットフォームほど効果的にコンテンツを推薦できなくなる可能性もあるという。
(追加取材:コー・ユー記者)