米俳優ロバート・デュヴァルさん、95歳で死去 映画「ゴッドファーザー」などで活躍

映画のプレミア上映に出席したスーツ姿のデュヴァルさんがカメラに向かって軽く笑み浮かべている。背後に、複数のスーツ姿の男性がいる

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画像説明, ロバート・デュヴァルさん(1999年1月撮影)
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エマ・ソーンダース文化記者、オリヴィア・アイルランド

映画「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」などの出演で知られる米俳優ロバート・デュヴァルさんが15日、死去した。95歳だった。デュヴァルさんは、ヴァージニア州ミドルバーグの自宅で「安らかに」息を引き取ったと、妻ルシアナさんが広報を通じて明らかにした。デュヴァルさんは、米アカデミー賞に7回ノミネートされ、1983年に映画「テンダー・マーシー」で主演男優賞を受賞した。

ルシアナさんは、「世界にとって彼はアカデミー賞受賞俳優で、監督で、物語を語る人だった。私にとってはただひたすら、彼は全てだった」と述べ、「彼は自分の芸に対して情熱を抱くのと同じくらい、作品の登場人物やおいしい食事、そして仲間と一緒に過ごす時間を愛していた」としのんだ。

「ゴッドファーザー」のスター俳優アル・パチーノさんは、デュヴァルさんとの共演は「名誉」だったと追悼した。

「彼はいわゆる、生まれながらの俳優だった。演技との結びつき、演技の理解、そして驚くべき才能は、いつまでも記憶される。彼がいなくなるのは寂しい」

映画の一場面。華やかな額がピンク色の壁にかかる室内が柔らかい照明で照らされ、三つ揃いスーツ姿の主役ドン・コルレオーネが座り、横を向きながら右の人差し指で前を差している。その後ろに、同じような三つ揃いのスーツを着たトム・ヘイゲン弁護士が座り、ドンの横顔を見つめている

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画像説明, 映画「ゴッドファーザー」より。デュヴァルさん(奥)は、マーロン・ブランドさん(手前)演じるドン・コルレオーネを補佐するトム・ヘイゲン弁護士を演じた

デュヴァルさんの芸歴は約60年にわたる。フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」および「ゴッドファーザー PART II」では、マフィアの顧問を演じた。コッポラ監督がヴェトナム戦争を描いた1979年の「地獄の黙示録」では、強烈な個性の陸軍司令官を演じた。

「地獄の黙示録」でデュヴァルさんが演じた「ビル・キルゴア中佐」の出演時間は数分だけだったが、「朝のナパームの匂いが大好きだ」というせりふは語り草となった。

この役は当初、はるかに過激な役として想定され、「カーネジ大尉」という役名の予定だった。「カーネジ(carnage)」は「殺戮(さつりく)」などの意味。しかし、デュヴァルさんが豊かな表現力で抑制的に演じたため、役名は「キルゴア中佐」に変更された。

コッポラ監督はインスタグラムで、「ロバート・デュヴァルが死去したという知らせに、なんともショックを受けている。あまりに偉大な俳優で、(映画制作会社)アメリカン・ゾーエトロープの一番最初のころから、まったく欠かせない存在だった」と書いた。

騎兵隊の徽章がついた帽子に「キルゴア アメリカ陸軍」と書かれた緑色の制服、黄色いネッカチーフ、サングラスという姿で、空を背に自動小銃を左手に持ち、上を見上げている軍人

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画像説明, 映画「地獄の黙示録」でデュヴァルさんが演じたキルゴア中佐

デュヴァルさんの死が伝えられると、追悼の言葉が次々と寄せられた。

コメディアンで俳優のアダム・サンドラーさんは、デュヴァルさんのさまざまな役の写真のほか、2022年の映画「ハッスル」で共演した際の写真をインスタグラムに投稿し、「とてつもなく面白くて、とてつもなく強い、史上最高の俳優の一人だった。一緒に話をして一緒に笑うのは、素晴らしい経験だった。(中略)妻ルシアナさん、ご家族と友人たちへ、お悔やみを申し上げる」と書いた。

俳優ジェイミー・リー・カーティスさんも、「ゴッドファーザー」でトム・ヘイゲンを演じているデュヴァルさんの写真をインスタグラムに投稿し、「これまでスクリーンに現れた中で最高のコンシリエーリ(マフィアの補佐役)だ。ブラボー、ロバート・デュヴァル」と書いた。

2013年の映画「ジェイン・マンスフィールドの車」でデュヴァルさんの息子役を演じたロバート・パトリックさんは「打ちのめされている」と投稿した

「長年にわたり僕はボビーに電話しては、映画やバーベキューの話を一緒にしていた。彼はバーベキューが大好きで、僕がテキサス州ロックハートでバーベキューをする時はいつも知らせていた」とパトリックさんは書き、「ボビーがいなくなるのは本当に寂しい。彼の息子役を演じられたことを、自分はいつまでも誇りに思う。大切な友、安らかに眠ってほしい」と追悼した。

デュヴァルさんの妻ルシアナさんは声明で、「彼はどの役にも全身全霊を込め、人間精神の真実を表現した。そうすることで、彼は私たち全員に忘れがたいものを残してくれた」とも語り、「ボブを長年支えてくれた皆さんに感謝するとともに、彼が残した思い出を静かに振り返る時間とプライバシーを私たちに与えてくれることにも感謝します」と書いた。

ダークスーツにシャツ姿のデュヴァルさん。口を開いて話している様子

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画像説明, 2018年にトロント国際映画祭に出席したデュヴァルさん

デュヴァルさんはアカデミー賞に7回ノミネートされた。「テンダー・マーシー」で落ちぶれたカントリー歌手を演じ、1983年の主演男優賞を受賞した。

1976年の映画「ネットワーク」では横暴な企業幹部、1979年の「The Great Santini」では海兵隊士官を演じた。1976年の「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」では、ジョン・ワトソン医師を演じた。

ほかにも1981年の「告白」、1990年の「侍女の物語」、2009年の「クレイジー・ハート」、2014年の「ジャッジ 裁かれる判事」など数々の作品に出演した。

デュヴァルさんは1997年の「The Apostle」では脚本と監督も務めた。犯罪を犯した後、南部ルイジアナ州で再起する福音派宣教師を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

デュヴァルさんは自分の役の中で一番好きなのは、ラリー・マクマートリー原作の1989年のテレビミニシリーズ「ロンサム・ダブ」で演じた、テキサス州の捜査官からカウボーイに転じたオーガスタス・マクレーだと、よく話していた。

1963年の映画「アラバマ物語」でスクリーンデビューし、世間から引きこもっている青年ブー・ラドリーを演じた。

「『アラバマ物語』での演技で彼は、見ているこちらを打ちのめした。せりふを一言も口にしないのに、まったく一言も話さないのに、完全に観客を打ちのめした」と、俳優アレック・ボールドウィンさんは追悼動画で述べた

「アラバマ物語」の脚本家ホートン・フートさんは後に、1966年の「逃亡地帯」、1983年の「テンダー・マーシー」など、デュヴァルさんの他の出演作でも脚本を担当した。

デュヴァルさんと並んで笑っている写真と共に、「彼のバーベキュー愛を一緒に楽しんだし、タンゴも少々、ご一緒できた」とシーモアさんは書き、「カメラの外でのそういう時間も、作品そのものと同じほど忘れがたいものだった」としのんだ。