福島第一原発の処理水、海洋放出の影響は「無視できる程度」 IAEAが報告書
ジョエル・グイント(シンガポール)、シャイマ・ハリル(東京)

画像提供, Reuters
国際原子力機関(IAEA)は4日、東京電力福島第一原発にたまる処理水について、日本による海への放出計画は国際基準に合致しているとする包括報告書を公表した。
IAEAは報告書で、処理水の放出が人や環境に与える影響は「無視できる程度」だとした。
来日中のIAEAのラファエル・グロッシ事務局長は4日、岸田文雄首相と会談し、処理水の安全性を検証した報告書を手渡した。
グロッシ氏は、2年にわたる安全審査の結果は公平かつ科学的なものだと述べた。また、汚染水放出後も日本に関わり続けると約束した。
IAEAは5月、東京電力が処理水に含まれる放射性物質について「正確かつ精密に測定」する能力を示したと発表していた。早ければ今週中にも放出に向けた最終的な準備が整う可能性がある。
福島第一原発では、原子炉の冷却に使用された水の貯蔵スペースがなくなりつつある。
日本の放出計画には中国と韓国が反対している。
日本政府は放出のスケジュールを発表していない。計画を実行するには規制当局の承認が必要となる。
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2011年3月11日に東日本を襲ったマグニチュード9の地震は、高さ15メートルの津波を引き起こした。
福島第一原発では、原子炉のメルトダウンを防ぐシステムが揺れに耐えたものの、津波によって大きなダメージを受け、3機の原子炉がメルトダウンした。
第一原発の冷却システムは数日にわたって止まり、大量の放射性物質が放出された。このメルトダウンは1986年のチェルノブイリ原発事故以来、最悪の原発事故だった。
15万人以上が避難生活を余儀なくされ、現在も立ち入りが禁止されている区域が残っている。
廃炉作業はすでに始まっているが、そのプロセスには数十年かかる可能性がある。
近隣諸国や漁業関係者は反発
福島第一原発からは、1日あたり100立方メートルの汚染水が発生する。汚染水は多核種除去設備(ALPS)で処理してタンクに保管される。敷地内のタンクの全容量は、約130万立方メートル。
汚染水に含まれるほとんどの放射性物質はALPS処理で取り除かれるものの、水素の放射性同位体のトリチウムと放射性炭素同位体(炭素14)を水から分離して取り除くのは難しい。
日本政府は安全基準を満たすよう、放出前に処理水を海水と混ぜて希釈すると説明している。
世界中の原子力発電所は、福島の処理水を上回るトリチウムを含む廃水を定期的に放出している。
それでも、IAEAの報告書では日本国民や近隣諸国の懸念を和らげることはほとんど不可能だろう。
地元の漁業関係者は、さらなる風評被害につながると猛反発している。
かねてから日本の計画を強く批判している中国は、IAEAに計画を承認しないよう警告している。
韓国では食の安全への懸念が浮上し、海洋放出される前に海塩を買いだめする動きが見られる。








