英警察、官邸パーティー疑惑で50人超に質問状送信へ 新たな写真も流出

イギリスのロンドン警視庁は9日、新型コロナウイルス対策の制限が敷かれていた時期に首相官邸などで複数のパーティーが開かれていた問題をめぐる捜査で、50人以上に電子メールで質問状を送ると発表した。

質問状の対象となるのは、2020年5月から2021年4月までの8日間に行われた集まりに参加していたとされる人物。ボリス・ジョンソン首相や妻のキャリー氏も含まれるという。

ロンドン警視庁は、電子メールには7日以内に返信する必要があると説明。集まりで何が起きたかを質問する内容で、回答者は「誠実に答えなければらない」と話した。

一方で、メールの対象者になったからといって、必ずしも新型ウイルス対策違反の罰金を科せられるわけではないと述べている。

「オペレーション・ヒルマン」と名付けられたこの捜査では、パンデミック中の8日間に行われた12つの集まりについて、新型ウイルス対策の法律に違反していなかったかを調べている。このうちいくつかの集まりには、ジョンソン首相も参加していた。

このパーティーについて警察は当初、捜査対象にならないとしていたが、写真の流出を受けて再検討すると表明した。

写真は、2020年12月15日に官邸で開かれた、クリスマスのクイズ大会のもの。

ジョンソン首相のほかに3人の側近が写っており、それぞれサンタ帽やモール飾りを付けている。また、スパークリングワインのビンも写り込んでいる。

ロンドン警視庁は声明で、「警察は以前この集まりについて精査し、当時入手できた証拠に基づき、刑事捜査の対象となる条件を満たしていないと判断した。この判断は現在、再検討されている」と説明した。

ジョンソン首相の元上級顧問のドミニク・カミングス氏は、「今まで出回っている写真よりずーーーーっと良いものがある」と指摘。首相官邸の隣にあるジョンソン氏の住居での集まりの写真もあると示唆した。

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パーティー疑惑をめぐっては先月31日、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官が調査報告書の「途中経過」を発表。対象となった16の会合のうちのいくつかは「開催を認めるべきではなかった」とし、問題の背景に「指導力の欠如」があると指摘した。

また12の会合については、ロンドン警視庁に資料を提出。これを受け、新型ウイルス対策違反容疑の捜査が行われている。

警察は現在、グレイ氏が調査で集めた500以上の書類と300以上の画像などを分析している。その上で、さらに内閣に情報を求める可能性があるほか、違反疑惑のある集まりに参加していた人が新たに分かれば、その人も捜査対象とするとしている。

警察は声明で、捜査対象となっても罰金を科せられるとは限らないとした一方で、「通常であれば」相応の理由なくルールを破ったとされれば罰金となると説明した。

一連の疑惑などを受け、保守党内からもジョンソン首相の辞任を求める声が高まっている。すでに、首相への不信任を表明する書簡を提出した議員もいる。

この書簡が54人分集まると、党内で不信任投票が行われる。可決されれば党首選が開かれる。

官邸改修めぐる疑惑でも捜査を依頼

最大野党・労働党の法律家チームは9日、ロンドン警視庁に対し、首相官邸の改修費用をめぐる疑惑について捜査をすべきだとの書簡を提出した。

ジョンソン首相は先に、ダウニング街11番地の建物の上階にある住居をリフォームした。

首相が住居整備のために受け取る公費は年3万ポンド(約450万円)。しかし、このリフォームに実際にかかった費用は、最大20万ポンドに上るのではないかとの見方が出ている。

2021年4月の議会での首相質疑でジョンソン氏は、改修費用を「個人的に」支払ったと述べたものの、実際の支払いを誰が行ったのかは明らかにしなかった。

ロンドン警視庁が検討

また、英紙デイリー・メイルが入手した流出メールによれば、保守党上院議員のブラウンロウ卿が2020年10月、「近く設立される『ダウニング街財団』に代わって党がすでに支払った額」を穴埋めするために5万8000ポンドを献金するとしている。

『ダウニング街財団』は、官邸の建物の遺産保存を目的とした慈善財団をさすが、今日まで、そのような財団は設立されていない。

ブラウンロウ卿は、ジョンソン首相からこの財団の会長職を打診され、党を超えて会員を集めるよう指示されたことを認めている。

ロンドン北西にある首相公式別荘「チェッカーズ」や、閣僚などの公式別荘「ドーニーウッド」の修復費用は、この種のプログラムが支出している。

労働党は今回、この慈善団体の設立とブラウンロウ卿への打診が、贈収賄を禁止する法律に違反している可能性があると指摘した。

ロンドン警視庁は、書簡について検討していると認めたものの、まだ捜査は始まっていない。

この疑惑をめぐっては昨年4月、政治資金を監督している「選挙委員会」が調査を開始すると発表している。