自由のため戦い続ける=トルコ・クルド人武装組織指導者
イアン・パネル記者(イラク北部で)

トルコで少数民族クルド人の武装組織「クルド労働者党」(PKK)は、トルコ政府の弾圧に対抗するため、戦闘を激化する用意があるとの考えを示した。
PKKのセミル・バイク最高司令官はBBCとのインタビューで、トルコのエルドアン大統領が「戦闘をエスカレートさせている」とし、「クルド人は自らを守るため最後まで戦う。トルコ政府のこのようなやり方が続く限り、もちろんPKKは戦闘を激化させる」と語った。
一方、エルドアン大統領の顧問イルヌール・チェビック氏はBBCのマーク・ローエン記者に対し、PKKが「トルコの中にもうひとつの国家を作ろうとしている。これはあからさまな分離運動だ」と語った。
PKKとの交渉の可能性について問われたチェビック氏は、「現時点ではノーだ」と述べた。チェビック氏はさらに、エルドアン大統領が指揮する軍事攻撃について、国民は支持していると主張した。
しかし、PKKのバイク最高司令官は、「トルコからの分離と新国家の樹立は望んでいない」と語った。
バイク司令官は、「トルコを分裂させたくない。トルコの国境内で、我々自身の土地で自由に生活したい。(中略)クルド人の生来の権利が受け入れられるまで戦いは続く」と述べた。
同氏はさらに、「クルディスタン(地域)だけでなく、トルコ全域でも」戦闘を激化させる構えなのは、トルコ政府が強硬姿勢を取っているためだと語った。
動乱のなかで
トルコ政府とPKKの停戦合意は昨年7月に破られ、対立は激しくなっている。トルコ空軍はイラク北部にあるPKKの拠点を空爆している。
トルコに加えて、欧州連合(EU)や米国はPKKをテロ組織と認定。クルド人が多数派を占めるトルコ南東部の一部地域では、夜間の外出禁止令が出されている。
シンクタンク「国際危機グループ」(ICG)によると、停戦が無効になった後、トルコの治安部隊340人以上が殺害されており、少なくとも300人のクルド人戦闘員と200人以上の市民が死亡している。

イラク北部でインタビューに応じたバイク氏は、クルド人の権利獲得は「交渉によってのみ実現できる」としながらも、「トルコ政府が集団虐殺政策を放棄しない限り」、交渉には応じられないと述べた。
トルコは1999年にPKKの政治指導者アブドゥラ・オカラン氏を投獄しているが、バイク氏は、オカラン氏の刑務所内での待遇が改善されない限り、停戦に向けた協議はしないと語った。

バイク氏は、「過去1年以上にわたって、誰もオカラン氏との面会を許されていない。彼について、または彼からの情報は全くない。このような状況では交渉できない」と述べた。
バイク氏はまた、トルコ当局との具体的な交渉窓口がないと述べた上で、「電話がかかってきた。戦闘を止めるよう手紙が送られてきた」と明らかにした。ただ、PKKと誰が接触したのかについては質問に答えなかった。
アンカラの爆発攻撃
PKKから分派した「クルド解放の鷹」(TAK)は、先月起きたトルコ首都アンカラの商業地域で37人が死亡した爆発事件の犯行声明を出している。
TAKは、主にクルド人が住む南東部ジズレでの軍による掃討作戦に対する報復だとした。さらに、2月に発生したアンカラで軍の隊列を標的とした自爆攻撃で28人が死亡した事件についても、犯行を認めた。
これらの爆発攻撃について問われたバイク氏は、「PKKとはなんら関係がない」とし、TAKが実行した攻撃だと述べた。
「TAKは別の組織であり、我々は誰がメンバーなのかも知らない」と語った。
トルコ政府はPKKだけでなく、昨年11月の総選挙で59議席を獲得した人民民主主義党(HDP)も非難している。トルコ議会の総議席数は550。
エルドアン大統領は、HDPがPKKを支援していると非難した。
PKKはトルコからの独立を掲げ武力闘争を1984年に開始した。これまでに約4万人が死亡している。
政府側のチェビック氏は、「PKKが掃討されれば、政府は、PKKやHDPなどではなく、クルド人のオピニオンリーダーたち、まじめな人々と対話を始める」と述べた。
同氏は、PKKは昨年7月まで続いた停戦期間をトルコ南東部での支配力を強めるのに使ったと述べ、「彼らは我々をだました。エルドアン大統領をだました。エルドアン氏はこのような形で裏切られるとは想像もしていなかった」とPKKを非難した。







