米FRB、利上げを決定 9年半ぶり

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米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利の0.25%引き上げを決め、2008年末から続くゼロ金利政策を解除した。利上げは2006年6月以来、9年半ぶり。
FRBは金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25~0.50%と、0.25ポイント引き上げると決めた。FF金利は銀行間の翌日物資金取引金利。
FRBの利上げ決定は世界的な影響が予想され、英国でも利上げ圧力が高まる可能性がある。また、すでに多くが成長率の低下に悩む新興国の資金借り入れコストが上昇することも予想される。
米国の利上げによってドルの為替レートが上昇する可能性があるが、多くの国や企業がドル建てで借り入れをしているため、経済成長率をさらに下押しする懸念がある。
また、金融緩和をさらに進める欧州とは対照的な動きだ。
欧州中央銀行は今月、中銀預金金利をマイナス0.2%から0.1ポイント引き下げ、マイナス0.3%とした。また600億ユーロの資産買い入れプログラムの延長を決めた。
英国の中央銀行であるイングランド銀行は今月開いた金融政策委員会(MPC)で、政策金利を0.5%に維持することを決めている。市場はイングランド銀行が2016年末まで利上げに動かないと予想している。
「労働市場は顕著に改善」
FOMCの決定は全会一致だった。
FRBは来年の経済成長見通しを2.4%とし、前回予想の2.3%から若干引き上げた。
このことから、FRBは利上げが成長を損なうとはみていないことが示唆される。米国株式市場はFRBの決定を受け上昇している。
ダウ工業株30種平均は224ドル(1.3%)高の1万7749ドルで、この日の取引を終えた。

<解説>カマル・アハメドBBCビジネス担当編集長
0.25%はさほどたいしたことのようにみえないが、意味することは非常に大きい。
金融市場の崩壊を回避するための要するに世界的な取り組みだったもの(実験とも言える)が10年近く続いた後、世界一の経済大国の中央銀行、FRBがようやく「正常化」の端緒をつかもうと決めた。
金融システム崩壊の危機という非常時に、経済を「正常に戻す」ことは常に望まれていた。
世界中の中央銀行が金利をゼロ近辺に引き下げ、政府の政策やより幅広い経済を支えるため何十億ポンドもの資金を供給した。
それから8年以上たった今、いまだにゼロ金利が続いているとだれが想像しただろうか。ユーロ圏はゼロ金利どころかマイナス金利になっている。

FOMCは家計支出と民間設備投資が増加していることや、低位のインフレ率が続いていることを利上げの理由として挙げた。
FOMCは声明で、「労働市場は今年、顕著な改善を示したと判断でき、物価も2%の目標に中期的に上昇していくと合理的に確信できる」と述べた。
FRBは今後も物価上昇と雇用を注意深く観察し、さらなる利上げが妥当かと判断するとしている。
FRBのジャネット・イエレン議長は、FOMCが経済が今後も「回復が続く」と確信していると述べつつも、「改善の余地がある」と指摘した。
2017年に「正常化」
イエレン議長は、今後の政策判断は経済情勢がどう推移するかによるとし、金利の変更も緩やかなものになると述べた。さらに、労働市場には依然として弱さが残り、特に賃金上昇の勢いが弱いと指摘した。
金利引き上げを遅らせ続けた場合には、のちの金利引き上げペースを急速にする必要が生じ、景気後退を招いてしまうと警告した。
FOMCメンバーによる政策金利予測では、FF金利が1.5%まで上昇するのは2016年、2.5%に上昇するのは2017年と予想している。
経済が堅調ぶりを取り戻すのは2018年ごろと予想されており、FF金利はそれまでは3.5%には近づかないだろうとみられている。イエレン議長は、「推移が予想通りでなければ、FF金利の上昇はさらにゆっくりとしたものになる」と語った。
次の利上げ時期について問われたイエレン議長は、「金利を再度上げる必要性を判断する単純な仕組みはない」と答えた。






