BTS最年長メンバーが兵役へ、どのような日々を過ごすのか

ジーン・マケンジー、ソウル特派員

image Jin posted on fan platform WeVerse
画像説明, JINさんは韓国のファンコミュニティー「WeVerse」で丸刈り姿を披露した

K-POPグループ「BTS(防弾少年団)」のJINさん(30)が13日、韓国陸軍での兵役を開始した。BTSメンバーとしては初の兵役となる。

JINさんは入隊前、「思ったよりもかわいい」というメッセージと共に、髪を丸刈りにした写真を投稿した。

韓国は法律上、今なお北朝鮮と戦争状態にあり、健康な男性には全員、兵役が課せられる。

JINさんは、北朝鮮との国境近くを拠点とする新兵教育隊に入隊した。5週間の基礎訓練の後、前線部隊に配属される予定だという。この一報が、JINさんのファンを大いに動揺させた。

では実際、JINさんはこの兵役ではどのような経験を積むのだろうか。

BTS performing on stage

画像提供, EPA

画像説明, BTSはここ数年、世界中でヒットを飛ばす人気グループとなった

JINさんが入隊した漣川郡の教育隊では、新兵30人ほどが1部屋に集められ、床に敷いたマットで寝る。武器の使い方や実弾の発砲方法を学んだあと、過酷な戦時シナリオを体験させられる。

経験者によると、最も大変だったのは、ガス室に閉じ込められてCSガスの効果を体験したことや、実際の手榴弾を爆発させたことだという。

漣川での訓練を昨年終えたヤン・スヨンさん(22)は、「手榴弾を持つのはかなり緊張したし、その威力を知ってショックを受けた」と語った。

「身体的には厳しいが、精神的には大丈夫だった。教官たちはみな親切だった」

JINさんは訓練後、北朝鮮との軍事境界線に近い部隊に配属されると報じられている。

北朝鮮と韓国の間には、幅4キロほどの非武装地帯(DMZ)が設けられている。両国とも、境界線のそばには有刺鉄線のフェンスを張り、武装兵が警備している。

ヤンさんは、第5歩兵師団に所属しDMZの前哨(ぜんしょう)警備兵として任務にあたった。温度感知装置を使って反対側の北朝鮮兵を夜通し、常時監視していたという。

A South Korean solider keeps watch over the DMZ

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画像説明, 韓国と北朝鮮の非武装地帯(DMZ)は、世界で最も武装された地域の1つだ

「北朝鮮兵が顔を蹴られたり、平手打ちされたりしているのを何度か見た」と、ヤンさんは話した。

「向こうは我々のような良い装備を持っていないので、肉体労働をしなくてはならなかった」

ヤンさんは、北朝鮮兵のそうした様子を見て、自分の境遇に感謝したという。

「向こうの兵がしなくてはならない作業を見た時には、『自分はなんて快適なんだろう』 と思った。彼らに同情してしまった」

とはいえ、迫る冬の寒さは、BTSのJINさんにも襲いかかる。ヤンさんも、零下20度の中で雪かきをした日々を振り返った。

「外に出ると、まつげが凍りつくんだ」

一方で、ヤンさんは所属していた部隊の雰囲気について好意的に話した。「実弾を装填した銃を持っているので、平静でいなければならなかった。だから、嫌がらせされたり、殴られたりすることはなかった」。

ヤンさんは、前線の警備兵になりたいと志願した。これになると、基地から離れられる時間が長くなるなど、いくつか特典があるからだ。

JINさんは、DMZからもっと離れた基地に配属される可能性が高い。2018~2020年に第6軍団司令部で過ごしたホ・ソンヨンさん(26)も、そうだった。

26-year-old Heo Sungyoung worked in logistics with the 6th Corps Command Centre

画像提供, Heo Sungyoung

画像説明, ホ・ソンヨンさんは第6軍団司令部に配属された

ホさんは最初の6カ月、司令部の玄関を警備していたという。

「とても長くて退屈だった。空ばかり見ていて、何もすることがなかった」

その後、ホさんはティッシュや靴下などの備品を発注する補給チームへと移った。

韓国の兵役義務には、多くの若者にとって悩みの種だ。その間、学業や仕事、友人から離れなくてはならないからだ。

ここ数カ月、政府がBTSのメンバーの兵役を免除するかもしれないとのうわさが流れていた。すでに何十億ドルも稼いで国に貢献しているのだから、アイドル活動を続けさせる方が得策だというのがその理由だ。

しかしBTSのメンバーは今年10月、全員が兵役に行く予定だと発表。最年長のJINさんが最初に入隊することになった。

それでも、リスクの少ない役割を任されると思っていたファンにとって、JINさんが前線に送られるという報道は驚きだった。

韓国軍にはかつて、著名人向けの特別部隊があり、芸能人は仕事を続けられ、特権が与えられていた。しかし、許可されている回数以上に兵舎を離れるなど制度を悪用する者が見つかり、世間の反感を買った。この制度は2013年に廃止されている。

DMZ周辺で警備をしていたヤンさんは、「時間を無駄にしているとは思わないと言えば、うそになる」と語った。

「もう一度選べるとなっても、兵役は選ばない。18カ月あれば、現実世界でもっと色々なことを学べたはずだ」

「JINさんにアドバイスするとしたら、じっとして、時間が早く過ぎるよう祈るのがいい。それだけだ」

一方で、補給チームに配属されたホさんには、もっと良い思い出がある。ホさんも初めは、多くの20代男性と同様、なぜ自分がそこにいる必要があるのか疑問だったという。しかし、結局は貴重な教訓を得ることができたと話す。

「学校では同じような境遇の人としか付き合わなかったが、軍ではみんながみんなすごくばらばらだった。世界がどれほど大きくて多様性があるのものかを知った」

ホさんはJINさんへのアドバイスとして、経験を楽しんでほしいと語った。

「トップスターだから、普通の人と会う機会が少ないと思う。兵役は彼にとって良い機会だと思う」

インターネットでは、すでに何万人ものファンがJINさんにメッセージを送り、自分なりのアドバイスをしたり、寂しい思いを伝えたりしている。

そのうちの1人、マリア・リーさんは、「気を付けて体を大事にして、温かい服と薬をたくさん持って行ってください。同僚が良くしてくれますように。カムバックを待っています」と書いていた。