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【解説】 ウクライナでの戦争、どっちが勝っているのか
ウクライナ軍はこのところ、急速な前進を遂げ、ロシアから広い地域を奪還している。
ロシアは、部隊を再編成中だとしている。ウクライナの国土の5分の1近くは、まだロシアが押さえている。
戦局はどう変わった?
ロシアは2月24日にウクライナに侵攻し、首都キーウを包囲。南部、東部、北部でも攻撃を開始した。
4月に入ると、ロシアはキーウへの進軍を断念。ウクライナ軍が、キーウ周辺の広い範囲を奪還した。
ロシアはその後、ウクライナの南部、東部、北東部に軍を集中。広い地域を制圧してきた。
だが9月になると、状況は一変した。
ウクライナは北東部で圧倒的な攻勢をかけ、ロシア軍を追い返した。ハルキウ市周辺だけで3000平方キロメートルを奪還したとしている。
今月に入ってロシアの支配から取り戻した領土は8000平方キロメートルを超えると、ウクライナは説明している。戦争が始まって以来、最も広範囲に及ぶ奪還となっている。
ウクライナが今月10日に奪還したとしているイジュームとクプヤンシクの両市は、ロシア軍の重要補給拠点だった。そのため、ウクライナにとっては戦略上の大きな利益となった。
ウクライナは、南部ヘルソン州の周辺でも反撃に出ている。
米シンクタンクの戦争研究所 (ISW)は、ウクライナ部隊がロシア軍に「大規模な作戦上の敗北」を与えたとしている。
英シンクタンク、王立防衛安全保障研究所のジャスティン・ブロンク氏は、ハルキウのロシア軍陣地が「完全に崩壊」したと述べた。
同氏はロシアの撤退について、「4月のキーウ撤退以来、ロシアによる最も劇的な反転であることは間違いない」とした。
ロシアはどう対応した?
ロシアは、イジュームとクプヤンシクからの撤退を認めた。「再編成」のための戦略的撤退だと説明した。
同時に、それらの地域は軍事攻撃の標的にし続けるとした。
ロシア軍は撤退の際、大量の装備と弾薬を残していったとみられている。
ロシア支配地域はどれくらいある?
前出のISWによると、ロシアはまだウクライナ国土の2割近くを押さえている。
その大部分を、東部ドンバス地方と南部、そして2014年にロシアが併合したクリミア半島が占めている。
ドンバス地方では、ロシア語が主な言語となっている。2014年にロシアがクリミアを制圧すると、ドンバス地方では親ロシア勢力が全域の3分の1以上を押さえた。そして、いわゆる「人民共和国」が2つ作られた。
リヴィウなどの都市がある西部は、ミサイル攻撃を受けたが、ロシア軍による占拠の動きは見られていない。
ロシアは何を望んでいる?
ロシアは「侵攻」や「戦争」などの言葉を使わず、ウクライナで「特別軍事作戦」を展開していると説明している。
そして、「当初設定されたすべての任務」が達成されるまで、作戦を継続するとしている。
2月に侵攻を開始した際、ウラジーミル・プーチン大統領は、「ウクライナの非軍事化」が目標だと述べた。
目的の1つには、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟しないことを明確にすることもあった。
当初、ロシアが目指したのは、ウクライナの制圧と、同国政府の追放だった。
しかし現在、ロシアの野心は、ウクライナの東部と南部での土地の確保に限定されているとみられる。
ウクライナは何を望んでいる?
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の完全追放と「すべての領土の解放」が主な目標だと述べている。
ゼレンスキー氏は、ロシアから奪い返した地域の維持に必要だとして、より多くの資金と装備を求めている。
ウクライナ軍は、西側諸国から送り込まれた武器を多数使用している。
死者は何人に上っている?
双方に多数の死傷者が出ているが、正確な人数は公表されていない。
ウクライナは、ロシア兵を5万人以上殺したと主張している。8月末には、紛争開始以降のウクライナ軍の死者を約9000人と発表した。
ロシアは自軍の死者数をめったに明らかにしない。直近の発表は3月で、ロシア兵1351人が侵攻開始以降に死亡したとしていた。
米当局は7月時点で、ロシア兵の死者を約1万5000人と推定している。
民間人にも死者が出ている。国連は今月初め、その人数を5700人以上とした。
しかし、実際の死者数はずっと多い可能性が高いとしている。